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2015年4月 2日 (木)

付録: ペット、水族館・動植物園での生体展示、生き餌あるいは生食の用途での外来種の導入に伴うリスクに対処するための措置の考案及び実施に関する指針

和訳協力:久保 直子、校正協力:高島 裕以

2014年10月17日 UNEP/CBD/COP/DEC/XII/16

本指針の目的と特徴

1.本指針は、国家、地域、その中の小さな地域や、その他の基準の地域において、ペット、水族館・動植物園での生体展示、生き餌あるいは生食の用途(以降、「ペット等の用途」とする)での外来種の導入に伴うリスクに対処するための措置の考案及び実施について、各国や関連組織を支援することを目的とするものである。本指針は、関係当局が規制または行動規範の策定の際、または国際機関、産業界及び市民社会の組織が自主的に設けた行動規範や、その他の指針に利用できる要素を提供するものである。

2.ペット等の用途での侵略的外来種の導入は、侵入経路が「逸出」であるとされる。逸出は、生物が捕獲または閉じ込められた状態から自然環境へと移動することを意味する。この侵入経路を通じて、生物は最初、意図的に輸入または移送されて閉じ込められた状態におかれ、その後逃げ出す。逸出には、生きた生物を意図的に、偶発的に、または不注意で自然環境へ解放することを含み、生食用の食糧を野外へ廃棄処分する場合や、制限域外の水系における生き餌を使用するような場合も含まれる。

3.本指針では、ペット等の用途で導入された外来種には、下位分類群及び交雑により得られた種(故意に輸入または移送された、その地域では外来種となる生物と在来生物との雑種を含む)も含めるものとする。

4.本指針は、インターネット取引も含め、外来生物を国内または国内の特定の生物地理区へ、ペット等の用途で輸入または移送する場合に適用する。本指針は、国、関連組織、産業界、消費者など、価値連鎖に沿って関わるすべての人々(輸入業者、繁殖業者、卸売業者、小売業者及びその顧客など)と関わりがある。生食用の種においては、さらに飲食店及び市場もその対象に含まれる。

5.本指針は任意のものであり、現存する国家的及び国際的ないかなる責務にも影響を及ぼすことを目的としていない。本指針は、関連する他の指針及び関連する任意の規則と併用し、また相互支援して用いられることを目的としている。関連する指針の例としては、Guiding Principles for the Prevention, Introduction and Mitigation of Impacts of Alien Species that Threaten Ecosystems(生態系、生息地及び種を脅かす外来種の影響の予防、導入、影響緩和のための指針原則)、International Plant Protection Convention(植物防疫条約)、World Organization for Animal Helth(国際獣疫事務局)、Codex Alimentarius Commission(国際食品規格委員会)及びその他の関連組織の策定した基準、指針、勧告などである。

予防と責任ある行動

6.産業界及びすべての関係者は、外来生物が侵略的外来種になり得るリスクを持ち、外来生物が生態系、生息環境、種や遺伝子レベルでの生物多様性に与える負の影響、またそれに関連した人間の健康や暮らし、経済に与える影響を認識すべきである。国家、産業界及び関連組織は、このような影響があることを普及啓発す る運動に取り組むべきである。

7.一般的かつ優先的事項として、国家、関連組織及び産業界は、ペット、水族館・動植物園での生体展示として利用されている種については、侵略的ではないことが明らかな種の利用を奨励すべきである。

8.国家、関連組織及び産業界は、病原菌または寄生生物の侵入及び/または拡散の危険をもたらす恐れのある生き餌の使用を止めさせるか、または禁止すべきである。

9.国家、関連組織及び産業界は、ペット、水族館・動植物園での生体展示としての生きた生物の安全な取り扱いの重要性並びにそれらに対する適切な管理、生き餌または生食用の食糧として使用される侵略的外来種の安全な取扱い及び処分について、購入者、潜在的購入者、供給業者、販売者、消費者及び潜在的消費者の認 識を高めるべきである。

10.国家、関連組織、産業界及び消費者は、ペット等の用途で使用される侵略的外来種になり得るいかなる種に対しても責任を持ち、細心の注意をもって管理しなければならない。また、可能かつ適切な場合には、下記第18項に記載された措置をとるべきである。

リスク評価とリスク管理

11.ペット等の用途で、在来種でない生物を輸入または移送、あるいは国内の生物地理学的に異なる地域への移動を計画する際、国家、関連組織または産業界はリスク評価を行うべきである。リスク評価には、以前行った評価及び他の利用可能な情報を用いてもよい。リスク評価は特に下記事項を検討すべきである:

(a)生物が生活環のいかなる段階であれ、閉じ込められた状態から逸出する確率(事故または不注意によるものも含む);

