オカバンゴ・デルタ、1,000番目の世界遺産となる
和訳協力:下島 深雪、校正協力:遠藤 智子
2014年6月22日 IUCN International news release
地球上でもっとも象徴的な自然地域の1つであるボツワナのオカバンゴ・デルタが22日、1,000番目の世界遺産に登録された。
この決定は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の自然遺産に関する諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)の勧告後に下された。
「オカバンゴ・デルタは、長い間、世界遺産リストにおける最大の欠落の1つとみなされてきました。IUCNは、今回の登録を後押しできたことを誇りに思います」と、IUCNのJulia Marton-Lefevre事務局長は語った。
「並外れた尽力によってこの歴史的な登録を実現したボツワナの関係当局にお祝いを申し上げます」。
ボツワナ北西部に位置するオカバンゴ・デルタは、年間を通じて湿地の場所と季節的に氾濫原となる場所をもつ、扇形の広大な平原で、広さは今年の世界遺産委員会の開催国であるカタールの国土のおよそ2倍である。
毎年乾季に発生する大規模な洪水が、アフリカにおける野生生物が最も集まる地域の1つを支えている。
オカバンゴ・デルタには、チーター、シロサイ、クロサイ、リカオン、ライオンなどといった、絶滅の危険が最も高い大型哺乳類数種が生息している。
さらに、世界的に絶滅の危険のある鳥類24種の生息地でもあり、世界で最大の個体数を誇るボツワナのゾウ13万頭が生存する上での重要な地域でもある。
「オカバンゴ・デルタは、30年以上にわたり優先して保全すべき地域でした。ついにその実質にふさわしく、名誉ある登録認定を受けられたことを嬉しく思います」と、IUCNの世界遺産プログラムを率いるTim Badman氏は語った。
「オカバンゴ・デルタは、並外れた自然美を持つだけではなく、生態学的にも生物学的にも重要であるという点によって、世界遺産が何を象徴するのかを示す最良の例となるでしょう」。
オカバンゴ・デルタは、淡水、食料、建材、薬草をもたらし、また観光産業での雇用を生み出すことで、数千人もの人々の生活を支えている。
世界遺産登録への提案は、デルタの内部や周辺に暮らし、数千年にもわたりこの地域を保護してきた先住民族の人々の熱意によって強く支持された。
「オカバンゴ・デルタは、不世出かつ象徴的な原生自然地域です」と、IUCNのWorld Commission on Protected Areas(世界保護地域委員会)のCyril Kormos世界遺産担当副議長は語った。
「数千年にわたり地域社会がこの地域を適切に管理してきたことは、自然と文化の密接なつながりをまさに実証しています。オカバンゴ・デルタは近年、採取産業などの脅威に直面しているため、世界遺産への登録によってこれらの問題を食い止められることに期待します」。
登録は6月22日、カタールのドーハで開催された第38回世界遺産委員会で発表された。
http://www.iucn.org/news_homepage/?16018/Iconic-Okavango-Delta-becomes-1000th-World-Heritage-site
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