スマトラサイ-次の200年はあなたの行動にかかっている
和訳協力:木谷 咲子、校正協力:星子 啓子
2014年7月25日 IUCN Redlist News Release
あなたは、スマトラサイ(学名:Dicerorhinus sumatrensis)を見たことがあるだろうか?
人は自分たちの知るもの、そして愛するものを保護する、とよく言われる。
だからこそSOS(Save Our Species、自然保護NGO)は、この独特かつカリスマ的な、そして絶滅危惧IA類に指定されるスマトラサイの短編ビデオを共有し、絶滅の危機にさらされた種を、生息地を、そしてそこに従事する人々を守るという、SOSの試みを見てもらおうと考えた。
そしてInternational Ranger Day(国際レンジャーデー、7月31日)の取り組みとして、残された数少ないスマトラサイを密猟者から保護するためにたゆまぬ努力を続けるRhino Protection Units(RPUs:(仮)サイ保護部隊)の任務についても焦点を当てる。
スマトラサイが、生物史に初めて記録されてから、今年でちょうど200年になる。
1814年にドイツの生物学者であるJohann Gotthelf Fischer von Waldheim氏が、アジアに生息する二つの角を持つ毛サイ、もしくはスマトラサイの生物的な記述をした。
かつては個体数が多く、インドからボルネオまで幅広く生息しており、スマトラサイは二世紀以上にわたり繁栄していた。
しかし専門家によると、現在ではスマトラ島にあるインドネシアの3つの国立公園、Bukit Barisan Selatan(ブキ・バリサン・セラタン)、Gunung Leuser(グヌン・レウセル)とWay Kambas(ワイ・カンバス)にのみ生息し、その数は100頭にも満たないであろうと言われている。
数世紀にわたる狩猟、生息地の喪失と分断化は、劇的に個体数を減らした。
一方で、残されたスマトラサイこそ種の回復の最後の砦である。
SOSによる助成を受けている事業のプログラムオフィサーであり、IUCN(国際自然保護連合)の会員で、International Rhino Foundation(IRF:国際サイ財団)に所属するBill Konstant氏によると、問題は、次の200年のスマトラサイの生息を確実にするために、私たち全員が力を合わせられるかと言うことだ。
スマトラでは、特別な訓練を受けたRPUsが固有種のスマトラサイ、ゾウ、トラ、バクの個体数調査はもちろん、昼となく夜となく監視することによって、政府の森林警備隊を支援している。
各RPUは、銃の所持や密猟の容疑者を逮捕する権限を持つ野生生物保護管が指揮している。
野生生物保護管は、地域コミュニティから集められたチームによってサポートされている。
地元の協力と関与が、この任務の遂行において欠かせないものだ。
その結果として、IRFは地元の協力団体であるYayasan Badak Indonesia(YABI(仮)ヤヤサン・バダック・インドネシア)といくつかの政府当局とともに、ブキ・バリサン・セラタン国立公園をパトロールする7組の4人組みのRPUとWay Kambas国立公園に駐在する5つの部隊に対する訓練と装備の提供に、共に取り組んでいる。
これは、全部で48人の十分な訓練を受けたプロたちが、彼らより少し数が多い少数の絶滅危惧種のサイを護衛している、ということだ。
高度に訓練された彼らは、足をとられながら湿地を歩き、生い茂った熱帯のジャングルを這うように進み、長い時間と日々を費やしパトロールを行う。
保護すべき動物に遭遇することは稀なことだ。
しかしそれでも、この仕事に責任を持ち、情熱を抱いているのだ。
彼らの仕事を援助することは、種の生存にかかる重大なことだ。
レンジャーだけでなく公園の管理人や自然保護に携わる科学者たちが、スマトラサイの個体群が確実に生き残れるように協力することは、認められ、報われるべきことなのだ。
それは成功するまで続けられる、世界の宝を保護するための努力なのだから。
希望もある。
例えばAndatuはインドネシアの飼育センターで初めて産まれたスマトラサイである。
しかし、種を守るためには飼育下繁殖だけに頼るわけにはいかない。
それよりも、私たちの意志、能力、財源を集結させたものこそが、世界中の絶滅の危機にさらされた種の見通しを変えることができるのだ。
このように、スマトラサイの200周年記念は種が時とともに変転していくことをも認識させた。
未来は危ういばかりでなく、すべて私たちの手に委ねられている。
そんな現実に私たちは直面しているのだ。
行動しよう。
SOSに寄付をすれば、あなたも現地での種の保存に協力することができる。
SOSは、IRFとスマトラの連携組織が実施しているような、地元で行われる最善のプロジェクトに資金を送る組織である。
ニュースソース
http://www.iucnredlist.org/news/the-sumatran-rhino-another-200-years-its-your-call
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。クリックしてランキングにご協力ください。
にほんブログ村
« マダガスカルの爬虫類:絶滅の危機ながらまだ終わりじゃない | トップページ | 10%の鳥類は保護の網にかからずにいる »
「04 サイ」カテゴリの記事
- 象牙やサイの角の大物密輸業者逮捕で革命の兆し(2020.06.30)
- 伝統の名の下で滅びゆく野生生物(2019.02.09)
- 中国、サイとトラの部位の取引禁止措置を緩和する決定を擁護(2019.01.05)
- 世界有数の象牙調査員のEsmond Martin氏がナイロビで死亡(2018.04.24)
- スマトラサイは緊急措置がとられなければ絶滅の危機―IUCNが警告(2016.07.07)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「19 アジア」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 絶滅寸前のヨーロッパウナギが香港のスーパーマーケットに流通(2021.10.26)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- 増大する中国漁船団により世界の海洋資源が枯渇(2021.09.14)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
「34 IUCN 国際自然保護連合」カテゴリの記事
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- 野生生物取引により絶滅の危機にある種が保護対象となるには10年の歳月が必要(2019.10.29)
- カメルーンのセンザンコウ乱獲 国際的な保護でも食い止められず(2019.01.08)
- 最新報告:フカヒレへの食欲が絶滅危惧種のサメの個体数を減少させる(2018.12.08)
- 巨木林の減少に伴いヨーロッパのクワガタムシの5分の1が絶滅の危機に(2018.03.22)
この記事へのコメントは終了しました。
« マダガスカルの爬虫類:絶滅の危機ながらまだ終わりじゃない | トップページ | 10%の鳥類は保護の網にかからずにいる »
コメント