キツネザルの保護団体がマダガスカルのアンジャナハリベ・スド特別保護区の境界設定プロジェクトを助成
和訳協力:木谷 咲子 校正協力:鈴木 洋子
2014年6月30日 African Conservation Foundation News
Lemur Conservation Foundation(LCF:(仮)キツネザル保護基金)は、マダガスカルのAnjanaharibe-Sud Special Reserve(ASSR:アンジャナハリベ・スド特別保護区)の境界設定プロジェクトに資金を提供している。
ASSRは、マダガスカル北東部の広大な山岳熱帯雨林地帯であり、絶滅寸前のシルキーシファカやインドリを含む、11種のキツネザルたちの生息地である。
ここは長年、生物多様性の観点から保護の優先性が高い地域であると同時に、忘れ去られている保護区であると認識されていた。
LCFは、キツネザルの重要な生息場所であるASSRを保護する取り組みに喜んで参画している。
ASSRは1958年に保護区として制定された。
1993年には、World Wildlife Fund(WWF:世界自然保護基金)が、ASSRおよびそれと隣接するマロジェジ国立公園周辺で、大規模な「integrated conservation and development program(ICDP:統合的保全開発プログラム)」を開始した。
WWFは、すべての管理権限がMadagascar National Parks(MNP:マダガスカル国立公園)に譲渡された2004年まで、それらの保護区を管理していた。
ASSRは、マダガスカルで最も多様な生物が保護されている地域の一つとして、長年認識されてきた。
絶滅寸前のシルキーシファカとインドリを含む、少なくとも11種のキツネザルが、この保護区で発見されている。
シルキーシファカは世界で最も珍しい哺乳類のうちの一つである。
残存する野生の個体は2,000匹に満たず、飼育されている個体はいない。
ASSRに住むインドリたちは、マダガスカルの生息地の最北の個体群である。
ASSRは長きにわたり、生物多様性がとても高く、またキツネザルにとって重要な生息地であると、研究者や自然保護活動家たちには認識されていたにもかかわらず、近年まで研究、観光、保護活動はほとんどなされていなかった。
マダガスカルで最も忘れ去られた、保護の優先順位の高い場所の一つなのだ。
ASSRは、マダガスカルでも大規模な熱帯雨林の一つである。
93種の両生類と爬虫類、そして180種のアリに加えて、74種の鳥類が発見されている。
ASSRにおける膨大な数の植物相リストはまだ完成していないが、植物の多様性は注目に値するものとして知られている。
シダ類は200種以上確認されている。
加えて、著しく観光客を引きつけるのは、古代のtakhtajania(シキミモドキ科タクタヤニア属)の低木である。
最初の顕花植物として進化したものの一つで、おそらく恐竜がいた時代からマダガスカルに生育してきたものだ。
ASSR特別保護地区の総合計画には、境界設定などの保護優先度、Camp Indriの発展、キツネザルの調査、森林再生プロジェクト、そして地域社会との共同活動が含まれている。
このプロジェクトは、アンダパのマダガスカル国立公園事務所によって実施され、Duke Lemur Center(デューク大学キツネザルセンター)のSAVA Conservation(SAVA保護イニシアティブ)によって管理、進行がなされている。
シルキーシファカやインドリなどのキツネザルの種についての詳細は、ASSRやAko Projectなど、LCFの保護プログラムにて学んでいただきたい。
LCFのウェブサイトはこちら:http://www.lemurreserve.org
LCFについて:
LCFはPenelope Bodry-Sandersによって1996年に設立された。
LCFは、使命を達成するための事業すべてに技術を吹き込むという方針のもとに、専ら科学研究、教育、キツネザルの繁殖を目的としたプログラムを通して、マダガスカルの霊長類の保護と保全のリーダーとなっている。
LCFは、フロリダのマイオークカシティの100エーカーの広さの施設を本拠地とする、アメリカ動物園水族館協会公認の民間団体である。
9~13エーカーの広さの、自然を模した放し飼いの生息場所に、現在40頭以上のキツネザルが生息している。
LCFは、自然科学、保護、教育、技術、そしてキツネザルの代弁者として尊重され、またマダガスカルや世界の保護活動そして環境管理に取り組む象徴的なイメージを持つ団体である。
★ニュース翻訳を続けるためにご協力ください!
→JWCSのFacebookでページのイイネ!をして情報をGET
→クリックで守ろう!エネゴリくんの森でゴリラの保全に協力
→JWCSの活動にクレジットカードで寄付
※日本ブログ村の環境ブログに登録しています。よろしければクリックしてください。
にほんブログ村
« 最前線にて―気候変動に直面する小島嶼国に支援 | トップページ | 熊農場の熊の心臓は「正常でない」 »
「22 アフリカ」カテゴリの記事
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
- コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす(2021.08.31)
- ボツワナでゾウ狩りライセンスのオークションが開始される(2021.01.15)
- 9.5tものセンザンコウのうろこの押収により、野生生物犯罪への対応強化がナイジェリアで必至に(2020.10.20)
- 保護区域周辺の人間と野生動物の対立を緩和するための地域密着型の戦略の実験的調査(2020.07.07)
「35 レッドリスト 絶滅危惧種」カテゴリの記事
- 香港市場に出回る絶滅危惧種であるハンマーヘッドシャークのフカヒレは、主に東太平洋地域産であることが判明(2022.04.12)
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
「09 サル」カテゴリの記事
- キツネザル類のほぼ3分の1とタイセイヨウセミクジラが絶滅危惧IA類に―IUCNレッドリスト(2021.11.16)
- 霊長類の保護対策の効果、いまだ不十分(2021.10.05)
- コンゴ共和国がゴリラやゾウの住処となる新しい国立公園を指定(2019.02.16)
- 人間と動物にとってフレキシブルな空間が我々には必要か?(2018.12.18)
- カメルーンの内乱で数千人が保護地域に逃れ、野生生物が危機に(2018.12.11)
「41 保護区」カテゴリの記事
- ブラジルの先住民グループが違法伐採をめぐる数十年の争いに勝利(2022.04.19)
- ガラパゴス諸島の貴重な海洋生物を中国の巨大漁船団からどのように守るか(2021.09.21)
- コロナ禍でのトロフィー・ハンティングの禁止がアフリカの野生動物と人々の生計を脅かす(2021.08.31)
- 最後に残された最上級の熱帯林が緊急に保護の必要があることが、最新の研究により明らかとなる(2021.08.17)
- 科学者らが2030年までに世界の3分の1の海洋を保護する手法を立案(2020.11.10)
「40 保全対策」カテゴリの記事
- スリランカがゾウ保護のためプラスチック製品の輸入を禁止へ(2022.01.25)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先にある未来には地球の健康の再生が必要(2021.12.28)
- 陸棲脊椎動物の絶滅が加速していることが調査により判明(2021.12.14)
- クロマグロ産卵場における致命的な漁具に対するトランプ政権による許可の差し止めを求め複数の団体が提訴(2021.11.02)
- ディスコライトでパニック:ボツワナのチョベ地区におけるアフリカゾウの侵入を防ぐ太陽光発電ストロボライト(2021.10.19)
コメント