東南アジアの絶滅の危機への取り組み
翻訳協力:バートン 久美子、校正協力:桐生 洋子
2013年9月17日 IUCN Redlist News Release
東南アジアには他に類を見ないほど多様な動植物が多く生育・生息しているが、生育地・生息地の喪失や狩猟、商取引など、絶滅の鍵を握る脅威は多くの野生生物を絶滅へと追い込む傾向は依然として続いている。
IUCN Red List of Threatened SpeciesTM(絶滅危惧種に関するIUCN(国際自然保護連合)レッドリスト)は、東南アジアという生物多様性のホットスポットに、絶滅危惧IA類が集中しているという、憂慮すべき状況にあることを明らかにした。
迫りくる生物多様性の危機に対応すべく、IUCNのSpecies Survival Commission(SSC、種の保存委員会)は、ほかの多くの保護団体との協力の下、この地域に重点を絞り、種に特異化した保護活動を目指すAsian Species Action Partnership(ASAP、(仮)アジアの種保護活動パートナーシップ)を召集した。
ASAPの主要な目的は、緊急性の高いところに支援を結集させ、野生生物保全に関する専門家の知識や技術の共有をけん引することにある。
例えば様々な資源を共有し、効率性の最大限に高め、政治的意思決定機関に影響を与えていけば、全世界の世論に問題を訴えていくことができるだろう。
種についての注釈付きリストが作成されれば、どこに活動を集中する必要があるかがはっきりし、絶滅危惧種に必要な特異的な保護対策への関心が高まることになろう。
IUCN-SSCのネットワーク調整担当のRachel Roberts氏は、「ASAPが認定するほぼ全ての種が緊急の保護活動を必要としています」と述べる。
「この取り組みが非常に手ごわい試練に直面していることを認識しています。この地域の豊かですばらしい生物多様性の未来を救うには、緊急性の高いところに力を結集することが極めて重要です」。
東南アジア地域の絶滅危惧IA類として常連となっている脊椎動物154種のうち、スマトラサイ(Dicerorhinus sumatrensis)やシャムワニ(Crocodylus siamensis)など、保護プログラムの対象となっている種はいる。
しかし絶滅危惧種のほとんどは保護を受けておらず、脅威の度合いは高まっている。
「陸生動物では羽毛のないリスより大きい哺乳類や爬虫類の大型種は 商取引の対象として特に需要が高くなっています。強壮に効果があると信じられ、食されているためです。少なくとも医薬品ではなく、基本的栄養の必要量を満たす食品でもありません」と、ASAPのテクニカルコーディネーターのWill Duckworth氏は述べる。
東南アジアの多くの種は絶滅の危機にあり、そのうちいくつかは今後20年か30年のうちに絶滅すると見られている。
ASAPは具体的な行動を呼びかけた緊急召集と言える。
東南アジアに生息する多様でカリスマ性を持つ多くの脊椎動物種の未来を守る活動は、財政支援の強化、強い決意を持った専門家たちの参加を求めている。
http://www.iucnredlist.org/news/action-to-tackle-southeast-asias-extinction-crisis
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