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2014年6月 6日 (金)

ドナウ川流域に生息するチョウザメ類のマーキングと監視制度

翻訳協力:神原 里枝、校正協力:真井 悠美子

2014年2月3日 CMS News

体長が長く、たいてい大型であるチョウザメ類は、現存する最古の硬骨魚類(硬骨魚綱)の一グループだ。
産卵時には、そのほとんどが海岸水域から淡水へと遡上する。
チョウザメ類の多くの種は絶滅の危機に瀕しており、個体数も激減している。
乱獲、生息地の喪失や分断化、回遊ルートの断絶が、チョウザメ類にとって最大の脅威となっているのだ。

World Sturgeon Conservation Society(世界チョウザメ保全協会)によると、ドナウ川はヨーロッパで唯一、チョウザメ類の生存できている水系だが、そこでも個体数は減少している。
ドナウ川でチョウザメ類が激減したことは、最近の十年で漁獲量が急減したことからもはっきりとわかっており、少しでも措置が遅れると、チョウザメ類の生存に大きな支障をきたすことになる。
ブルガリアでは、1940年代に63.5tあった漁獲量が1995年から2002年のうちに25.3tまで減少し、ルーマニアでは、1940年には1,144tほどあった漁獲が、1995年には8t未満まで低下している。

CMS(移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称「ボン条約」)の附属書Ⅱには、ドナウ川に生息する6種すべてのチョウザメ類の名前が挙げられており、Atlantic sturgeon(Acipenser Stellatus、バルチックチョウザメ)は附属書Ⅰにも記載されている。
そのうち、Beluga(Huso huso、オオチョウザメ)、Stellate Sturgeon(Acipenser stellatus、ホシチョウザメ)、Russian Sturgeon(Acipenser gueldenstaedtii、ロシアチョウザメ)、Ship Sturgeon(Acipenser nuvidentris、シップチョウザメ)、バルチックチョウザメの5種は、IUCNのレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている。
唯一、Sterlet(Acipenser ruthenus、コチョウザメ)だけが、レッドリストの絶滅危惧II類に選定されている。

保護策を効果的に実施するには、チョウザメ類の監視が不可欠である。
だが、監視手法にかなりのばらつきがあることから、ドナウ川流域のチョウザメの個体数や産卵、越冬地に関する量的情報は利用しにくい。

こうした背景から、CMSのSmall Grants Programme(少額助成プログラム)は、ドナウ川下流域でチョウザメ類を保護するためのプロジェクトに資金を提供している。
このプロジェクトは、先に述べたような知識の格差を小さくするために、放流するチョウザメのマーキングと監視の包括的なシステムの実施をねらいとしている。
WWF(世界自然保護基金)のDanube-Carpathian Program(DCP、ドナウ・カルパチア・プログラム)が、ブルガリアの環境・水資源省と農務・食糧省の水産執行機関の協力を受けて、このプロジェクトを実施している。

このプロジェクトは、チョウザメ類に関するブルガリアの国家行動計画を実施する一助となるであろう。
こうした背景のもと、すでにWWFのドナウ・カルパチア・プログラムによるブルガリアでの活動が行われているのだ。
たとえば、チョウザメ類の生息地に関する野外調査や、ブルガリアのドナウ川流域で産卵するチョウザメの識別、ドナウ川流域でのドナウ川生息個体群のチョウザメの放流による個体数の補強、3国間(ブルガリア、ルーマニア、セルビア)共同のチョウザメ管理の準備などが実施されている。
同時に、(国内外の専門家らによる)科学者と組織間調整を行う諮問会議との利害関係者のネットワーク作りも行っている。

WWFのブルガリアでのドナウ・カルパチア・プログラムに関して、Stoyan Mihov氏はこう語る。
「CMSの少額補助金プログラムによる資金のおかげで、さらなるデータ収集や、補充するチョウザメの効率的なマーキングが行われるようになるでしょう。将来的には、包括的なタグ付け放流制度に注力することになると思います。少なくとも5万匹のチョウザメ類の稚魚にタグを付け、(団体、メディア、そして地域社会が参加して)放流し、監視します。タグ付け放流を行うことによって、大幅に減少していた野生のチョウザメの個体群を強化するだけではなく、将来的なチョウザメ補充プログラムの質を確保することにつながるでしょう。というのも、繁殖に使われる個体の出所が簡単に追跡できるようになりますし、近親交配が避けられるようになるからです」。

適切で、同調したマーキングを行うことによって、監視の効率は上がり、個体数のデータ、生息地利用や回遊ルートに関するさらに進んだ知識が得られるようになる。
さらに、マーキング制度は、ドナウ川下流の全地域における多国間協力でのレベルに限らず、国家レベルにおいても、効果的な保護策の土台となるだろう。
マーキングや監視の結果をはじめとするプロジェクトに関するすべてのデータは、チョウザメのポータルサイトで公表されるという。

http://www.cms.int/en/news/project-month-marking-and-monitoring-system-danube-sturgeons

 

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