エジプトとリビアにおける保護鳥類の密猟撤廃に向け、関係各国が協力することで合意
エジプトとリビアの地中海沿岸地域で行われている鳥類の捕獲問題に対処すべく、国際的な調整会議で行動計画が合意される
翻訳協力:戸井田 若菜、校正協力:浅原 裕美子
2013年12月5日 UNEP NEWS CENTER
エジプト政府は、ドイツやスイス、そのほかのパートナーと連携し、エジプトの地中海沿岸地域で野放しに行われている鳥の狩猟や網猟の慣習の問題を評価し、更なる対策をとることを約束した。
これは、11月29日にドイツ、ボンの国連大学で行われた一日会議において、これらの国々の首脳級閣僚に加えて、Convention on Migratory Species(CMS、「移動性野生動物の種の保全に関する条約」、通称「ボン条約」)とその関連協定、およびNGOの代表者、そして重要な野生動物専門家らの間で合意に至ったものである。
この会議は、UNEP(国連環境計画)のAfrican-Eurasian Migratory Waterbird Agreement(AEWA、アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定)事務局がドイツ政府の資金的支援を得て開催したもので、鳥の網猟の問題に関して利用可能なデータを検討することを目的としていた。
会議の結果、全員一致で合意された行動計画は、エジプトとリビアで行われている鳥の罠猟の慣習が持続可能かつ合法であることを保証し、近年の狩猟や罠猟の傾向をより深く理解する努力を呼び掛けることを目指している。
エジプトのLaila Iskandar環境大臣は、「エジプト政府は、狩猟を規制し、渡り鳥がその渡りのサイクルを完結できるように、空間を残すよう網の仕様を規定する国内法の施行強化に向けて努力しています。また同時に、法施行の改善、強化やさらなる評価を行うにあたって、我が国は国際的パートナーとの協力を歓迎します」と語る。
彼女は加えて次のように述べた。
「現在、エジプト政府はスイスの当局と連携し、今あるデータの不足を埋めるための調査を行っています。鳥の狩猟の問題には、ほかの社会経済的な側面もあるため、私達は、伝統的に鳥の狩猟を収入源としてきた地元住民が、それに代わる生計基盤を見つけられるよう、地域コミュニティとともに活動する必要があるのです」。
エジプトとリビアにおける渡り鳥の狩猟と罠猟、特に地中海沿岸の広範囲にわたったカスミ網猟に関して、多くの国々で社会的な懸念が高い問題となっている。
数多くの規制の枠組みがあるにも関わらず、それらが適切に施行されていないことが課題となっている。
合意された行動計画では、鳥の罠猟に関する規模や影響、社会経済的・法的側面に関する知識の向上から、効果的な法律や制定の整備と、それらの適切な施行を促進することといった、4つの主要目標を掲げている。
行動計画には、鳥の罠猟の問題に効果的に対処するためだけでなく、国内外における意識向上と鳥類保全の促進のために、地元自治体やNGO、地域コミュニティの能力構築に関する要素も盛り込まれている。
「ボンで確認された行動計画の項目は、的を得ており明確です」とボン条約のBradnee Chambers事務局長は語る。
「今や我々は、今後数か月、そして数年にわたり、効果的で協調的な行動をとるための強力な基盤を備えたのです」。
彼は次のように続けた。
「行動計画への合意は、環境条約事務局の支援のもと、様々な関係者が連携した素晴らしい例です。我々は、関係者の努力を結集するだけでなく、それを実際に拡大してゆくという点でも協力しあえるということがわかりました」。
エジプトのウズラ猟は、毎年秋の間に行われる伝統的な狩猟形態である。
地元住民には、エジプトの国内法に基づきウズラ猟の許可証が発行される。
しかし近年、ウズラ類は世界中で個体数が減少しており、その原因はウズラ猟のほか、公害や生息地の破壊、中毒、気候変動など様々である。
ウズラ類自体は絶滅危惧種ではないが、ウズラ猟によって、捕獲が禁止されている非常に多くの保護鳥を混獲してしまうことが頻繁に起こっている。
ドイツの環境NGOであるNature and Biodiversity Conservation Union(NABU、ドイツ自然保護連盟)は近年、請願書に115,000人の署名を集めて、違法で無差別な罠猟の問題に対する意識向上に貢献した。
NABUはまた、最近の活動の中で立ち上げたファンドの一部を基に、合意された行動計画の支援と実行を継続していくことを約束している。
http://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=2756&ArticleID=10671&l=en
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