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2014年1月 1日 (水)

オオカミはまだ、絶滅危惧種保護法の下で守られるべきか?

2013年7月18日 Yales Environment 360 Opinion by Ted Williams
 
翻訳協力:山本 麻知子、校正協力:石塚 信子
 
U.S. Fish and Wildlife Service(米国魚類野生生物局)は、ロッキー山脈北部とアメリカ中西部における個体群の回復が顕著であるとして、オオカミを絶滅危惧種から除外することを提案し、論争を巻き起こした。
これはアメリカにおいて何かと議論を引き起こすオオカミが歩んだ復活までの、長い道のりの最新の物語である。
 
6月13日、米国魚類野生生物局は、アリゾナやニューメキシコに生息する約75種のメキシコ亜種を除き、隣接する州に生息する全てのオオカミをEndangered Species Act(ESA、絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律、通称絶滅危惧種保護法)から除外する旨の提案を発表した。
現在、90日間の民間意見調査期間が設けられ、同局は年老いたヘラジカのように(like geriatric moose)統制がとれない状態である。
 
施行後40年が経過したESAは、人が地球上の遺伝子的財産を守るために行った、初めての有意義な取り組みであった。
同法はこれまで世界の指針であり続け、他の国でも同じような法律ができるきっかけとなり、またワシントン条約の青写真としての機能をはたしてきた。
 
ある種が絶滅の危機を脱したときは、その種はリストから「除外される」べきで、そうすれば本当に困難な状況にある種に、限られた資金を割り当てることができる。
アラスカより南にいるほとんどのオオカミは、ロッキー山脈北部(モンタナ、アイダホ、およびワイオミング)や五大湖周辺の州(Lake States、ミネソタ州、ウィスコンシン州およびミシガン州)に生息しており、それらは既に除外されている。
しかし、米国魚類野生生物局が残りのオオカミたちを除外する時期だというのは、果たして正しいことなのだろうか?
多くの自然保護活動家や生物学者の中には、大間違いだと述べる人たちもいる。
 
かつて米国北西部や東部に生息していたオオカミたちは、ロッキー山脈北部や五大湖周辺の州に生息しているオオカミたちと遺伝学的に異なっているとする政府機関の疑わしい主張を、環境ジャーナリストのJames Gibson氏が認めたことは「科学的豪放」であろう。
そのオオカミたちは、もともとESAのもとで保護されていたが、ここ3年間で除外された。
こうすることで、局はリストに載っていたオオカミは「ほとんど過去に存在したレベルまで」回復したと主張することができるのだ。
 
「計画を実行するにはまだ時期尚早だと思います」とNorman Bishop氏は言う。
彼はかつてのイエローストーン国立公園の生物学者で、オオカミの再導入を社会に広めた人物である。
 
昨年、Wildlife Society(アメリカの自然保護団体)の理事長を引退したMichael Hutchins氏は、「もっとより良い科学的根拠」を求め、オオカミが「政治的便宜のためにリストから除外されること」に反対している。
 
また、野生動物の擁護者たちも、「ようやく始まった近隣地域のオオカミ回復の取り組みを狂わせる可能性があります」と警告している。
 
私はどの意見にも異議を唱えることができない。
しかし論争は始まり、今こそ米国魚類野生生物局がこれまでに直面してきたことや、成し遂げてきたことを考慮するときである。
ESAで政治的な駆け引きをするということは、単にいいということではなく、必要不可欠なことなのだ。
そして、過去30年間にわたる局のすばらしい政治活動こそが、ロッキー山脈北部や五大湖周辺の州にオオカミが本当に復活した理由なのである。
 
私がWolf Fund((仮)オオカミ基金)のアドバイザーに就任した1980年代後半、まだオオカミの復活に希望はないように思えた。
この団体は、イエローストーン国立公園にオオカミを復活させようと他のどんなNGO団体よりも尽力した。
西部の政治家たちの話は非現実的で、グリム童話からデータを引用しているかのようだった。
例えば、ワイオミング州の上院議員Alan Simpson氏は「ロシアではオオカミが女性を追い回している」などと発表したり、モンタナ州の上院議員Conrad Burns氏は「1年以内に子供の死者が出るだろう」などと公に断言した。
州はそれが、公有地から地元牧場主を追い出す計画だとわかっていた。
 
しかし、1995年の冬のある夜、テレビをつけるとそこには内務長官のBruce Babbitt氏と米国魚類野生生物局局長のMollie Beattie氏が、ケージに入れられたオオカミを運んでいる様子が映っていた。
そのオオカミはカナダで捕えられた66匹のうち、初めてイエローストーン国立公園に移住させられ放されるオオカミだったのだ。
どうしてこんなことが起きたのか?
 
