EU、絶滅危惧種の違法な殺害を減らすために1200万ユーロを投資
アフリカ、カリブ海、太平洋において追い詰められている種に焦点を当てた資金提供
和訳協力:岡本 明子、校正協力:榛木マエ 久実
2014年7月4日 CITES Press Releases
European Commission(EC:欧州委員会)とConvention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の事務局は、アフリカ、カリブ海、太平洋における象徴種の密猟を最小限にするために、1200万ユーロ(約15億8千万円、2015年3月10日付換算レート:1ユーロ=131.4円)を支援する協定に、今週署名した。
Minimising the Illegal Killing of Elephants and other Endangered Species (MIKES:(仮)ゾウおよびその他の絶滅危惧種の密猟最小化プログラム)と呼ばれる計画の期間は50カ月あり、法施行基準とレンジャーによる監視体制に基づいて、ゾウやその他の象徴種の実情と脅威について定期的な信用できる情報をもたらしている。
European Union(EU:欧州連合)は、特に、アフリカ、カリブ海、太平洋(ACP)グループ諸国の事務局との関係において、野生生物犯罪と闘う世界的な取り組みを強化するきわめて重要な役割を担ってきた。
ECは、ボツワナでのゾウサミット開催期間中の2013年12月にMIKESを支持する決定を発表した。
「違法取引ために野生動物を殺害している犯罪者達との闘いは、前線では勝ったり負けたりするでしょう。このプロジェクトは、まさにより一層の支援が必要とされる厳選された現場で勇敢に尽力しているレンジャー達に、実用的で即時的なサポートを提供するものなのです」と、CITESのJohn E. Scalon 事務局長は述べている。
「EUは長期にわたる変わらないCITESの支持者であり、国家レベルで効果的なCITES規制を施行してきました。それは、このタイムリーで必要性の高いイニシアティブによってさらに強化されています」と、Scalon事務局長は付け加えた。
この大規模なプログラムは、大きな成功を収めているMonitoring the Illegal Killing of Elephants(MIKE:ゾウ密猟監視システム)プログラムに基づいたものだ。
MIKEは、2001年から現在まで、ECと主要パートナーの支援を受け、アフリカゾウの生息する国との協力の下、 CITESが開発し、実行してきたものである。
MIKEは、ゾウの保護に関する国際社会と生息国の決断と行動の基礎となるものとして、アフリカゾウの個体数、違法な殺戮、象牙の違法取引の状況と傾向に関する、信頼できる公平なデータを作成できるよう設計されていた。
MIKEプログラムでは、ゾウの密猟数の警鐘的な増加が示され、エスカレートする象牙の国際的な違法取引に起因する、アフリカ全土にわたってのゾウの個体数減少への高まる危機を減少させるため、緊急にさらなる行動をとる必要性が強調されている。
行動の必要性は、同じような脅威に直面しているその他のCITES附属書掲載種にも広がっている。
MIKESは、過去数十年間にわたってMIKEにより確立された強力な基盤と達成された成功を活用することにより、この要求に応えるだろうが、国際取引により危機的状況にあるそのほかのCITES附属書に掲載される象徴種も含むように、対象を広げている。
ジュ ネーブで7月7日から11日にかけて開催されるCITESのStanding Committee(常任委員会)は、MIKEの実状と8か国の国家象牙行動計画(中国、ケニア、マレーシア、フィリピン、タンザニア、タイ、ウガンダ、ベトナム)を評価し、さらなる国々が国家象牙行動計画を策定すべきかどうかも含め、違法な象牙取引をやめさせるための次の段階について議論する。
委員会はまた、2013年3月に行われた、不法取引により抑圧されているその他の種に関する法施行についての広範囲な決議の記録も検討する予定である。
ここには、野生チーターの合法または違法取引の調査と同様に、ゾウ、サイ、センザンコウ、大型類人猿も含まれている。
ニュースソース
http://www.cites.org/eng/EU_mikes_04072014
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