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2014年6月 4日 (水)

IPBES、いよいよ始動

翻訳協力:大町 亜也、校正協力:佐々木 美穂子

2014年1月6日 IUCN Red List News Releases

立案からほぼ10年、さらに設計についての5年間の活発な議論を経て、IPBESは2014-2018年に実施する最初の作業計画を採択した。
喫緊の環境問題に取り組むためのツールを政策立案者に提供することを目指し、花粉媒介、食糧生産、土地の劣化および外来種についての一連のアセスメントを進展させていくことが、計画に盛り込まれている。

トルコのアンタルヤで先月行われた会議において、加盟国は、Intergovernmental Platform on Biodiversity and Ecosystem Services(IPBES、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム)のための3つの内容からなるプログラムに合意した。
プログラムが目指すのは、能力や知識の要求に対処していくこと、生物多様性および生態系サービスの現況と動向に関し、小さい地域規模から地球規模に至るまでの評価を提供すること、脅威や推進力、手法を含む様々な論点に関する知識を評価すること、である。

これに加え加盟国は、ツール一覧の維持、データや情報を管理するシステムの開発、情報交換や啓蒙活動の実施といった、支援活動を行うことも決定した。
そういった計画の実施には、44億550万円(平成26年3月16日現在、1ドル=101.276079円)が必要であり、そのうち半分以上はすでに保証されている

「今回、この上ない滑り出しができたのは、科学分野における数々のネットワークが決断・参加してくれたおかげでもあり、ここにはIUCNの専門家による各委員会も加わっています。これらの委員会は数十年にわたり、地球規模の信頼できる科学政策を確立する必要性を認めさせようと、各国政府に手を差し伸べてきました」。
こう語るのは、IUCNのGlobal Policy and Programme GroupのディレクターであるCyrie Sendashonga博士だ。
「IPBESで採用された2014-2018年プログラムは、国際政策の形成と実施を支えていく上で、素晴らしい将来性を有しています」。

国際条約同士の橋渡しを行っているCBD(生物多様性条約)のStrategic Plan for Biodiversity 2011-2020(生物多様性戦略計画2011‐2020)の達成度を計るうえで、地球規模のアセスメントが必要なデータを提供していく一方で、小規模な地域レベルでのアセスメントは、より良い地域協力を成していくための強い推進力となるだろう。
テーマ別の方法論的アセスメントは、貿易や農業、土地利用計画を含む、部門別政策に変化を促す可能性を秘めている。
IPBESが細かく作りこむ予定の手法は、政策決定プロセスや、経済会計における自然資本の認識に、具体的な効果も及ぼしていくだろう。

「成すべきことは多いですが、報告書や研究成果を政策決定の有益なツールに変え、さらには科学関係者と政策関係者の間での充実した討論をうみだすべく、IPBESが能力を発揮していかねばならないでしょう」と、IUCNのScience and Knowledge Unit((仮)科学・知識ユニット)の代表者であるThomas Brooks博士は付け加えた。
「同様に、各国間にある研究能力・技術力の著しい差を埋めるという付加価値をも示していけるよう、大きな挑戦を行っていくことになります」。

「この最初の作業計画では、優先順位付けや、各種資源の必要性に応えていくことに関連した活動も行う予定ですが、これらは専従の特別対策チームが監督します。実は、これらの活動に割り当てられる財源は、報告書作成にかかる財源よりもはるかに少なく、ここにさかれる専門家の数もより少ないのです。このことは、本来遂げられるべき進展を著しく妨げるおそれがあります」、と彼は続けた。

IPBESは、生物多様性科学に関する世界的な議題を打ち立て、先住民族や地元住民の知識を活かす手法を開拓していくことも想定している。
既存のメカニズムやイニシアティヴを改善し価値を与えるには、人的・物的資源の必要だとはいえ、これらの目的に向けて総会では2つの特別対策チームが作られた。

IUCNは、今回の作業計画の大志を支援する用意ができており、能力開発や知識の生成のために、より注目するよう推奨している。
多くのトピックに関し、IPBESは、IUCNの各委員会やメンバー、事務局が先行で行ってきた既存の業務からの恩恵を得て、それらに基づいて進めることができる。

「花粉媒介、土地の劣化と再生、生物多様性の持続可能な利用、侵略的外来種を含めて、かなりのことが利用できます。生物多様性に関する専門知識を活かす地域的なメカニズムはIUCNの援助の元で実施されており、もっとも有益な作業が行われるよう決定するために活用されていくでしょう」とBrooks博士は説明する。

「IUCNは持てるすべてを利用し、残らずとはいかなくても、ほとんどの成果に技術的に貢献していきます。我々は、地域規模のアセスメントや、侵入種に関するテーマ別アセスメント、アウトリーチ活動や利害関係者が従事する活動に対しては、直接現物支給によるサポートを提供していきます」と、Sendashonga博士は付け加えた。
「これらは、 IUCN自体の2013-2016年プログラムと協調して進められるべきテーマでもあります。さらに、2012年に開催されたIUCNのWorld Conservation Congress(世界自然保護会議)で採択されていたIPBESに関する2つの決議は、IPBESに協力し支援していく強力な権限を与えています」。

IPBESとは
Intergovernmental Platform on Biodiversity and Ecosystem Services(IPBES)は、すべての国際連合全加盟国に門戸を開く、独立した政府間組織として2012年に設立された。
地球上の生物多様性、生態系、社会に提供される必須の生態系サービスの状況を評価するため、加盟国は、IPBESを主導的政府間組織として構築すべく尽力する。

http://www.iucnredlist.org/news/ipbes-work-begins-roll-up-sleeves

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