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2014年3月20日 (木)

ウガンダから消えゆく百獣の王

翻訳協力:赤木 理恵、校正協力:榎本 まなみ

2013年10月24日 WCS Press Releases

Wildlife Conservation Society(WCS、野生生物保護協会)とUniversity of St. Andrews(セント・アンドルーズ大学)の自然保護活動家たちは、ウガンダのアフリカライオンが、国立公園からいなくなる危機にあると警告している。
アフリカライオンは、国の観光産業の要であり、またアフリカの象徴的な存在である。

最近の調査では、ウガンダ国内のアフリカライオンの生息数が、地域によっては10年前と比べて30%以上減少したことが分かった。
その原因には、地元の牛飼いによる毒殺や家畜の略奪に対する報復行為など、主に人間が関与している。
その自然の素晴らしさから「アフリカの真珠」と称えられるこの国ではあるが、自然保護活動家たちはライオンの個体数の減少傾向から、ライオンの長期にわたる生存について懸念をもっている。

雑誌Oryx(http://www.oryxthejournal.org)の最新号に、この調査が掲載されている。
著者は、WCSのEdward Okot Omoya氏、Tutilo Mudumba氏、Paul Mulondo氏、Andrew J. Plumptre氏、セント・アンドルーズ大学のStephen T. Buckland氏である。

「アフリカライオンは、ここでの生態系の構成要素として欠かせない存在です」と、WCSの自然保護活動家であり、この調査についての主著者のEdward Okot Omoya氏は語る。
「ライオンは病気の動物を殺すことで、レイヨウやバッファローの病害対策を行うという大役を担っています」。

この論文には、"lure count"という分析調査の結果が掲載されている。
調査では、2008年11月から翌年11月にかけて、ウガンダの3つの主要な自然保護地域におけるライオンやブチハイエナの生息密度や生息分布を計測した。
研究者たちは、バッファローの子どもが遭難した時に発する声を利用して(車のルーフラックにいくつかスピーカーを置き、放送した)、中型から大型の肉食動物を"call stations(放送した場所)"までおびき寄せることで、調査対象地域に生息するその時点の個体数を計測する方法を採用した。
以前のライオンの個体数の調査方法としては、吠える回数を数える方法やネコ科動物を個別に判別する方法や、mark-recapture法(タグで印を付けて放した後、再度捕獲する方法)などがあったが、これらの方法は膨大な時間と費用がかかる。

このcall stationによる調査でトータル66頭のライオン、176頭のブチハイエナ、そして7頭のヒョウが観測された。
声におびき寄せられて、小型の捕食動物であるside-striped jackal(ヨコスジジャッカル)やblack-backed jackal(セグロジャッカル)、white-tailed mongoose(シロオマングース)やlarge spotted genet(オオブチジェネット)などもたくさん集まってきた。

ここで観察できた動物のデータを利用すると、ウガンダのライオンの主な支配地域3か所に、408頭のライオンが生息していると予測される分析結果がでた。
これは2000年から2002年に行われた計測結果からおよそ200頭もライオンが減っていることになる(統計として30%以上減少している)。
Queen Elizabeth Conservation Area(クイーンエリザベス自然保護区)では、ここ10年で206頭いたライオンが144頭にまで減少していると予測されている(30%の減少)。
また研究者たちは、Murchison Falls Conservation Area(マーチソン・フォールズ自然保護区)では、60%の減少を推測している(10年前の324頭から132頭への減少)。
たった1か所、キデポ渓谷国立公園については、研究者たちがライオンの生息数予測個体数が増加していることを認めている(58頭から132頭への増加)。

「ライオンは、観光旅行者たちがウガンダのサバンナで最も見たい動物であると、WCSの調べで分かっています。ライオンを見ることができないなら、ウガンダの国立公園を訪れる魅力は半減し、また仮に訪れたとしても、料金は今よりも安くていいと観光旅行者は考えています。観光がほかのどんなビジネスよりもこの国に外貨を運んでくれる産業であることをふまえると、これはウガンダにとって深刻な結果です」と、WCSのAlbertine Rift(アルバーティーン地溝帯)責任者であるAndrew Plumptre博士は報告している。

この研究では、この地域のハイエナ類の頭数について初めての調査も行われ、324頭のハイエナ類が生息していることが分かっている(研究者の予測で証明はされていないが、ハイエナの頭数も減少している)。

「クイーンエリザベス国立公園やマーチソン・フォールズ国立公園は、以前は捕食動物と被食動物との絶妙なバランスがなりたった、地球上で哺乳類のバイオマスが最も多い地域でした」とWCSアフリカプログラムの最高責任者であるJames Deutsch博士は話す。
「捕食動物がいなくなることによって、アフリカの2つの大きな生態系が永久的に変わってしまうかもしれません」。

ウガンダにおけるライオンの保護に関するこの危機は、アフリカ全土にわたる種の現状に影響する。
アフリカでは、不法な殺害や生息地と被食動物を失ったことにより、ライオンの頭数が20年前よりも30%減少した。
ここ最近のアフリカ全土に生息すると思われるライオンの頭数はおよそ32,000頭である。
WCS主導によるあるグループの研究では、主なライオンの個体群の42%が衰退の道をたどっていると推定している。
東アフリカおよびび中央アフリカでは絶滅寸前の状態にある。
ライオンは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されているが、現在、世界的に減少が継続しているため、U.S. Endangered Species Act(アメリカの絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律)で、"Endangered"に指定するよう提案されている。

WCSが運営しているニューヨークのブロンクス動物園では、アフリカの平原を生息地とするアフリカライオンを展示しているが、捕食動物と被食動物を堀で隔てているだけという自然に近い形の展示形態をとっている。
ここにいるライオンはSpecies Survival Plan(SSP、種の保存計画)に加わっている。
SSPは、Association of Zoos and Aquariums(北米動物園水族館協会)が運営し、遺伝子の生存能力や種の多様性を高めるために、認定された動物園で協力的に繁殖を行っている。

WCSは、パンセラ(自然保護団体)とU.S. Agency for International Development(米国国際開発庁)による訓練や資金面での援助によって、今回の調査が実施できたことに感謝している。

http://www.wcs.org/press/press-releases/lions-lose-ground-in-Uganda.aspx

 

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