野生動植物違法取引に断固とした行動で一致
翻訳協力:桐生 洋子、校正協力:ジョンソン 雅子
2014年2月13日 UK Government Press Release
今日ロンドンで開かれたIllegal Wildlife Trade Conference(野生生物の違法取引に関する会議)において、野生生物の違法取引を根絶やしにすることで満場一致した。
William Hague外務大臣が議長となった会議には、英国皇太子(ケンブリッジ公)ヘンリー王子も出席し、世界40ヶ国を超える世界のリーダーが集い、絶滅に瀕している象徴的な種を救うことを誓った。
London Declaration(ロンドン宣言)には、毎年約2兆円(米ドル:103.295114円 2014年3月10日現在)を超える犯罪活動の資金をもたらしている、サイの角、トラの部位、象牙に関する違法取引を撲滅するため実践的な手段をとることが入れられた。
違法取引は、発展途上国の健全な経済成長の機会も奪い、すべての野生生物種の生存を脅かしている。
ボツワナ、チャド、中国、ガボン、エチオピア、インドネシア、タンザニア、ベトナムを含む主要各国は、米国・ロシアとともに野生生物の商品に対する需要の根絶、法執行の強化、野生生物犯罪に曝されているコミュニティの持続可能な生活の発展をサポートしていく活動に署名した。
署名した内容は下記の通り。
・現在ある象牙の商業取引の国際的な禁止の継続の支援
・絶滅の危機に瀕する種から作られた製品の政府内での使用を放棄
・野生生物の密猟・売買を、UN Convention against Transnational Organised Crime(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、通称国際組織犯罪防止条約)に反する「厳罰処分に値する犯罪」とした法律の制定
・国境を超えた協力体制と地域のやあ性生物に関する法執行のネットワークの支援の強化
・野生生物に関わる犯罪と、その外の組織的犯罪、汚職との関連性の理解を深め、テロリズムとの関係の調査するためのさらなる分析の実施
会議では、ボツワナ、チャド、ガボン、タンザニア各国の大統領が直に報告し、エチオピアの外務大臣がAfrican Elephant Action Plan(アフリカゾウアクションプラン)の実行に必要な資金確保のために、新しい公的、そして民間の基金を保証する、Elephant Protection Initiative(ゾウ保護イニシアティブ)を提案した。
その計画には、象牙取引の一時的禁止の延長の要求と、(押収されて)保管してきた象牙の経済的な無価値化(廃棄)計画が盛り込まれている。
イギリス政府は、それがイニシアティブの実現とその運用に役立つと発表した。
ロンドン宣言とElephant Poaching Initiative((仮)ゾウ密猟防止イニシアティブ)は、この10年間に違法な野生生物由来商品の取引が急増している、重要なタイミングにおいて要請があったものである。
サイの密猟は2007年から2012の間に5,000%増加しており、これは10時間ごとに一人の密猟者がサイ1頭を殺すことを意味する。
中央アフリカ地域では、2004年以降でゾウ生息数の2/3を消失し、昨年Western Black Rhino(ニシクロサイ)は絶滅したと宣言された。
危機に瀕する野生生物を救うため働いている人々の命も危険な状況にある。
この10年だけで少なくとも1000人を超えるレンジャーが殺されている。
このことが不安定な状況を助長し、貧困水準や地域的・国際的な安全保障に大きく影響している。
ボツワナはロンドン宣言でされた誓約の進捗状況を確認・見直すため、2015年初頭にさらなる会議を開催することを宣言した。
*ロンドン宣言全文はこちら(英語、中国語、フランス語ほか。別ウィンドウで開きます)
https://www.gov.uk/government/news/decisive-action-agreed-on-illegal-wildlife-trade
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