(b)種の定着及び拡散の確率;

(c)遺伝子の多様性の喪失につながる在来種との交雑を含む、種の定着及び拡散による生物多様性への影響、生産活動及び人間の健康に関わる影響、そしてこれらの影響の重大性;

(d)病原菌及び寄生生物の拡散に伴うリスク。

12.逸出確率の評価は、種固有の性質と同様に、種を閉じ込めた状態を維持するための手法も考慮に入れなければならない。

13.ペット等の用途での種の導入に関わるリスクについてのリスク評価の結果が容認を示す場合、国内へ輸入する、あるいは国内の異なる生物地理区へ移送することができる。国家、関連組織及び産業界は、評価の結果に変化をもたらす可能性がある新たな情報を入手した際は、リスク評価をやり直さなければならない場合もある。

14.ペット等の用途での種の導入に関わるリスクについてのリスク評価の結果が容認を示さない場合、リスクに対処できる措置が取られなければならない。措置として、下記第18項に記載されている対策の一つあるいはそれ以上の実施が要求される場合もある。

15.ペット等の用途での種の導入が関わるリスクについてのリスク評価の結果が容認を示さない場合で、かつリスク管理対策が不十分でリスクが削減されない場合、ペット等の用途での種の輸入または移送は認めるべきではない。

16.リスク評価を受けていないペット等の用途に用いられる外来種は、侵略的外来種になる可能性がある種として取り扱うべきである。

17.世界貿易機関のAgreement on the Application of Sanitary and Phytosanitary Measures(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)に承認された基準策定機関によって策定された基準、指針及び勧告は、リスク評価を行う上でも意味があるだろう。

措置

18.ペット等の用途で持ち込まれる外来種に関わるリスクの対処に利用できる措置は数多くある。特に下記の例のような措置が含まれる:

(a)逸出を防ぐのに有効な措置(例えば、確実に閉じこめる方法、取り扱い方法及び移送の方法)の実施を確実にすること;

(b)種の移送、取り扱い、販売、使用または保有に関わるすべての人々の間で、そのリスク及び逸出を防ぐための適切な措置(確実に閉じこめる方法、取り扱い方法及び移送の方法)の意識を高め、その実施能力を開発すること;

(c)生きた生物の利用者、消費者、所有者、取引業者及び管理者が、生物を自然環境へ解放すること並びに生物が逸出する事態になることを止めさせ、または禁止しすること。彼らが生物を速やかに再捕獲するための措置をとり、もし適切な場合には迅速な対応を促すために関係当局へ報告することを要請または要求すること;

(d)望ましくない種を返送、転売、新しい所有者を見つける、または処分するときには、危険のない人道的な対応をすること;

(e)持ち込み、定着及び拡散の可能性に対処するための駆除及び個体数制御を含む適切な対応措置を確実にすること;

(f)購入者及び販売者によって使用された、生き餌並びに生食用の生物の適切で安全な処分方法を確実にすること;

(g)違法な輸入、輸出または再輸出を阻止するために、適切な管理措置を確実にすること;

(h)適切な場合には、生殖不能な生物をペット等の用途に使用することを奨励すること。

19.ペット等の用途に用いられるすべての貨物は、閉じ込め、取り扱い並びに移送に関するあらゆる必要事項と同様に、分類群(わかる範囲で最も詳しい分類階級、また可能ならば遺伝子型、学名や分類学的シリアルナンバーかまたはそれに変わる番号など)を明示するべきである。

20.生物を特定の国または当該国内の生物地理区に輸入するときには、その種が安全であることが明らかな場合を除き、貨物に生物多様性に対する潜在的危険がある旨のラベルを付けることが望ましい。

情報の共有

21.リスク評価の結果は、クリアリングハウスメカニズムまたはその他のしかるべき手段を通して、締約国間で公に利用できるようにされ、また共有されるべきである。

22.各国は、領土内あるいは領土内の特定の生物地理区への輸入に関して、安全であることが明らかな種のリストを整備することができる。また特定のセクターに向けては、そのリストにそれらの種の自然分布及び、それらの種が安全であることが分かっている国または生物地理区の明確な定義などを含む。

23.各国は、侵略的外来種になり得ると評価された種と、それに関わる容認できない生物多様性へのリスクのリストを整備し、またそれをクリアリングハウスメカニズムを通して利用できるようにするべきである。

その他の国際的義務との整合性

24.本指針の下での措置は、例えば世界貿易機関の衛生植物検疫措置の適用に関する協定及びこの協定によって承認された基準策定機関、またワシントン条約などの、該当する国際的義務に矛盾しない形で実施されるべきである。

ニュースソース
http://www.cbd.int/doc/decisions/cop-12/cop-12-dec-16-en.pdf

 

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