カメルーン高地で絶滅の危機に瀕するクロスリバーゴリラを新保全地域群で保護
翻訳協力:官澤 彩、校正協力:石原 洋子
2013年6月24日 African Conservation Foundation News
カメルーンのレビアレム高地では、クロスリバーゴリラの個体群を見ることができる。
地上で最も雨の多い生物多様性ホットスポットだ。
新たな保全地域群はクロスリバーゴリラを保護し、カメルーン人にとっての重要な流域を守ることになるだろう。
野生で生き残るクロスリバーゴリラ(学名Gorilla gorilla diehli)の推定数は250頭から300頭だ。
生息域はかなり分断されている。
人口増加と農地の拡大で、農業に適さない急斜面の高地にゴリラたちは追いやられている。
最近起きたオスのクロスリバーゴリラ殺害を契機に、保護活動の強化が急務だということが強調された。
「2005年以降、台湾の林野局保全課はこの地域の類人猿保全活動に支援してきました。長期間成功を収めている協力関係を通じて、調査、森林監視、研修、教育などの幅広い保全プログラムに補助金を提供してくれました」と、African Conservation Foundation((仮)アフリカ環境保護基金)の理事であるArend de Haas氏は述べた。
同プログラムにより、レビアレム高地保護地域群全域が新たに提案された保護地域として指定された。
これには、Tofala Hill野生生物保護区、Elliottiチンパンジー保護区、Tofala-Mone森林コリドー、Mt Bamboutos総合生態保護区、Nyi-tebong/Fuagonkem丘陵、Nkingkwa丘森林保護区などが含まれる。
2010年には、台湾、ARCUS Foundation(アーカス財団)、Flora and Fauna International(ファウナ・フローラ・インターナショナル)からの財政的支援により、カメルーン政府はTofala Hill野生生物保護区を設置するプロセスを開始した。
このプロセスは大統領令により現在進行中で、2013年に完了が見込まれている。
Tofala Hillの森には約40頭のクロスリバーゴリラと150頭ほどのナイジェリアカメルーンチンパンジーが生息している。
一方、提案されたコリドーには、20頭ものクロスリバーゴリラと100頭ものナイジェリアカメルーンチンパンジーがいる。
同地域に生息する類人猿、森のゾウ、ドリル(サルの仲間)、絶滅の危機に瀕する他の種の保護を最近脅かしているものには、森を農地へ転用すること、森の分断、ブッシュミートのための野生動物の狩猟などが挙げられる。
「我々が行うプログラムの主な目的は、カメルーン政府を支援し、レビアレム高地に生息する類人猿や他の野生生物の長期的生存を支援するための協力的な管理戦略を実行してもらうことです」と、Environment and Rural Development Foundation ((仮)環境・農村開発基金、ERuDeF)の理事Louis Nkembi氏は説明した。
本プロジェクトのパートナーは、レビアレム高地の地域社会と密接に連携しており、野生生物の飼育、養蜂、国際ボランティアプログラムなどの代替所得を開発する活動を行っている。
最近行われたプロジェクトの関係者会合で、レビアレムのSenior Divisional OfficerであるSimon Kwemo氏は力説した。
「生産能力の強化がこのプログラムの成功のカギなのです」。
台湾の支援は、Tofalaに棲むゴリラと、ナイジェリアの国境近のTakamanda-Mone森林に棲むゴリラを結ぶ遺伝子のコリドーを設計するのに欠かせないものである。
こうしたコリドーは個体間の行き来に必要不可欠で、隔絶した集団内で起こりがちな近親交配による負の影響の防止に役立つだろう。
レビアレム高地には、460種類以上もの鳥類が記録されており、うち50種がアフリカ低山帯特有の固有種で、世界的に絶滅の恐れがあるのは15種である。
低地から標高が中程度の所には、一番稀少なゴリラ亜種である絶滅危惧IA種のクロスリバーゴリラや個体数が6,000頭を下回っており、アフリカに生息する最も絶滅の危機に瀕するチンパンジー亜種であるナイジェリアカメルーンチンパンジーのほか、ドリルやPreuss guenon(オナガザル属のサルの一種)といった絶滅の危機に瀕する霊長類が生息している。
(仮)アフリカ環境保護基金は、クロスリバーゴリラ保全プログラム支援のために、第8回国際保全補助金を贈呈してくださった台湾の林野局対して、この場を借りて感謝の意を表したい。
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