マダガスカルの爬虫類:絶滅の危機ながらまだ終わりじゃない
和訳協力:久野 陽子、校正協力:副島 亮子
2014年8月12日 IUCN News story
爬虫類は、マダガスカルで最も驚くべき生物であるが、IUCN Red List of Threatened Species™(絶滅危惧種に関するIUCNレッドリスト)によると、約40%近くの爬虫類が、絶滅の危険性が高い状況に直面している。
PLOS ONE誌で本日発表された研究によると、これらの種の多くが生き残るには、マダガスカルの保護地域での管理を成功させることが必要だとしている。
『Extinction Risk and the Conservation of Madagascar's Reptiles(マダガスカルの爬虫類の絶滅リスクとその保護)』という論文の中で、IUCN(国際自然保護連合)のSpecies Survival Commission(種の保存委員会)のメンバーを含む著者たちは、調査された370種類以上の爬虫類とそれらの爬虫類が直面している脅威について、地理的分布パターンを分析した。
マダガスカルは固有の動植物が生育・生息する地域としてよく知られており、そのほとんどが世界中のほかのどの地域にもいない。
多くの観光客はカラフルなカメレオンや巨大なヘビ、さらにこの世の物とは思えないようなleaf-tail geckos(ヘラオヤモリ属のヤモリ)の姿を一目見て驚愕し、島を後にする。
しかし、マダガスカルの野生生物の多くは、生育環境や生息環境の破壊による影響を受けている。
カメレオンやヤモリはもちろん、島のヘビやトカゲにとっても森林伐採は脅威をもたらす主要な原因である。
マダガスカルに生息する陸ガメと淡水ガメのすべての種は絶滅危惧IA類に指定された。
カメは、少なくとも保護区域内に部分的に生息している。
しかし、マダガスカルで食糧として密猟される種もいれば、国際的なペット取引のために採取される種もいる。
そのため、マダガスカルのカメの個体群は長年にわたって減少してきた。
8種の絶滅の恐れのある爬虫類が、現在全く保全管理の行われていない区域のみに生息しており、そのことがまたそれらの種の絶滅のリスクを高めている。
こういった状況を懸念する一方で、研究論文では、国の計画を活性化し、特に保護地域において生息地の喪失率を下げ、絶滅の脅威を抑えるのに役立つ、新しい情報が発表された。
密売の監視と自治体との協力が、これらの種を保護するためのキーとなる補助的な対策であることが示されたのだ。
研究では、楽観的な理由もいくつか挙げられた。
マダガスカルの新しい保護地域の重要性を強調しながらも、近年、ほとんどすべての既知の生物が野外で確認されており、これまでのところ絶滅は記録されていないのだ。
しかし、多くの保護地域ですら絶滅の脅威は存在するため、管理方法を改良する必要があることを強調している。
もし、マダガスカルの自然保護区が効率的に保護管理されれば、島の大部分の爬虫類を絶滅させずにすむだろう。
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