地球の「碧い心臓」を失うまで時間がない
翻訳協力:山崎 有起枝、校正協力:真井 悠美子
2013年10月28日 IUCN News story
昨日、コルシカ島のアジャクシオで、第3回International Marine Protected Areas Congress(国際海洋保護区会議)の閣僚会議が閉会し、国家の管轄権が及ばない水域(公海)も含め、海洋を保護し持続的に管理するという強い公約が掲げられた。
閣僚会議は、フランスのエコロジー・持続可能な開発・エネルギー省のPhilippe Martin大臣が主催し、世界の海洋を代表する19カ国の大臣らが参集した。
2010年に世界の殆どの国が合意した「2020年までに世界の海洋の少なくとも10%を保護する」という目標を達成する旨の緊急性と決意を再確認した。
アジャクシオでの会議は、10月21日から25日までの5日間、マルセイユで開催された海洋専門家による会議に続いて行われた。
「さまざまな新しい構想を得ることができ、海洋での希望を取り戻せるという強い信念に満ちてマルセイユを後にしました」と、IUCN(国際自然保護連合)のJulia Marton-Lefevre事務局長は語った。
「コルシカ島に参集した大臣らは、管理の行きとどいた海洋保護区の確立を急ぐことや、必要な財源を調達するという強い公約を掲げました。地球の"碧い心臓"を守ることが必要で、これが具体的な行動に繋がることを望んでいます」。
アジャクシオに集った大臣らは、海洋保護には地球規模・地域規模・地元規模での協力が必要であること、その過程において民間企業と協働すること、海洋保護区のために革新的・継続的に資金調達する方法を考案することを話し合った。
また、世界的に認められる公海の海洋保護区を設定することの緊急性についても強調した。
Memorandum of Understanding(了解覚書)はIUCNとFrench Global Environment Facility(FFEM、フランス地球環境基金)の間で署名され、各国の管轄圏外である南西インド洋の海底火山の保護と開発維持に焦点をあてたものである。
「公海は、地球が機能するためだけではなく、多くの価値ある種の存続を維持するため、また商業的・芸術的・倫理的な理由からも限りなく重要です」と、IUCNのGlobal Marine and Polar Programme((仮)世界海洋・極地プログラム)でSenior High Seas Advisor((仮)公海政策アドバイザー)を勤めるKristina Gjerde氏は語った。
「残念なことに、保護区の整合的なシステムの一部としてあるべき、公海を保護できる法的拘束力のある枠組みはまだ存在しません。マルセイユとコルシカの両地で明白となった、公海を保護するという決定は勇気づけられることです」。
海は地表の70%以上を占める。
35億以上の人々が食物やエネルギー、収入を海に依存している。
現在は海が保護されているのは3%に過ぎない。
アジャクシオの会議には、フランス、フランス領ポリネシア、ニューカレドニアの他に、アルバニア、サウジアラビア、ベルギー、コモロ、バーレーン、キプロス、ドミニカ、ギアナ、イタリア、インド、モナコ、ニカラグア、サモア、セネガル、タンザニア、トーゴ、チュニジアを代表する大臣が出席した。
IUCNとFrench Marine Protected Areas Agency((仮)フランス海洋保護区庁)が共同開催した第3回国際海洋保護区会議は、海洋保護区のマネージャー、科学者、意思決定機関、地域当局や団体の代表者、市民団体や産業界の経営者など、87カ国から1,500人が参加した。
http://www.iucn.org/news_homepage/?13932/No-time-to-lose-for-our-planets-blue-heart
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