重要な国際的合意の成立によってヒョウの保護が注目される
2014年5月13日 Panthera Immediate Press Release
和訳協力:増田 みどり、校正協力:久保 直子
先週、コーカサス(またはペルシャ)ヒョウの未来にとって新たな進歩があった。
世界有数の野生ネコ科動物保護団体Panthera(パンセラ)とアゼルバイジャン共和国のInternational Dialogue for Environmental Action(IDEA)との間で、ヒョウの保護に関する合意が成立したのだ。
この保護に関する合意は、先週、IDEA主催で開催されたアゼルバイジャン共和国の首都バクーでの会合で、同国の環境天然資源省の代表者が出席する中、パンセラ会長Thomas S. Kaplan博士とIDEA創設者のLeyla Aliyeva氏が共同の了解覚書 (MOU)に署名し、成立した。
この覚書は、パンセラとIDEAの二つの著名な団体が、絶滅の危機に瀕したこの大型ネコ科動物のためにどのように協働していくかについてのものである。
パンセラとIDEAはこの中で、同国のヒョウの生息状態と生息域を評価することに合意した。
また最も重要なことは、両者がこの絶滅の危機に瀕した個体群の保護計画の策定に取り組むことを約束したことである。
パンセラは、同国の科学者を対象にコーカサスヒョウを救うことに焦点を当てた研究および保護方法の研修支援も行う予定だ。
「私たちは、世界有数の野生ネコ科動物保護団体であるパンセラと、この戦略的な協力を合意することができて、大変嬉しく思っています」と、IDEA創設者のLeyla Aliyeva氏は述べた。
「パンセラは、アゼルバイジャンの文化および自然遺産の特別な象徴であるコーカサスヒョウと、その生態系の保全プログラムを遂行するための、私たちが必要な専門知識を持っています」。
IDEAは、アゼルバイジャン共和国内の環境教育および自然保護教育、そして保護への意識を高める率先的活動の優れた提案者である。
IDEAの取り組みはまた、特に同国の自然保護活動に関わる若者や次世代の人たちを中心とした、国民による保護活動の促進を目指している。
「私たちは、国内に生息するヒョウの個体群を保護し、大きくしようとするアゼルバイジャンの新たな取り組みを歓迎します」と、パンセラ会長のThomas Kaplan博士は語った。
「私たちは、世界で初めてヒョウの保護を目的とした地球規模プログラムProject Pardus((仮)ヒョウプロジェクト)に乗り出したばかりで、この象徴的な存在となった種を救うという共通の夢の実現のため、IDEAと共に活動するのを楽しみにしています」。
アゼルバイジャン共和国では、最大で12の小規模だが活気のあるコーカサスヒョウの個体群が今なお生息していると科学者は推定する。
この新たな国際連携の下での最初の緊急対策として、同国でヒョウが今も生息する場所を正確に捉え、ヒョウの生息数を推定するため、PantherCams((仮)パンセラカメラ:パンセラが開発した遠隔撮影が可能なカメラ)20台を設置する予定だ。
International
Union for Conservation of
Nature(国際自然保護連合)により「Endangered(絶滅危惧IB類)」に指定されているコーカサスヒョウは、中東およびアジア一帯の個体数
が1,000頭にも満たず、イランに隣接するアゼルバイジャン共和国が位置する北西コーカサス地方では多くても25頭と推定されている。
ヒョウは、その珍しい毛皮と身体部位を狙う密猟者によって絶滅に追い込まれている。
毛皮やヒョウの体の一部は 違法な野生生物の市場を通して売られているのだ。
特に南コーカサス地方における生息地の消失と分断化は、ヒョウと地元の畜産者との家畜の略奪が原因の争いや、地元村民によるヒョウの獲物となる動物の乱獲と並んで、もう一つの大きな脅威となっている。
西アジアと東ヨーロッパが交差する地点に位置するアゼルバイジャン共和国は、コーカサスヒョウの個体群を今なお支えるほんの一握りの国のひとつであり、ゆえに、この野生のネコ科動物が長期的に生き残るために極めて重要な国である。
同国は、コーカサスヒョウを保護することによって、この種と自国の多様な生態系を守ることに一役買っているだけでなく、自国と自国民の古代および歴史上の重要な文化遺産を保護しているのだ。
パンセラは、コーカサスヒョウおよびアゼルバイジャン共和国特有の野生動物の長期的な保護計画立案の支援のため、最近バクーで開催されたIDEA主催の Caucasus Cat Summit((仮)コーカサス・ネコ科動物サミット)において、国際的な野生ネコ科動物専門の科学者たちや、複数の環境NGO、利害関係者たちからなる 中核グループに加わった。
ニュースソース
http://www.panthera.org/sites/default/files/Azerbaijan_Leopard_Press_Release_May_12_2014.pdf
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。よろしければクリックしてください。
にほんブログ村
« 西アフリカのアフリカウスイロイルカ、漁の取り締まり強化が功を奏する | トップページ | 違法取引により、さらに多くの世界遺産が危機に »
「03 ネコ科」カテゴリの記事
- 大型ネコ科動物の解体処理場の摘発により、南アフリカのトラ牧場に対する監視が遅きに失したことが明らかに(2019.11.01)
- 現地取材:アマゾンのジャガー闇市場(2019.01.12)
- 人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か?(2018.12.18)
- ライオンの骨の取引における南アフリカの役割:見過ごされている話(2018.11.15)
- タンザニアが水力発電のために原生自然の残る保護区を伐採(2018.08.25)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「21 中東」カテゴリの記事
- UAEで将来的にエコツーリズムが増加するとされる理由(2018.11.03)
- チーターの違法取引をやめさせよう(2016.04.14)
- 重要な国際的合意の成立によってヒョウの保護が注目される(2014.11.07)
- 紅海とインド洋でのサメ保全を後押しする新たな保全の枠組み(2014.06.14)
- ノガンに関する了解覚書締結国の会議が4月8日から開催される(2013.05.13)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
この記事へのコメントは終了しました。
« 西アフリカのアフリカウスイロイルカ、漁の取り締まり強化が功を奏する | トップページ | 違法取引により、さらに多くの世界遺産が危機に »
コメント