中央アフリカ共和国の新しい報告書:暴力の背後にダイヤモンド、石油、象牙や地域の利害関係があることをEnough Projectが発見
和訳協力:山崎 有起枝、校正協力:木田 直子
2014年5月1日 Enough Project Press Releases
広範囲の実地調査により、米国と国連が武装集団の違法な収入源の排除に助力し、包括的な和平へのプロセスを支援する必要があることが明らかに
内戦の激化と北部の分離独立が懸念される中央アフリカ共和国で暴力が激しくなる中、Enough Project(イナフ・プロジェクト)は、「ニュース見出しの背景:中央アフリカ共和国での暴力の推進力」という、紛争についてのはじめての報告書を発表した。
報告書の中で、イナフ・プロジェクトの現地調査員である著者Kasper Agger氏は、中央アフリカ共和国の天然資源と、Anti-Balaka(アンチバラカ)、Seleka(セレカ)、Janjaweed(ジャンジャウィード)を含む武装集団との間の繋がりを示した、中央アフリカ共和国で戦闘員や指導者と何時間にもわたるインタビューについて記述した。
報告書では衛星画像を用いて、ダイヤモンドや象牙の違法取引が武装集団の資金源となっており、地域の石油権益が紛争の中心にあると報告している。
包括的な和平へのプロセスが至上命題だ。
レポート全文:http://www.enoughproject.org/reports/behind-headlines-drivers-violence-central-african-republic
レポートの著者でありイナフ・プロジェクトの現地調査員であるKasper Agger氏は次のように語った。
「中央アフリカ共和国からこれ以上多くの死者を出さないようにするために、米国と国連は暴力の致命的なサイクルを断ち切る包括的な和平へのプロセスを支援するべきです。国連は、経験豊富な仲裁者を派遣してSamba-Panza暫定大統領と協力させ、地域との対話や全国的な和解のための政治的プロセスを始動させなければなりません」。
報告書は、セレカの上級指揮官と、チャドやスーダンの政府に支援された武装集団、傭兵、密猟者、それにダイヤモンドの取引業者との繋がりについて概略を述べている。
また、アンチバラカの民兵がダイヤモンドが豊富な地域を支配していることも伝えている。
これらの地域には中央アフリカ共和国南西部の町ボダが含まれるが、ここでは拡大する暴力のために800以上の建築物が全半損していることが、デジタルグローブ社の衛星画像からわかる。
調査によって、ダイヤモンドや象牙からの利益は、中央アフリカ共和国のセレカやほかの武装集団の資金源となり、武器や燃料、密猟の道具を入手可能にしていることが明らかになった。
中央アフリカ共和国で採掘されたダイヤモンドは、スーダンのダルフール地区だけでなく、チャドやカメルーン、コンゴ民主共和国の取引業者にも売られている。
取引業者は、国際的なKimberley Process Certification Scheme(キンバリープロセス認証制度)を欺き、アラブ首長国連邦やベルギー、インド、南アフリカ、サウジアラビア、カタールの世界市場で売買が行われているようだ。
イナフ・プロジェクトの政策アナリストであるSasha Lezhnev氏は次のように語った。
「ダイヤモンドは、中央アフリカ共和国では反乱軍の最良の友人です。武装集団は血のダイヤモンドを密輸し、武器に換えています。米国と中国は、中央アフリカ共和国の血のダイヤモンドが取引されていそうな世界の貿易中心地、特にドバイに調査団を派遣するようキンバリープロセスに要請すべきです」。
暴力の阻止に向けた報告書の提案には以下が含まれる:
・国連は経験豊富な仲裁者を派遣して、米国特使のSymington氏や中央アフリカ共和国の様々なグループの指導者と協力させ、武装集団や市民団体をも巻き込んで、中央アフリカ共和国の指導者とともに、組織の下部から和平プロセスを促進すべきだ。
・国連のPanel of Expert(専門家パネル)、Commission of Inquiry on CAR(国連指名の中央アフリカ調査委員会)とInternational Criminal Court(国際刑事裁判所)は、性的暴力や経済犯罪活動を含めた、中央アフリカ共和国での暴力に最も責任がある人物について、調査活動を調整し、説明責任を追及すべきだ。
・African Union(アフリカ連合)は、中央アフリカ共和国やスーダン、チャドに関わる国境を越えた安全保障や経済的な事柄について話し合うために、特使を指名すべきだ。
・アフリカ連合と国連は、2国間の国境にまたがる油田の調査について、チャドと中央アフリカ共和国間で合意できるよう、この2国の政府間交渉を調停すべきだ。
・イナフ・プロジェクトは歴史的に、スーダンや南スーダン、コンゴ民主共和国などの中央アフリカ共和国の近隣諸国や、Lord’s Resistance Army(神の抵抗軍)に影響を受ける地域における重犯罪に焦点をあててきた。この報告書、および House Foreign Affairs Committee(下院外交委員会)が本日聴取したイナフ・プロジェクトの証言を始めとして、ワシントンDCに本拠地を置くこの残虐行為の防止機関はその活動範囲を拡大し、中央アフリカ共和国における紛争の推進力や促進要因の分析と、持続可能な和平達成のための擁護活動をも行う。
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