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2014年12月21日 (日)

ホッキョクグマのボン条約附属書IIへの追加の提案―その3

和訳協力:石塚 信子、校正協力:杉山 朝子

2014年11月4日 UNEP/CMS/COP11/Doc.24.1.11/Rev.2より抜粋(19~22ページ)

4.4 国際的な保護状況

4.4.1 CITESとの整合性

ホッキョクグマ(学名:Ursus maritimus)は、Convention on International Trade in
Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、通称「ワシントン条約」)の附属書Ⅱ掲載種で、上位の分類群であるクマ科が附属書Ⅱに指定されている。
すべてのホッキョクグマ生息国がCITESの締約国であり、どの国もホッキョクグマの附属書Ⅱへの登録の決議について留保していない。
CITESは、適宜、国際商取引に関係する問題に取り組んでおり、ホッキョクグマのCMS(移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)の附属書掲載については、この進行中の活動に全面的に協力すべきである。

4.4.2 ACPB(ホッキョクグマ保護に関する国際協定)との整合性

ホッキョクグマが北極圏の重要な資源だと認識し、さらなる保護を求めるカナダ、デンマーク(グリーンランドを含む)、ノルウェー、ロシア、アメリカ合衆国の5か国の政府間で、1973年に北極周辺のAgreement on the Conservation of Polar Bears(ACPB:ホッキョクグマ保護に関する国際協定)が調印された。
ACPBは、協定調印国政府それぞれの法に基づく伝統的な権利の行使を含む、第III条に規定される場合を除き、ホッキョクグマの捕獲を禁じている。
1973年のPolar Bear Agreement((仮)ホッキョクグマ合意)は、ホッキョクグマが属する生態系を保護する適切な行動をとるよう、すべての加盟国に求めている。
特に、巣穴や餌場など生息環境の構成要素と移動パターンには、特別な注意が要される。
また、最良の科学的データに基づいた適切な保護対策に従い、ホッキョクグマの個体数を管理するためにも、適切な行動が求められている。
2009年の加盟国の会合で、ACPBの加盟国は、ホッキョクグマが属する生態系の保護に関する協定第Ⅱ条を実施する方法として、生息環境保護の重要性を強調した。
それは、保護地域の拡大がホッキョクグマの個体数の減少防止および生態系の脆弱性改善の潜在的可能性があること、また保護地域は、気候変動による海氷状態の長期的な変動と、ホッキョクグマの存続に必須の生息環境の総合的な健全性を考慮して、設定すべきであるとされた(Parties to the 1973 Agreement on the Conservation of Polar Bears, 2009,2009b)。
2009年の加盟国の会合以降、ホッキョクグマ生息国は、この種のためのCircumpolar Action Plan((仮)環北極圏行動計画)を練り上げてきた。
この包括的行動計画は、IUCN/SSC(国際自然保護連合/種の保存委員会)のPBSG(ホッキョクグマ専門家グループ)の助言を受けた、ホッキョクグマが直面するすべての脅威の評価、また同時にその脅威の軽減方法を含むものだ。
軽減方法には、Best Management Practices(BMP's:最適管理手法)の採用を含む。
ホッキョクグマのCMSへの掲載は、どのような形であってもこの活動をサポートし、調和するものでなくてはならない。
ホッキョクグマの非生息国のCMS締約国は、その国に適した関連するBMP(たとえば、海運業やクルーズ船運航のBMP)を採用することで、ホッキョクグマ保護に関わることができる。
Circumpolar Action Planは、2015年の加盟国会合で成立する予定である。

4.4.3 Inuvialuit-Inupiat Polar Bear Management Agreement((仮)イヌビアルイト-イヌピアットホッキョクグマ管理協定)との整合性

2000年に、文化的にも生活の糧としてもホッキョクグマを捕獲する、カナダのイヌビアルイトと米国のイヌピアット間で、南ボーフォート海における二者間の協定、Inuvialuit-Inupiat Polar Bear Management Agreementが結ばれた(Brower, Carpenter et al. 2002)。
この協定は、国境を越えて活動する単一の個体群を共有し、そこから狩猟しているという理解に基づき、両民族にホッキョクグマの保護と狩猟活動に対し、連帯して責任を負うものとしている。
協定は、年間捕獲量、狩猟期、および雌、子熊、巣穴の保護についての条項を含む(United States Fish and Wildlife Service 2009; Brower et al. 2002)。
毎年代表者らが会議を開き、年間捕獲割当量を決定し、個体群の実態と傾向について話し合う。

