インドネシアでトラの取引業者が逮捕される
絶滅危惧種であるスマトラトラの全身の毛皮と、頭部や足の剥製などの部位を売りに出した2名の取引業者が逮捕された。
林業省の西ジャワ州Natural Resources Conservation Agency(BKSDA:自然資源保全局)とインドネシア警察(ランプン署)による今回の逮捕は、WCS(野生生物保護協会)のWildlife Crimes Unit(野生生物犯罪対策チーム)が技術支援をしていた。
取引業者には最高で5年の懲役と、1万USドル(約120万円、2014年12月3日付換算レート:1USドル=119.44円、以降同レート)の罰金が科される。
和訳協力:山崎 有起枝、校正協力:遠藤 智子
2014年10月30日 WCS Press Releases
林業省の西ジャワ州自然資源保全局、インドネシア警察(ランプン署)、WCSの野生生物犯罪対策チームは本日、野生生物の不正取引業者2名を、ネット上でトラの部位を売りに出したとして、逮捕したことを発表した。
この逮捕には、トラの全身の毛皮1頭分、足の剥製2点、頭の剥製1点、トラの爪1点の積荷が絡んでいた。
最初に逮捕された取引業者Wdyは、申し立てによれば、トラの部位を魔術用の目的で取引していたとされ、ソーシャルメディアを通じて製品を宣伝していた。
2人目の取引業者Smrは、室内装飾品としてトラの毛皮や、トラ・クマ・ライオンの剥製をネット上で販売する業者だとされている。
この人物はトラの剥製を5,000~7,000USドル(約60~85万円)で売っていた。
取引業者はバンダール・ランプン市内とメラク港で逮捕された。
バンダール・ランプンはランプン州の州都で、インドネシアにしか生息していない絶滅の危機に瀕しているトラの亜種、スマトラトラの生息する世界的に最も重要な場所の1つ、Bukit Barisan Selatan National Park(ブキ・バリサン・セラタン国立公園)から90kmほどの所にある。
ジャワ島のメラク港は、ランプン州からスンダ海峡を渡ってすぐのところにあり、スマトラとジャワの重要なハブ港であると同時に野生生物の密輸の出口としても有名だ。
BKSDAの西ジャワ州セラン事務所のAndre Ginson所長は、「今回の逮捕を可能にしたWCSの野生生物犯罪対策チームの技術支援に対して、特にトラの不正取引の正確な情報をいつも提供してくださったことに、心から感謝します。引き続きトラの不正取引と戦うために、林業省とWCSが協力していくことを望みます」と述べた。
ランプン警察の広報官であるSulistyaningsih警察中佐は、「トラの取引業者は、保護されている野生生物の部位を売買したことにより、インドネシア共和国法1990年第5号を犯しました。取引業者は最長5年の禁固刑と、最高で1万USドル(約120万円)の罰金を科されるでしょう」と述べた。
WCSのField Conservation((仮)野外での保全活動部門)担当の副会長であるJoe Walston氏は次のように述べた。
「これら最近の逮捕は、野生生物の不正取引業者に対して、インドネシアが野生生物犯罪に厳格に対処するという明確なメッセージを伝えています。インドネシアの野生生物という遺産を違法な野生生物取引から守るための、林業省の西ジャワ州自然資源保全局とインドネシア警察ランプン署の働きは素晴らしいと思います。
インドネシア当局との協力はこのような法執行において極めて重要です」。
WCSの野生生物犯罪対策チームは、Liz Claiborne and Art Ortenberg Foundation、United States Fish and Wildlife Service(アメリカ合衆国魚類野生生物局)のAsian Elephant Conservation Fund((仮)アジアゾウ保全基金)とGreat Ape Conservation Fund((仮)大型類人猿保全基金)、AZA(アメリカ動物園水族館協会)のTiger Species Survival Plan Tiger Conservation Campaign、San Diego Zoo Global(サンディエゴ・ズー・グローバル)の支援を受けている。
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