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2014年6月28日 (土)

サメやエイ類の4分の1が絶滅の危機に

翻訳協力:河村 美和、校正協力:木谷 咲子

2014年1月21日 IUCN News story

絶滅危惧種に関するIUCN(国際自然保護連合)レッドリストによると、世界中の1/4のサメ類とエイ類が絶滅の危機に瀕しており、エイ類はサメ類よりも危機の度合いが高いことが判明した。
この発見は、IUCNのShark Specialist Group(SSG、サメ専門家グループ)が行った、これまでに例のないサメ類とエイ類の地球規模での分析によるものだ。

この研究は、IUCNレッドリストができて50周年の年の初めに行われ、本日雑誌eLIFEで発表された。
論文には1,041種のサメ類やエイ類、そして近縁であるギンザメ目の種の保護状況が記されている。

研究結果によると、サメ類やエイ類、ギンザメ目の種は、ほかのどの動物グループよりも危機の度合いが相当高く、安全だと考えられている種の割合が最も低い。
レッドリストで軽度懸念に分類されている種が23%しかないのである。

IUCNのサメ専門家グループの共同議長で、ブリティッシュコロンビア州にあるSimon Fraser University(サイモンフレーザー大学)のCanada Research Chair(カナダ政府の研究専門の教授ポスト)を勤めるNick Dulvy博士は、絶滅の危機に瀕するサメやエイの種に関して次のようにいう。
「我々の分析で、サメやその仲間が、増大する絶滅の恐れに直面していることが分かりました。非常に危険なのはエイやサメの中でも最も大きな種で、特に浅い海に生息しているものは、漁業の犠牲になりやすいのです」。

論文によると、乱獲が主な脅威となっていると報告されている。
サメ類、エイ類、ギンザメ目の種の捕獲量は2003年に最大になっており、エイ類は過去40年間で一番多く捕獲されていた。
実際の捕獲数は、報告されている数よりも多いと推測される。

意図せずに捕獲されたサメやエイが全捕獲量の大部分を占めるが、それらが取引される市場が成長していること、漁業資源が枯渇していることで、この「混獲」がますます歓迎されている。
サメ類やエイ類が人々や漁具に被害をおよぼすとみなされて殺処分されることや、漁業の対象種としての捕獲が、少なくとも12種のサメやエイの絶滅の危機を高める原因となっている。

「驚くことに、sawfish(ノコギリエイ類)、guitarfish(サカタザメ類)、stingrays(アカエイ類)やwedgefish(トンガリサカタザメ類)などを含むエイの仲間が、全体としてサメ類よりも悪い状況にあることが分かりました。最も脅威を受けている7つの科の内、5つの科がエイの仲間なのです」と、IUCNのサメ専門家グループの共同議長であり、オーストラリアのクイーンズランド州にあるJames Cook University(ジェームスクック大学)環境科学部教授のColin Simpfendorfer博士は指摘している。
「一般の人々、メディアや政府のサメ類の苦境への関心が大きくなる中、多くのエイ類が絶滅の危機にあることはあまり知られていません。エイ類の保全活動は非常に遅れており、これら種群に関する我々の懸念が高まるばかりです」。

サメ類だけでなく、サカタザメのような貴重なヒレを持つ数種のエイ類の数の減少の主な原因は、フカヒレスープに使うためのヒレが世界で取り引きされていることだ。
サメ類、エイ類、ギンザメ類は、肉も取引の対象になっている。
そのほか、マンタやdevil ray(イトマキエイ)のえらから作られる中国の強壮剤や、深海に生息するサメの肝臓から作られる医薬品等が、これらの種から作られる製品に含まれる。

インド太平洋、特にタイランド湾や地中海は、サメ類やエイ類が劇的に減少しているホットスポットである。
専門家によると紅海もまた、脅威にさらされたサメ類やエイ類の比較的多くの種の生息地である。

「サメやエイ、ギンザメ類は成長が遅く、子どもを産む数も少ないのです。そのため、これらの種は乱獲の影響を非常に受けやすいのです」と、IUCNのサメ専門家グループの副議長で、Ocean Foundation((仮)オーシャン財団)のプロジェクトの一つである、ワシントンDCを拠点とした保護団体Shark Advocates International(シャーク・アドボケイツ・インターナショナル)の会長であるSonja Fordham氏は述べている。
「過去20年で政策が大きく前進しました。しかし保全を効率良く行うには、形や大きさにこだわらずこれら特異な種のすべてに保全の対象を広げるのと同時に、保全の速度を劇的に高めることが必要です。我々の分析でそのようなアクションが急務であることが分かりました」。

サメ、エイ、ギンザメ類は、骨格が骨というより軟骨でできているため「軟骨魚類」として知られている。
それらは世界で最も古く、生態学的に多様な動物のグループである。

この研究結果は、64か国の302人の専門研究者たちによって導きだされた。

http://www.iucn.org/news_homepage/?14311/A-quarter-of-sharks-and-rays-threatened-with-extinction

 

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