海を守るために更なる管理と資金が求められる
翻訳協力:森 尚、校正協力:桂 康子
2013年10月21日 IUCN News story
海の寿命をより長いものとし、海からの不可欠なサービス(恵み)を確保するために、海洋保護区の効果的な管理とより多くの資金供給が緊急に必要であると、第3回のInternational Marine Protected Areas Congress(IMPAC3、国際海洋保護区会議)でIUCN(国際自然保護連合)は訴えている。
この会議は今日フランスのマルセイユで開催される。
2020年までに世界の海洋と沿岸域の少なくとも10%を保全するという目標が、2010年に世界のほぼすべての政府によって合意された。
IPAC3は、IUCNとフランスの海洋保護区庁によって協同で組織されており、これに世界中から、海洋保護区の管理者、海洋の有識者、そのほか大臣などの主要な役割を担う人々の1,200人以上が集まった。
会議の狙いは、これまでの進展を評価すること、また海洋保護区の資金、管理、研究、監視の改善方法などの、これからの新しい解決方法を提案することである。
「世界の海洋保護区保護の観点で現在までに我々が辿った進展を見ると勇気がわきます。20世紀初頭には0.5%未満だったのが、現在は2%以上となったのです」と、IUCNのJulia Marton-Lefevre事務局長は言う。
「しかしながら、現在のペースを我々が続けるならば、10%の目標に達成するためにあと30~40年必要です。政府間で合意されている2020年の期限に間に合わせるために、強力な共同での取り組みが早急に必要なのです」。
IUCNとInternational Programme on the State of the Ocean(IPSO、海洋研究国際計画)の最新のレポートによると、海の健全は従来考えられていたよりもはるかに速く、継続して「失われている」。
これは、気候変動と窒素流入がほかの化学汚染と蔓延する乱獲と組み合わさって招く酸素濃度の低下によるものである。
「これは海洋生物の環境の劣化が進行するのを止めるよう、我々に発せられているまさに最後の要求です」とIUCNの(仮)世界海洋・極地プログラムの副代表であるFrancois Simard氏は述べる。
「確認する必要があるのは、我々には財政面を含む十分な資源があり、これをもってすべきは、海洋についての知識を継続して増やし、管理を改善することです。そうしなければ、我々はすぐに破壊的な影響を受けることになります」。
IUCNによると、世界の海の60%以上である国家管轄外の海域については特別に注意を促している。
それは、海洋保護区のより包括的な管理と、実質的な世界規模のシステム作りのために法的基盤を設定すること、そしてそのために必要な新しい公海生物多様性についての高レベルの合意が必要ということなどである。
海洋は地球表面の70%以上を占めている。
35億人以上が、食料、エネルギー、収入において海洋に依存している。
海洋保護区は、自然および文化資源が特別な保護を受けるよう定められた区域である。
したがって、食料とエネルギー安全保障、貧困と気候変動などの現在の世界の開発課題に取り組むとき、これらの海洋保護区は中心的な役割を果たす。
10月21~25日には第3回国際海洋保護区会議、その後10月26日と27日にはコルシカのアジャクシオで、ハイレベル閣僚会議が開催される。
海洋保護区の管理と資金供給については、IUCNの世界公園会議でさらに議論される予定である。
10年毎に開催される保護区に関するこの会議は、来年11月にオーストラリアのシドニーで開かれる。
http://www.iucn.org/news_homepage/?13880/Better-management-and-funding-needed-to-save-the-ocean
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