4.4.4 米国およびカナダ間の了解覚書との整合性

2008年、米国とカナダとの間で覚書が交わされた。
これは、ホッキョクグマの保護と管理について、2国間の協調と協力を促進、強化するためのものである。
了解覚書では、両国の機関とアラスカ先住民のホッキョクグマについての専門知識や管理経験を再現するよりも、むしろ影響力を行使する必要性を認識し、相互監視グループを設立した(United States Fish and Wildlife Service 2009)。
さらに了解覚書では、北米のホッキョクグマ個体群に関する入手可能な情報および先住民の伝統的知識を評価するための科学作業部会の設立、またホッキョクグマの管理とその保護について、カナダ環境省および米国内務省へのアドバイスが必要として、その他の作業部会の設立の必要性を認めている(United States Fish and Wildlife Service 2009)。

4.4.5 Alaska-Chukotka Polar Bear Agreement((仮)アラスカ-チュクチホッキョクグマ協定)との整合性

アラスカおよびチュクチ地域のホッキョクグマ個体群の保護と管理に関する二国間協定がアメリカ合衆国政府とロシア連邦政府間で2000年に締結、2007年に施行された。
協定では、合同委員会(先住民と連邦政府各1名の計2名が権限を持つ)が監視のために設けられ、狩猟制限の設定、規則を施行するための権限、また長期観測および報告を行うための権限を有し、先住民組織と協力して研究優先順位を明らかにする。
協定では、当事国に重要なホッキョクグマの生息地の保護を委ねている。
USA-Russia Polar Bear Commission(米露ホッキョクグマ委員会)の最初の会議は、2009年9月23~25日にモスクワで開催された。
委員会は下部組織としてScientific Working Group(科学作業部会)を設け、アラスカおよびチュクチ地域のホッキョクグマの個体群の保護と管理に関する問題解決のために委員会をサポートするものとしている(United States Fish and Wildlife Service 2009)。

4.4.6 カナダ政府、ヌナバット準州(カナダ)およびグリーランド間のホッキョクグマの協定との整合性

カナダ政府、ヌナバット準州、グリーンランドの三者間でホッキョクグマの保全および管理に関する了解覚書が2009年に調印された。
この覚書では合同の委員会を設立し、全体での捕獲許容量と収穫の公平な分配を推奨するものだ(Environment Canada, 2009b)。
また、合同委員会に専門知識を提供する、Scientific and Aboriginal Traditional Knowledge Working Groups((仮)科学作業部会および先住民の伝統知識作業部会)を設立した。
2010年の会議以降、 科学作業部会は研究プログラムを開発し、ケイン盆地およびバフィン湾に生息する亜個体群の推定個体数を更新した。
現地調査は2014年春に終了しており、2015年春には新しい推定個体数が利用できるようになるだろう。

4.4.7  United Nations Convention on the Law of the Sea(UNCLOS:海洋法に関する国際連合条約、通称「国連海洋法条約」)との整合性

UNCLOSは、1982年12月10日にThird UN Conference on the Law of the Sea(第三次国連海洋法会議)において採択され、1994年11月16日に発効した。
海洋の管理統治の近代的枠組みを確立し、アクセス権と、生物資源の保護および海洋環境の保護と保存の義務を特定した。
そのためUNCLOSは、関係国の海洋環境汚染の防止、汚染の減少、汚染管理を定めたことになる。
CMSとの共同する中でUNCLOSにより、多くのホッキョクグマ保全対策が実行された。

4.4.8 CMSとの整合性

CMSは、長期にわたり継続して、適切にホッキョクグマの保護に関与すべき任務がある。
それは、気候変動による北極圏への影響が懸念されること、またCMS附属書に掲載する北極地に生息する種属を決定する必要があること、CMSの第10回締約国会議において、気候変動の影響を著しく受ける種としてホッキョクグマの附属書掲載を考慮すべきであるとされてきたことなどから生じたものである。
さらに、移動性の種の保護に関する国際協力をより強化するうえで、CMSが有益な役割を果たすという任務もある。

1997年には、CMS勧告5.5:Climate Change and its Implications for the Bonn Convention((仮)気候変動とそのボン条約との関わり)により、気候変動の影響へのCMSの対応を策定するための作業部会の設立が初めて要求された(CMS 1997)。

2005年には、CMS決議8.11:Cooperation with other Conventions((仮)ほかの条約との連携)では、生物多様性に関する世界的な協力のように、すべての関係者間の柔軟性の高い枠組みのための選択肢を検討することが要請された。
協力関係を深めることを通じて、移動性の種の保全の国際的な実施体制を強化するためである。
同じCMSの締約国会議において、決議8.13:Climate Change and Migratory Species((仮)気候変動および移動性の種)も承認され、気候変動は移動性の種の行動、分布および個体数に深刻な影響を与える可能性があり、また生息環境の生態的な特徴を変えてしまうこともあり得ることが認識された。
決議8.13では、この分野で目的を達成するために、CMS事務局および科学委員会が優先的に実施する作業プログラムを構築した(CMS, 2005; CMS 2005b)。

