ホッキョクグマの窮状に多大な注意を払う必要
翻訳協力:黒木 摩里子、校正協力:ジョンソン 雅子
2013年12月5日 IUCN News story
ホッキョクグマの生息国であるカナダ、デンマーク、ノルウェー、ロシア、米国はこの日、重要な宣言に調印をした。
これは絶滅危惧種に関するIUCNレッドリストで絶滅危惧II類に分類される象徴的な動物であるホッキョクグマを保護する対策を強化するものである。
ホッキョクグマは北極圏の伝統的民俗と独自性にとってその大部分を占める存在である。
特に先住民とホッキョクグマは何千年にわたり共存し、彼らの生活は互いに密接に結びついている。
またホッキョクグマはほかの種とも多くの重要な関わりをもっており、北極圏の生態系において大きな役割を担っている。
しかしホッキョクグマは増え続ける圧力にさらされている。
いまや北極圏における気候変動とこれに伴い人間の活動が増加したことによる脅威は、環境汚染や持続不可能な開発といった従来からの脅威の比ではない。
12月4日~6日、政府とNGOの代表による「ホッキョクグマ保護国際フォーラム」がモスクワで開催され、今後どうやってホッキョクグマを保護していくかについて話し合われている。
この会議は1973年の「ホッキョクグマの保護に関する国際協定」の締結から40周年を記念し開催された。
1973年に締結された協定は、ホッキョクグマの生息地全域における調査、管理および保護のための生息国による行動計画であった。
IUCNはこの協定において特別な役割を担っている。
IUCNのSpecies Survival Commission(SSC/種の保存委員会)の一組織であるPolar Bear Specialist Group(ホッキョクグマ専門家グループ)は、1968年のグループ設置以降、この協定のために生息国に対し科学的および技術的なアドバイスを提供し、業務を支援している。
IUCNのPoul Engberg-Pedersen事務局次長が今回の会議で開会の挨拶をおこなった後、ホッキョクグマ専門家グループ代表のDag Vongraven氏とグループメンバーのSteven Amstrup氏が会議の進行において技術顧問を務めた。
これらの専門家から、北極圏における19のホッキョクグマ亜個体群の現状と危機、またホッキョクグマの保全のための観察体制と今後の調査の優先順位についての考察を含む一連の最新情報が報告された。
今回の宣言では、2015年までにホッキョクグマに対するCircumpolar Action Plan ((仮)環北極圏行動計画)を発展させ、これを実現する活動などを通じて、1973年の「ホッキョクグマ保護に関する協定」を実行するための重要なステップについて概要が述べられている。
第一にホッキョクグマの十分な生息域を把握し保護していく。第二にホッキョクグマ監視プログラムをしっかりと実施し、広範囲にわたるホッキョクグマの生息地の状態と生息数の傾向を最新のものに更新すること。この第二のステップについてはIUCN-SSCのホッキョクグマ専門家グループが指示を受け、すでに作業に取り組んでいる。2015年に、IUCNとホッキョクグマ専門家グループにより、ホッキョクグマの地球規模でのIUCNレッドリストの評価が更新されることが約束されるだろう。
http://www.iucn.org/news_homepage/?14145/Plight-of-the-Polar-Bear-gets-high-level-attention
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