エボラ出血熱大流行によりオオコウモリに近づかないよう西アフリカの住民に警告
和訳協力:山田 由加里、校正協力:真井 悠美子
2014年8月13日 PRI Development & Education article
科学者は、エボラウィルスが猛威をふるっている西アフリカの地域社会に対し、オオコウモリに近づかないよう、また、そのほかの野生動物の狩猟にも注意するよう警告している。
西アフリカでは、オオコウモリに接触するだけでなく、スープやそのほかの料理にも使う。
フルーツコウモリとも呼ばれるように、オオコウモリは果物だけを食べ、密林に生息している。
World Health Organization(WHO、世界保健機関)によれば、これまでに1,000人以上の命が奪われ、史上最悪のエボラ出血熱の流行となっており、承認前の試験的な薬剤やワクチンの使用が促されている。
エボラ出血熱はギニアで発症し、リベリアやシエラレオネに感染が拡大していった。
医療機関は懸命に感染を収束させようとするのと共に、住民に対して、狩猟された野生動物の肉、特にオオコウモリには触れないよう、注意を呼び掛けている。
Bucknell University(バックネル大学)の生物学教授、DeeAnn Reeder博士によれば、この地域では長年、野生動物の狩猟を行ってきている。
「野生動物の狩猟は珍しくない慣習です。肉を摂取するのによい手段なのです。狩猟者や食肉解体者には、オオコウモリやそのほかの動物を狩猟する際、危険が常に付きまといます。 …基本的に食用に動物の死体を処理する人は誰でも、血や組織、唾液に触れることは避けられず、時には噛まれる危険性もあります。調理された肉にはさほどその危険性はなく、我々もこれが問題だとは思っていません。しかし危険が発生するのは、最初に人が野生動物に接触する時点なのです」とReeder博士は語る。
問題は野生動物の狩猟の文化が地域に深く根ざしており、住民に狩猟をやめてもらうことが難しいということである。
「野生動物の狩猟の代わりとなるものを提供するためには、かなりの社会基盤整備が必要です」と、Reeder博士は続けた。
「人々はお腹を空かせています。そして私の経験では、少なくとも南スーダンでは野生動物の肉の味が好まれており、その歴史はとても長いものです」。
Reeder博士によれば、オオコウモリの生息地を減らすことで、ウィルスの感染拡大を容易にする可能性がある。
「こういった森林伐採を行うことで、コウモリと人との接触が増えてしまうのです。このことは、新しい病気の発生時における世界的な問題となっています」。
またReeder博士によれば、野生動物の狩猟は複雑な問題であり、文化的、歴史的に長く続いている慣習なのだ。
しかし今のところ、スパイスの効いたオオコウモリのスープを食べないようにすることが、致命的なウィルスから身を守る一助となるだろう。
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