ウミガメの死体発見に保全活動家が警戒を強める
翻訳協力:井上 貴史、校正協力:松永 幸
2013年10月1日 Fauna&Flora International News
ウミガメの専門家らは、申し立てがあったニカラグア太平洋沿岸沖でのウミガメの大量死について議論するために、会合を開いた。
ニカラグア西海岸沖で浮かんでいるのを発見された「数百匹のウミガメの死体」に関する報告に続き、Nicaraguan Sea Turtle Conservation Network(ニカラグアウミガメ保全ネットワーク)は先週緊急サミットを開き、その報告の根拠を議論し、答申を審議した。
Fauna & Flora International(FFI、ファウナ・フローラ・インターナショナル)主催のサミットでは国中の専門家を招集し、現実に何が起きているのかを更に明確にするために、各地域から報告書を集めた。
出席者は、ウミガメの死体発見は増加傾向にあるようだが、「数百匹」というウミガメが殺されたとする申し立ては立証できないと結論づけた。
しかしながらネットワークのメンバーは、ウミガメの死体が報告された地域や、ニカラグアにおける二つの主要な産卵浜、La Flor(フロール)とChacocente(チャコセンテ、FFIのプロジェクト実施地域)に近い海域で、海上パトロールを強化した。
まず調査結果では、このようにウミガメが死んだのは、漁具が絡みついたこと、ダイナマイト漁、故意に卵を狙ったことが原因の可能性があるとした。
そのため、パトロールチームには、INPESCA(Nicalaguan Institute for Fisheries and Aquaculture、(仮)ニカラグア漁業・養殖業協会)の職員が同行する予定であり、違法な漁獲活動が見つかれば、対応の支援を行うであろう。
海軍にもこの取り組みに加わるようすでに依頼をしている。
同時に、ウミガメの死亡率が上昇傾向にあるとする推測を検証するために、過去のデータを使った統計情報を集めている。
海上の危険?
「これまで集められた根拠により、'大量死'に関する当初の報告は正確でない可能性があるものの、それでもなおこのニュースは頭を悩ます問題です。殊に、ヒメウミガメがarribadas(アリバダス:ヒメウミガメの大規模な産卵)を始める時期は心配です」と、ニカラグアでFFIの国別プログラムのマネジャーを務める、Edgard Herrera氏は言った。
アリバダスは、現実とは思えないような自然現象だ。
アリバダスの間、ヒメウミガメのメスは主たる産卵浜近くの沖に集まり、わずか数日の間に(時に数万匹もしくは数十万匹もになる)大群で浜に上がり、産卵する。
ほかのウミガメ類も集団で産卵することは知られているが、ヒメウミガメや近縁種のKemp's ridley(ケンプヒメウミガメ)だけが、これほどの数で、同じタイミングに産卵する。
「チャコセンテはアリバダスが行われる、世界でも数少ない浜の一つであり、またLeatherback Turtles(オサガメ)にとっての重要な産卵場所でもあります」とHerrera氏は続ける。
犠牲になったほかの生物の中には、チャコセンテの近くで(2匹のイルカと2匹のカジキのほかに)死んでいる10匹のウミガメの報告があった。
さらに4匹のウミガメの死体がEstero Padre Ramos(FFIの別のプロジェクト地域)で報告された。
「ここ10年間は地域社会のサポートを得て、チャコセンテのカメや産卵巣を保護する点で大きな前進を果たしました。しかし、ウミガメが海で傷つけられるというニュースは、憂慮すべきものです。何が実際に起きているのかを究明することが肝要です」と、Herrera氏は締めくくった。
FFIはこの情況の展開を、読者に発信し続けるよう尽力するので、今後の続報にもご注目いただきたい。
http://www.fauna-flora.org/news/dead-turtle-sightings-spark-alarm-among-conservationists/
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