それは局が駆け引きをしているために起こったことだった。
ESAの規制のもとでは、移送されたオオカミは「非必須実験的個体群」と指定されている。
ESAでは、牧場主が公園の外をうろつき家畜を襲ういかなる動物をも撃つことが許され、それによってオオカミが銃殺されることこそ、環境団体が最も恐れていたことであった。
しかし、Babbitt氏とBeattie氏、そして彼らの周りにいる生物学者たちには、そのような条件でなければ、政策的にオオカミを復活させることが不可能であるとわかっていた。
さらに、彼らはオオカミが家畜を捕食するということは、オオカミが子孫に残すには不自然な行為であるということも認識していた。
つまり、彼らは家畜を襲わない捕食者を欲していたのである。
 
オオカミはイエローストーン国立公園中に生息しているが、牧場主たちが認識している以上に羊の数の減少はおさまっている。
それはもともとオオカミよりもコヨーテのほうが多く存在するためであり、オオカミはあくまでもコヨーテの数を抑制する唯一の存在として今まで機能してきた。
公園内のLamar Valley(ラマーバレー)では、コヨーテはネズミの85%を補食してきた。
しかし、大半のコヨーテを殺したり追い出したりすることで、オオカミは、キツネ、イタチ、アナグマ、フクロウそしてタカなど非常に多くの他の捕食者たちの食糧基盤を取り戻した。
またオオカミが、増加し過ぎたヘラジカを湖岸地域に追いやったことで、ヤマナラシの仲間やポプラの仲間、ヤナギ属の樹木が再生し、それらの葉を食べる昆虫も復活した。
その昆虫たちこそ、コウモリやツバメ、マスやカワウソ、そして鳥のミサゴやペリカンに至るまで、あらゆるものを支えてきた食物連鎖の基礎となってきたのである。
 
地元牧場主や政治家に加えて、米国魚類野生生物局はオオカミ嫌いのハンターとも戦わなければならなかった。
現在、過去を問わず、ほとんどのオオカミの生息地ではヘラジカやその他のシカの仲間が増え過ぎており、野生生物の生息地に被害を与え(自分たちの生息地も含む)、次第に不健全な状態になってきている。
オオカミは、動物が病気や寄生虫などによって再起不能の状態となると、すぐにそれを察知する。
そして、その動物たちを殺処分することにより、病気の蔓延による大量死を減少させている。
しかしひとつ例をあげてみると、Rocky Mountain Elk Foundation((仮)ロッキー山脈へラジカ基金)は資金提供者のためにオオカミを殺すキャンペーンを行なったが、それに対し、団体の象徴的存在である生物学者の子孫であり、野生生物擁護者であるOlaus Murie氏が、「オオカミとの全面戦争はMurie家全体の人間にとって呪いのようなもの」として、財団のOlaus Murie賞を取り消すように求めた。
 
また、オオカミの愛好者も、オオカミを嫌うもの同様、オオカミの復活にとっては脅威であった。
イエローストーン国立公園のオオカミに完全な絶滅危惧種としての位置づけを得ようし、Sierra Club Legal Defense Fund(シエラ・クラブ法律弁護基金、現Earthjustice)は、National Audubon Society(米国オーデュボン協会)を代表して局を訴え、1997年、連邦判事にイエローストーン国立公園内の個体群を非必須とする称号の取り消しを求め、説得にかかった。
この訴えが通れば、解放されたオオカミたちは違法で、カナダがそのオオカミたちを引き取る意思がなかったため、殺されなければならなかったということを意味する。
幸いに、National Wildlife Federation(全米野生生物連盟)は判事の命令を覆すための控訴審に進んだ。
 
2008年までには、ロッキー山脈北部における目標は、3つの州(ワイオミング州、モンタナ州、アイダホ州)それぞれに100匹のオオカミと10組のつがいを回復させることになっていたが、実際にはその数値は少なく見積もっても300%を超えていた。
しかし、中には何もリストから除外させたくないという環境団体がいくつかあった。
その中でも先頭に立つのはCenter for Biological Diversity(生物多様性センター)で、リストに載せるために、またはリストに載せ続けるために、検討の有無にかかわらず、Noah's plankを裏切るようなものは全て訴えた。
そして、納税者から弁護士を雇う料金を集めた。
米国魚類野生生物局の絶滅危惧種部門で、法律(ESA)の強化の修正案を練っていたAmos Eno氏は、センターの告訴に応じるための資金によって、連邦政府は「約40種の種をリストから除外する」ことができると反駁している。
 
