IUCNとロイヤル・ダッチ・シェルが協同で保全課題に取り組む
翻訳協力:中澤 まどか、校正協力:久保 直子
2013年12月23日 IUCN News story
IUCN(国際自然保護連合)とShell(ロイヤル・ダッチ・シェル)は、イラクの湿地帯復元、生物多様性を保護する方法での北海原油施設の撤去、ニジェール・デルタの原油流出対策の再調査などに重点を置いた、重要な保全課題に協力して取り組むことに合意した。
IUCNは、世界的な生物多様性保全にとって最も重要な場所である'key biodiversity areas(生物多様性重要地域)'を特定する基準を含む、IUCNの自然保護に関わる知識の開発に関してもロイヤル・ダッチ・シェルと共同で取り組み続ける。
新たな試みには、生物多様性に関する「ネット・ポジティブ・インパクト(事業による環境へのマイナスの影響を上回る代償措置を行うことで、全体では環境への影響をプラスにすること)」の概念を探求し、持続可能なバイオ燃料の試験的な活動を実施することが含まれる。
この試みの目標の一つは、自然科学においてより中心的な位置を成すこと、また意思決定プロセスにおいて、ほかの企業および組織の幅広い参加を確保することを目指している。
2013年12月20日に署名した新たな合意と共に、IUCNはロイヤル・ダッチ・シェルの経営上の慣習の改善へ影響を及ぼし得ると考える課題について、同社と連動することを目指している。
IUCNとロイヤル・ダッチ・シェルは、生物多様性にとって、また生き残るために生物多様性に依存する人々にとっての、特定の利益を促すことをねらいとした、焦点を絞った取り組みを追及することに合意した。
「IUCNは、企業が生物多様性に影響を与える方法に真剣に取り組むために、大きなインパクトのある企業を含め、企業と共に取り組むことに尽力し続けます」とIUCNのJulia Marton-Lefevre事務局長は述べている。
「私たちはあらゆる契約から学んでいます。そして変化するために、より具体的かつより実質的な要求を作り出し、共に活動している企業により多くの要望をします」。
「私達は長年IUCNと非常に建設的な関係であり、次の4年間も彼らと私たちとの協力関係を更新することを歓迎します」とロイヤル・ダッチ・シェルのPeter Voser最高経営責任者は述べている。
「新たな合意では、重要な保全テーマでの共通の目標に関して提携しています。」
IUCNとロイヤル・ダッチ・シェルは、1999年から共に活動してきた。
この関係は、ロイヤル・ダッチ・シェルが石油・ガス会社では初めてUNESCO(国際連合教育科学文化機関)世界自然遺産地域に立ち入らないことを公約し、それを継続している企業となる結果をもたらした。
ロイヤル・ダッチ・シェルはまた、IUCNの助言に従い、絶滅の危険性が極めて高いWestern Gray Whale(西部太平洋コククジラ)の生息地を保護するため、北太平洋のサハリン島沖のパイプライン設置ルートに修正を加えた。
http://www.iucn.org/news_homepage/?14248/IUCN-and-Shell-jointly-address-conservation-challenges
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