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2014年2月14日 (金)

研究結果:ヒトに最も近い類人猿は人間活動や森林の消失に脅かされている

University of Georgia(ジョージア大学)、University of Maryland(メリーランド大学)、WCS(Wildlife Conservation Society、野生生物保護協会)およびそのほかの保護グループ団体が行った、ボノボの全生息域に関する最も詳細な評価

翻訳協力:田代 今日子、校正協力:木田 直子

2013年11月26日 WCS Press Releases

これまで行われた中で最も詳細で広範囲な評価がボノボ(以前の呼び名はピグミーチンパンジー)に関して行われ、このあまり知られていない絶滅に瀕した大型類人猿が、人口増加に伴い急速に生息地を失っていることが明らかとなった。
ジョージア大学、メリーランド大学、WCS、ICCN(Institut Congolais Pour la Conservation de la Nature、コンゴ自然保護協会)、African Wildlife Foundation(アフリカ野生動物保護財団)、Zoological Society of Milwaukee(ミルウォーキー動物学会)、World Wildlife Fund(世界自然保護基金)、Max Planck Institute(マックス・プランク研究所)、Lukuru Foundation、University of Stirling(スターリング大学)、京都大学およびそのほかのグループが共同で行った新しい研究では、ボノボが生息地を奪われている原因として森林の分断化と密猟の両方を挙げている。

研究チームは、巣の数の調査結果やリモートセンシング画像のデータを使用し、人類に最も近い種と言われるボノボが、人間活動や森林の分断化の多い地域を避けて生息していることを発見した。
研究者らが開発したモデルによれば、ボノボの生息域のうち、実際に生息に適した地域は28%しか残っていないという。
この調査結果は「Biodiversity and Conservation 12月号」に掲載されている。

論文の筆頭著者で、Cornell University(コーネル大学)とジョージア大学に所属するJena R. Hickey博士は、「この評価は、ボノボの全生息域における保護状況の著しい情報格差を埋める大きな一歩です」と述べる。
さらに、「研究結果から、人間活動によってボノボの生息できる地域が減少していることが明らかとなりました。ボノボを将来的に保護していく地域をどこに提案すべきか、その特定にも役立つでしょう。」とつけ加えた。

WCSのAshley Vosper氏は「ボノボが今後100年以上生き延びるためには、まず我々がボノボの生息域、分布、分布の決定要因を理解することが、保護活動において最も効果的な方法で目標を定め、望み通りの成果を出すためにも極めて重要です」と話す。
「ボノボは恐らくアフリカで最も理解されていない大型類人猿です。今回の論文は、この美しい魅力的な動物に関する知識や理解を深める上で中心的なものとなります」。

ボノボは、一般的なチンパンジーと比べて体が小さく、ほっそりした体型をしている。
大型類人猿は、複雑で、母系的社会構造を作る。
またチンパンジーとは異なり、性行動を通して社会的な絆を築いたり、緊張や敵意を拡散やわらげたりすする。

ボノボの全生息域は、コンゴ民主共和国の低地部の森林に位置する。
コンゴ民主共和国はサハラ砂漠以南で最も大きい国で、現在武力衝突や不安定な治安状態などの問題を抱えている。
研究チームは、ボノボの生息地を明確にするために、入手可能なフィールドデータを用いて予測モデルを作成し、データが不足している地域を補完した。
具体的には、2003年~2010年に多数の組織が集めたボノボの巣の場所に関するデータをまとめ、これを元に2,364カ所の「ネストブロック」を作成した。
ネストブロックは、1つ以上のボノボの巣が存在する地域1haを1ブロックと定義した。

そして、生態学的条件(森林、土壌、気候、水文学)と人間活動の影響(道路からの距離、農業、森林消失、林縁の密度)の両方について多数の要因を検証し、ボノボの存在に寄与する最も重要な環境的要因を特定、マッピングした空間的モデルを作り出した。
このモデルから、研究者らは、農業地域からの距離がボノボの存在に最も重要な予測因子であることを発見した。
さらに、ボノボの生息域のうち、28%しか生息に適していなかったことに加え、現在の保護地域にはボノボの生息に適した土地のうち27.5%しか含まれていないことも判明した。

メリーランド大学の特任助教で、論文の第二著者のJanet Nackoney博士は「人間活動や人間のアクセスがある場所により近接して生活しているボノボは、ボノボにとって最大の脅威の一つである密猟の被害を受けやすいといえます」と述べる。
「我々の研究は、ボノボが密猟者から守られ、安全に生活できる場所がもっと必要であることを示しています。これはコンゴ民主共和国では非常に大きな挑戦です」。

さらに、ジョージア大学のNate Nibbelink准教授はこのようにつけ加えた。
「今回の研究で完成した生息適地地図によって、ボノボが生息可能と思われるがまだ調査が行われていない地域を特定できるようになったため、今後の取り組みを最適化することができます」。

また、Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology(マックス・プランク進化人類学研究所)のHjalmar S. Kuhl博士は「主要研究者のチームから提供されたデータをすべ調べることで、今後10年間の効果的な保護計画や保護活動を考案する際に必要となるような、大きな展望を描くことができます」と述べた。

「現在、ボノボの生息適地のうちの1/4しか保護地域に指定されていないという事実は、意思決定者が現存の保護地域の管理を改善し、ボノボに必要不可欠な生息地を保護するために、国立公園や保護区を拡大する際に考慮すべき調査結果です」と、WCS Bonobo Conservation Project(ボノボ保護プロジェクト)の総括責任者で、本論文の共著者でもあるInnocent Liengola氏は話す。

「ボノボの将来は、この伝説的な類人猿の保護に向けて活動する多くの関係者たちの密接な協力次第となるでしょう」とIUCN/SSC(種の保存委員会)の霊長類専門家で、今回の研究でボノボのデータ編集を推進した保全計画作りのプロセスでコーディネーターを務めたLiz Williamson博士は述べる。
2012年には、International Union for Conservation and Nature(IUCN、国際自然保護連合)とICCNが「Bonobo(Pan paniscus):Conservation Strategy 2012-2022(ボノボ:保護戦略(2012~2022年))」というタイトルのレポートを発表している。

http://www.wcs.org/press/press-releases/bonobo-study-2.aspx

 

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