IUCN、各国の本来の土地再生の可能性評価ができると示唆
2014年3月21日 IUCN International news release
和訳協力:木村 敦子、校正協力:浅原 裕美子
国際森林デーである今日、歴史上最も大規模な景観再生への新たな取り組みがさらに勢いを増した。
IUCN(国際自然保護連合)とそのほかの協力団体は、国家的な再生の可能性を評価するための新たな指針を世界各国に提供する。
ハンドブックという形式で発行されたRestoration Opportunities Assessment Mehtodology(ROAM、(仮)再生機会評価法)は、自国の土地にどれほどの再生の機会があるのかを各国が理解し、それらの機会がどこにあるかを地図化し、またどの荒廃した景観が社会に最大の価値をもたらすのかを見出す助けとなるだろう。
IUCNのJulia Marton-Lefevre事務局長はこう語っている。
「今こそ、熱意を行動に移すときです。再生できる機会を見出せるかもしれない森林伐採地や荒廃地は、世界中に20億ha以上存在するのです。しかし再生に着手できるようになる前に、どの景観を最優先すべきか、再生のための介在におけるベストミックスは何か、長期的な再生と管理において、誰がそのコストを負担し、また誰が多くの利益を得るのかということについての明確な決定を下さなければなりません。ROAMの方法論は、こうした疑問への答えを求める国々にとって役立つものとなるでしょう」。
ROAMは、IUCN、World Resources
Institute(WRI、世界資源研究所)とそのほかの機関によって生み出されたもので、荒廃して森林伐採された1億5千万haの土地を2020年までに再生するという、世界的な「ボン・チャレンジ」の目標への関与に興味を持つ国々にとって、具体的な第一歩をもたらすことにもなる。
すでに2千万haの土地が数か国によって再生を宣言されており、ボン・チャレンジは世界がかつて見たこともない最大規模の再生運動であることを示している。
「地域から世界へもたらされる人類と地球のための豊富な利益があれば、世界の荒廃地を再生することは可能です。世界的な再生運動への参加を希望している国々は、今や新しい柔軟な方法を適用することができるのです。それはガーナ、グアテマラ、メキシコ、ルワンダで行われた国家的評価から得た実際の経験に基づく ものです。本日我々が刊行するこのガイドブックは『実地テスト』となることを目的としており、率先して実施する国々からどんな反応が返って来るのか、非常に楽しみです。このフィードバックから、将来的にROAMを改善し、前進させることができるのですから」と、IUCNのNature Based Solution((仮)自然に基づく解決策)のグローバルディレクターを務めるStewart Maginnis氏は述べる。
国家規模での景観再生は、生物多様性と経済に多面的な利益をもたらし、各国が気候変動との闘いにおける世界的な目標を達成する助けになる。
新たなボン・チャレンジの公約の多くがすでに進行中で、12カ国以上が再生機会の評価を計画しており、そのプロセスにおいて彼らを先導するROAMの方法論に期待を寄せている。
ROAM
の手引きであるこの「実地テスト」版は、『Assessing forest landscape restoration
opportunities((仮)国家レベルでの森林景観再生の機会の評価)』というタイトルで、本日IUCNとWRIによって刊行された。
これは、詳細で迅速な機会評価を実施するために、どんな規模の国家チームでも利用できる明確な手引きとなります。
この段階的な方法論は、地域で適用でき、着実で手ごろな評価プロセスを生み出せるように設計されている。
景観再生とROAMについては、オーストラリアのシドニーで2014年11月12日から19日まで開催されるIUCNのWorld Parks Congress(世界公園会議)にて協議される予定だ。
刊行書籍について
『Assessing
forest landscape restoration opportunities at the national level - A
guide to the Restoration Opportunities Assessment
Methodology((仮)国家レベルでの森林景観再生の機会の評価-ROAMの手引き)」は、本日IUCNにより刊行された。
本書のダウンロードに関する詳細はこちら: www.iucn.org/roam
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