産業界は石灰岩採掘によって脅かされる生物多様性を守る対策を
和訳協力:岡本 明子、校正協力:村田 幸代
2014年5月19日 IUCN News story
IUCNを含む先導的な自然保護組織のグループが、本日発表された記事において、石灰岩産地においてのみ見つかる生物多様性の保護を、企業や採取産業の規制者に要請している。
石灰岩は世界中で発見されており、セメント生産やそのほかの用途において大きな需要があるが、そこでしか見られないきわめて限定的な生物多様性の成立する場所でもある。
それが採掘によってますます脅かされている。
石灰岩地に特有の生物多様性は、コウモリ類、巻貝類、ラン類、魚類、クモ類、甲虫類など多くの種にわたっている。
特定の石灰岩の丘陵や洞窟においてのみ生息している種類もある。
いったん開発が始まると、これらの種はおそらく絶滅してしまうだろうし、丘陵や洞窟を復元することは非常に難しいか、ほとんど不可能である。
石灰岩地に特有の生物多様性は、しばしば研究することも難しく、的確に環境影響評価が考慮されていないということも、また問題となっている。
「石灰岩採掘業者は、石灰岩地に特有の生物多様性を守るために行動を変えるべきです」と、IUCNのビジネスと生物多様性プログラムのディレクターであるGerard Bos氏は述べている。
「石灰岩産地において採掘をある一か所に制限したり、石灰岩地に特有の生物多様性についての見解を広げるためのさまざまな努力に援助を行ったり、洞窟や、孤立している丘陵、そのほかの主要な生息環境への影響を避ける、などです」。
IUCN、バードライフ・インターナショナル、ファウナ・フローラ・インターナショナル、WWFによるこの論文において、石灰岩地に特有の生物多様性の概要を把握し、そしてさらなる種の絶滅と生息環境の損失を避けるよう行動をおこすことを、科学界、規制組織、ビジネス界に訴えている。
また論文は、石灰岩地に特有の生物多様性にとって重要な地域の地図化の支援と、地上および地中の石灰岩の生息環境を守る責任をもつことを、企業や関連産業界へ強く促している。
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