バザルート諸島国立公園のジュゴンの新視点
和訳協力:浜島 真由美、校正協力:村田 幸代
2014年5月21日 IUCN Redlist News Release
ほとんどの場合、美しい場所や驚きに満ちた生物たちと、私たちの気持ちがつながるかどうかは、見方によるものである。
SOS(Save Our Species)の補助金を受けており、IUCN(国際自然保護連合)の会員でもあるEndangered Wildlife Trust(EWT:絶滅危惧野生生物トラスト)のKaren Allen氏は、自身のカメラを使って新しい視点を発見し、西インド洋モザンビークのバザルート諸島国立公園の美しさを公開している。
ここには、今後も存続可能な個体数を有する西インド洋で最大規模のジュゴンの群れがいる。
Karen Allen氏は、プロジェクトの一つである空中査察に参加し、バザルートの宝石を散りばめたような海の上空高くまで上昇し、虹色の浅海や見渡す限りの砂洲の間にある藻場の中で、絶滅危惧II類のジュゴンが食料を探し泳いでいるのを見た。
この空中査察により、すべての漁業活動、密漁、ジュゴンやオニイトマキエイ、ジンベイザメを目撃した情報を記録し、脅かされているホットスポットを特定し、ジュゴンの分布図を作成することができる。
ジュゴンは広大な公園中に分散しており、ほとんどの場合その姿は空中からしか見られないため、この分布図はとても重要である。
Karen Allen氏はSOSを更新し、撮影した写真を共有して、次のように説明した。
「いつもより長く更新しませんでした。だからと言って、私たちが忙しくないわけではありません。実際のところ、バザルートのジュゴンを危険な状況から守る法執行戦略に、現在の段階を組み入れる作業に、まったくのところ夢中だったのです」。
EWTのDugong Emergency Protection Project(ジュゴン緊急保護プロジェクト)により、モザンビークのMarine Protected Area(海洋保護区)管理を大幅に改善することができた。
2014年5月は、改良された法執行制度がバザルート諸島国立公園で適用されてから一周年となる。
これはSOSからの支援、そしてモザンビーク政府との提携関係によるものだ。
このプロジェクトにより、保護活動に関する著しい成果が見られた。
国立公園に生息するジュゴンの危機の緩和、より広い範囲での海洋巡回や報告の改善、バザルート諸島やその周辺の空中査察とモニタリングなどだ。
空中査察とモニタリングの活動により、EWTはジュゴンの分布図を作成し、明確な2つの群れを特定することができた。
一つの群れは公園の敷地内に、もう一つの群れは公園の北部にいることがわかった。
重大な危機に瀕した海域もまた特定されたが、ここは公園の範囲外でジュゴンが目撃された地域と重なっている。
これらの危険性の高い海域でジュゴンを死なせないように、脅威を緩和する活動が行われている。
ニュースソース
http://www.iucnredlist.org/news/new-angles-on-bazaruto-archipelago-national-parks-dugongs
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