最後の移動性哺乳類を守るために中央アジア哺乳類イニシアティブが発足
和訳協力:石井 綾子、校正協力:杉山 朝子
2014年11月6日 CMS News
エクアドルのキトで開催されていたCMS(移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)のCOP11(第11回締約国会議)で、11月6日、Central Asian Mammals Initiative((仮)中央アジア哺乳類イニシアティブ)が発表された。
サイドイベントで、新しい報告書のCentral Asian Mammals Initiative:Saving the Last Migrations((仮)最後の移動性哺乳類を守る」)が公表された。
イニシアティブでは、大型哺乳類とその移動に対する脅威の概要を説明し、保全のための解決策を示している。
中央アジアには、手つかずで、ずっとつながった世界最大の景観が残っている。
また、Mongolian Gazelles(モウコガゼル)、Asiatic Wild Ass(アジアノロバ)およびSaiga Antelopes(サイガ)が大群で長距離を移動することからSerengeti of the North((仮)北のセレンゲティ)としても知られている。
この地方は、大型の有蹄類が移動するホットスポットとして世界で最後まで残っている地域のひとつである。
それは、巨大な草原生態系、砂漠生態系および山岳生態系があるためであり、これらは野生生物にとって不可欠であり、また必須な生態系サービスをもたらすものだ。
しかし、病気や気候変動によって大型有蹄類の存在そのものが脅かされているうえに、密猟、違法取引、生息地の消失、インフラ整備および障壁などにより、移動が危険な状況にある。
このような脅威を解決するには、人間のための持続可能な利益のためだけでなく、種の生残、移動および生息地を確保するために、生息域の国々が科学的根拠に基づき、国際的に協調した保全策を実施することが必要とされる。
Central Asian Mammals Initiative(CAMI)は、この地域の移動性哺乳類を保全する戦略的枠組みを築くためにCMSの下に発足した。
イニシアティブはCMSの附属書に掲載されている11種、およびCMS附属書に掲載することが有益と思われる、アジアの長距離移動性野生動物4種を対象としている。
15
種の分布は14カ国におよび、そのうちの8カ国(インド、イラン・イスラム共和国、カザフスタン、キルギスタン、モンゴル、パキスタン、タジキスタンおよ
びウズベキスタン)は条約を批准しているが、6カ国(アフガニスタン、ブータン、中国、ネパール、ロシア連邦およびトルクメニスタン)は未だにCMSの締
約国となっていない。
CMSはCAMIを通じて、取り組みを実施する国々をサポートし、全利害関係者に対して連携し、主要な活動に賛同するように促すことができる。
CMSは、国境を越えて野生生物保全を促す潜在的能力を持つのだ。
ニュースソース
http://www.cms.int/en/news/launch-central-asian-mammals-initiative-save-last-migrations
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