2008年には、CMS決議9.6:Cooperation with other Bodies((仮)ほかの団体との協力)が承認され、CMSは、ほかの生物多様性に関する機関および国際組織と効果的かつ実用的な協力関係を引き続き発展させること、またCMS事務局にとって、CMSの下で結ばれた協定および科学委員会は、IUCN専門家委員会との関わりを強めることが、重要であると再確認した。
CMSの第9回締約国会議では、決議9.7:Climate Change Impacts on Migratory Species((仮)移動性の種への気候変動の影響)も承認された。
この決議は、締約国にどの種が直接的または間接的に最も脅かされるか、または影響を受けるかを確認するように、また科学委員会には、移動性の種の気候変動への適応に関する将来の作業プログラムでの優先事項を見極めるように要請した。
同時に、様々なCMS関連団体、ほかの生物多様性に関する組織、および生物多様性に関連する団体には、CMSの締約国が移動性の種に対する気候変動の影響の対応措置を導入する際に、科学的および技術的助言を与えるように要請した(CMS, 2008; CMS 2008b)。
CMS決議9.9:Migratory Marine Species(移動性海洋生物)は、気候変動により北極圏で起きている大規模な加速度的な変化と、特にこの地域で移動性の海洋哺乳類がそれにより受ける影響に特別に注意している。
この決議では、科学委員会およびCMS事務局に、今後10年間でCMSの介入を必用とする海洋領域における優先事項、種および生息地の特定を指示している。
同時にこの決議は、CMSが、北極圏の移動性の海洋生物に関する研究方法と共有利益の問題について、Arctic Council(北極評議会)、特にCAFF(北極圏植物相・動物相保存作業部会)との話し合いをするよう要請した(CMS, 2008c)。

2011年のCMSの第10回締約国会議では、ほかの団体との協力と相乗作用の重要性を繰り返して述べている決議10.21:Synergies and Partnerships((仮)相乗作用とパートナーシップ)を通じて、締約国は協力関係の強化と促進を訴えた。
この決議は事務局に、ほかの生物多様性に関する機関および国際組織を含む、関連利害関係者との有効で実用的な協力関係の発展を継続するように要求している。
特に決議10.21では、CMSとConvention on Biological Diversity(CBD:生物多様性条約)の事務局が、そのほかの関連する多国間環境協定(MEAs)の事務局と同様に、CBDの中での動物の保護と持続可能な利用に対して、さらに統一のとれた手段を助言できることを示している。
これは、 Strategic Plan for Biodiversity 2011-2020(生物多様性戦略計画2011-2020)とCBDの第10回締約国会議で採択された愛知ターゲット(決議ⅹ/2)の、生物多様性関連の条約による実施に関しての手段を含むものだ。
またこの決議は、国際組織間の協力を促進し、加盟国が関わる様々な条約やそのほかの国際フォーラムの中で国家的な立場を調和させることで、移動性の種に関わる生物多様性の問題の統合することを加盟国に要請した(CMS, 2011c)。

最も重要なことは、CMS科学委員会の気候変動作業部会がワークショップ-The Impact of Climate Change on Migratory Species:the current status and avenues for action((仮)移動性の種への気候変動の影響:現状と行動への道筋)-の結果を提示したことである。
それは、研究の優先事項とCMSの気候変動についての施策と決議に含めるべき施策の勧告を集めたものだった(CMS, 2011d)。
結果として、決議10.19:Migratory Species Conservation in the Light of Climate Change((仮)気候変動を鑑みた移動性の種の保全)は、気候変動作業部会の草案が承認された。
この決議は、締約国、科学委員会、保全の利害関係者、関係組織に、個体群のサイズと遺伝的多様性の維持または増加させるのため、気候変動以外の脅威を減らし、気候変動に対する移動性の種とその生息地の回復強化を求めている。
生態系ネットワークに関して決議10.3を実施するにあたり、決議10.9は事務局および科学委員会に、第Ⅰ条の「range((仮)範囲)」および「historic coverage(歴史的適用範囲)」という用語を含み、気候変動に対応するための種の必要条件を考慮した新しい解釈から、協定の規定が有効かどうかを検討するよう求めている。
1979年に条約の条文が調印された時には、気候変動が明白に考慮されてはいなかったということである。
決議10.9では、気候変動が生物多様性にもたらす脅威に、もっと効果的に取り組むために、事務局にそのほかの国際機関の事務局との相乗作用の強化するように要求している。
一方で、各条約の異なる任務と独立した法的立場も認識している。
最終的に、決議10.19は、締約国および科学委員会、科学的組織体(IUCNおよびその他の関連組織を含む)に、IUCNレッドリストのほかの移動性の種と同様に、附属書ⅠおよびⅡに掲載されている種を気候変動の影響を最も受けやすいものと認識し、特にホッキョクグマのCMS附属書への掲載について検討するように要請している(CMS, 2011b)。

ニュースソース
http://www.cms.int/sites/default/files/document/Doc_24_1_11_Rev2_Prop_II_1_Ursus_maritimus_%28Polar_bear%29_NOR_Eonly_0.pdf

 

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