国際ユキヒョウデーを初めて祝う
和訳協力:筬島 順子、校正協力:花嶋 みのり
2014年10月22日 CMS News
明日はInternational Snow Leopard Day(国際ユキヒョウデー)だ。
この日を祝うのは今年が初めてであり、ユキヒョウに対する認識向上と教育のための特別なイベントがキルギス共和国のビシュケクで開催される。
ユキヒョウは、野生のネコ科動物の中でも最も謎めいた種である。
自然界に哺乳類は現在4,500~7,500種存在しているが、ユキヒョウはまたその中で最も絶滅の危機に瀕している動物である。
ユキヒョウの長期的な生存は決して保証されていない。
Convention on the Conservation of Migratory Species of Wild Animals(CMS:移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)の附属書Iに指定され、ユキヒョウの生息する12か国のレッドデータブックで保護されているにもかかわらず、ユキヒョウはいくつかの以前生息していた地域で絶滅している。
ユキヒョウとユキヒョウが生息する高山の生態系を守る保全するGlobal Snow Leopard and Ecosystem Protection Program(GSLEP:(仮)世界ユキヒョウと生態系保護プログラム)を承認するため、2013年、キルギス共和国政府の主導で、ユキヒョウが生息する中央アジアの12か国の代表がキルギス共和国のビシュケクに集結した。
フォーラムでは、2015年をInternational Year of the Snow Leopard(国際ユキヒョウ年)とし、毎年10月23日をユキヒョウデーとすることを宣言するよう、ユキヒョウ生息国に求めた。
ユキヒョウはえさを求めて、夏と冬に山岳地帯の異なる標高へと移動する。
大部分が単独で、非常に低い密度で、海抜600mから5,000mを超える山岳の牧草地に生息している。
生息域は約180万㎢と推測され、最大の生息域(60%)を中国のチベット高原が占めている。
中央アジアの数か国では、過去20年の間に失ったユキヒョウが40%を越えている可能性がある。
経済的苦境により、保護区で働くレンジャーまでもが家族を養うために野生動物の密猟と密売を強いられたためである。
種の保全は、挑戦的な課題だ。
個体群に関する知識や、生息地の消滅、密猟、人間とユキヒョウの対立などといった具体的な絶滅の脅威に関する知識が限られているからだ。
ユキヒョウは、大型の移動性哺乳類の15種のうちの1種である。
他には、サイガ、モウコガゼル、コウジョウセンガゼル、フタコブラクダ、アジアチーター、アジアノロバなどが含まれる。
これらは、CMSのもとで策定された新しい地域的なイニシアチブにより保護されている。
このCentral Asian Mammals Initiative (CAMI:(仮)中央アジア哺乳動物イニシアチブ)は、これらの種とその生息地の保全の強化を目的としている。
またCAMIには、種に対する主要な脅威への対処や、GSLEPなどのような既存の保護活動の全般的な調整の促進と同様に、国境を越えた協力やコミュニケーションの促進など、主要な活動の概略をまとめたプログラムが含まれている。
CAMIの活動プログラムは、エクアドル共和国のキトで11月4日から9日に開催される第11回締約国会議で発表され、採択される予定である。
ニュースソース
http://www.cms.int/en/news/international-snow-leopard-day-celebrated-very-first-time
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« 世界トラの日‐個体数が少ないにもかかわらず新たな希望? | トップページ | マダガスカルの爬虫類:絶滅の危機ながらまだ終わりじゃない »
「03 ネコ科」カテゴリの記事
- 大型ネコ科動物の解体処理場の摘発により、南アフリカのトラ牧場に対する監視が遅きに失したことが明らかに(2019.11.01)
- 現地取材:アマゾンのジャガー闇市場(2019.01.12)
- 人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か?(2018.12.18)
- ライオンの骨の取引における南アフリカの役割:見過ごされている話(2018.11.15)
- タンザニアが水力発電のために原生自然の残る保護区を伐採(2018.08.25)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「19 アジア」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 絶滅寸前のヨーロッパウナギが香港のスーパーマーケットに流通(2021.10.26)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
「12 哺乳類」カテゴリの記事
- Covid-19によりコウモリと疾病論争が再燃(2022.03.22)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「32 ボン条約」カテゴリの記事
- 混獲(ボン条約第12回締約国会議改訂版決議)(2018.06.14)
- ジュゴン保護のためのジュゴン生息国の協定 (COP12改訂版)(2018.05.12)
- 持続可能な開発と移動性野生動物種の保全に関するマニラ宣言(2018.05.10)
- ユキヒョウを絶滅の縁から救え(2018.01.30)
- 絶滅寸前のアフリカノロバの保護への道が拓かれる(2017.10.19)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
« 世界トラの日‐個体数が少ないにもかかわらず新たな希望? | トップページ | マダガスカルの爬虫類:絶滅の危機ながらまだ終わりじゃない »
コメント