また、ワイオミング州は、オオカミを害獣として分類することを強く主張したが、アイダホ州とモンタナ州は、管理計画で米国魚類野生生物局との妥協案を見出した。
そのため2008年、両州のリストからオオカミは除外された。
一方で、生物多様性センターとEarthjustice、およびその他10団体は、個体群は州ではなく地域で決定されるべきだという専門的見地をもって、絶滅危惧種指定解除を阻止し、訴訟を勝ち取った。
このことは議会を非常に怒らせ、議会は2011年4月に可決された法をもって、アイダホ州とモンタナ州のオオカミをリストから除外した。
これはESAリストからの除外として、初めて議会が定めたものであり、我々の最上にして最強である環境法にとっては、悲しく、非常に出鼻をくじく前例である。
 
一方で、米国魚類野生生物局はオオカミにとっての脅威と憎しみの中心地であるワイオミング州とも政治的駆け引きが必要であった。
「ワイオミング州の法律は、オオカミをコヨーテと同じように扱っています。見たらすぐに射殺してしまうのです」と、当時、米国魚類野生生物局の西部地区オオカミ回復コーディネーターであったEd Bangs氏は私にこう語った。
「コヨーテはそのような状況下でも生き延びることができるでしょうが、オオカミは消滅してしまいます。立法府はこの非常に詳細なオオカミに関する法律を発展させ、州の狩猟族にあたえ、こう言ったのです。『いいな、うまくやれよ』と。生物学者たちはよくやってくれました・・・本当によくやってくれました・・・しかし彼らも常に法に立ち帰らなくてはなりませんでした。その結果、私たちには不利になってしまったのです」。
 
しかし、政治的な歩み寄りは、ワイオミング州の立法府が広大な「自由発砲地帯」を拡大しようとした後、崩壊した。
自由発砲地帯とは、たとえオオカミが家畜を襲っていなくても射殺が認められる区域のことである。
そこで米国魚類野生生物局は、とりあえずオオカミは永久に絶滅危惧種だと認めながら、吸血鬼の顔の前にある十字架のように切り札を振りかざし、政治的駆け引きをし、教育し、説得し、時には甘言でつろうとも図った。
2012年、ついにワイオミング州は自由発砲地帯を85%まで削減する計画をたてるとともに、オオカミは絶滅危惧種のリストから除外された。
「私たちはそれでも幸せではありません。ロッキー山脈北部のオオカミの復活を落ち着かせるためにそれで十分ですか?違います。ワイオミング州のオオカミをリストから除外することは明らかに政治的決断です」と、全米野生生物連盟のJohn Kostyack氏は語った。
 
ESAの保護のもとで、3州の個体群の復活が目標の数値に達していなかったにしても、その数が大方3倍近くになった2007年までに、ミネソタ州のオオカミはウィスコンシン州とミシガン州に移住しており、リストからの除外を求めた。
しかし、生物多様性センターとその同盟団体は、この是非とも必要な要求の妨げとなる裁判所の命令を受けた。
そして、米国魚類野生生物局はその戦いを受けて立ち、再び政治力に打って出た。
そして2011年、ようやくリストからの除外を実現させた。
そうすることにより、ESA本来の統合性や信頼、そして資金を温存できたのである。
 
今日、米国魚類野生生物局のおかげで、また長年、米国魚類野生生物局に対立してきた原告には恨みはあるながらも、ロッキー山脈北部には約1,674頭、そして五大湖周辺の州には約4,432頭のオオカミが存在すると思われる。
これは、野生動物復活の歴史の中でも最大の成功と言えるだろう。
 
しかし、現在、ESAによって保護されている多くのオオカミを、リストから除外するという同局のもくろみは何であるのか?
草案通りに計画が実行されると、守られることのないオオカミがコロラド州とユタ州の2500万エーカーの土地に再び移住するのは困難であろう。
また最近、再び持ち込まれたメキシコオオカミが、保護されていない領域を目指し、北へ移動していくことも簡単なことではない。
ロッキー山脈北部のオオカミたちは、自らの力で太平洋岸北西部へと移住することに成功しているが、近親交配を避けるためにも、その地方へと将来的に分散させることは困難であろう。
少なくとも、オレゴン州とワシントン州は自分たちの領域にいるオオカミを歓迎しており、州法のもとに絶滅危惧種と指定している。
連邦政府と同様に、同州はオオカミをきちんと管理できているのである。
 
「オオカミは、おそらくこれまでで最も政治的に利用されてきた動物です。米国魚類野生生物局がそれら全てを自分たちの手で行おうと望んでも、何ら不思議ではありません」とKostyack氏は言う。
 
米国魚類野生生物局が切り抜け、成し遂げたすべてのことを考えても、何も責める気はない。
草案がよいということでもない。
自然な分布を妨げるやり方が嫌なだけである。
そして、私を含めてすべての市民は、9月11日までに解決策を求めるつもりである。
米国魚類野生生物局はこれまでずっと、理解する心があると我々に示してきたのであるから。
 

 

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