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2013年12月 2日 (月)

沿岸のイルカ保護のためコンゴの地元漁村に権限を与える

翻訳協力:山田 二三夫、校正協力:久保 直子
 
2013年6月3日 CMS Project of the Month
 
Atlantic humpback dolphin(アフリカウスイロイルカ、Sousa teuszii)は、いくつかの広大な河口やマングローブ林を持つアフリカ西部、熱帯および亜熱帯地域の沿岸海域に特有の種である。
この種の痕跡から、アフリカウスイロイルカは8つまたは9つの亜個体群に分かれ、生息地はアフリカの9つの地域に限られており、それらの亜個体群は独立し、相互に接触することがないと考えられている。
どの亜個体群も数百頭を超える大きなものではないようで、いくつかは恐らくひときわ小さなグループであろう。
この種は、熟練漁師たちによる漁獲(故意と偶然の両方)の増加、人間により生息地を喪失させられたことにより、個体数が破滅的に減少したことがあり、そして現在も減少が続いている。
すぐにでも継続的で効果的な保護対策を講じれば、多くの地域で種の危険は取り除かれる。
 
アフリカウスイロイルカは、CMS(「移動性野生動物の種の保全に関する条約」、通称「ボン条約」)のAppendix I(付属書I)に指定され、また、CMS MoU Concerning the Conservation of the Manatee and Small Cetaceans of Western Africa and Macaronesia ((仮)アフリカ西部とマカロネシアのマナティーおよび小型海生哺乳類の保護に関するCMS了解覚書)では、その中心種となっている。
2010年には、IWC Scientific Committee(国際捕鯨委員会の科学委員会)によって絶滅危惧IB類(レッドリスト)への修正を勧告され、現在、IUCN(国際自然保護連合)によって絶滅危惧II類(レッドリスト)に指定されている。
 
CMS Small Grants Program(CMS小額助成プログラム)のプロジェクトは、アフリカ大西洋沿岸で、アフリカウスイロイルカの生息地として最も手つかずの海岸を持つ、ガボンとコンゴの人口が少ない地域に焦点を当てる。
人口密度が低いため、これらの沿岸地域はこの種にとって最後の大きな希望のひとつとして、象徴的な存在となっている。
適切な保護活動を行えば、ウスイロイルカ類や他の沿岸に生息するイルカの生物学的に機能的な個体群をこの場所で守ることができる。
2008年、Wildlife Conservation Society(野生生物保護協会、WCS)は、アフリカウスイロイルカ保護プロジェクトを開始し、そして2011年には、アフリカ中西部沿岸の独特な種とその生息環境に焦点を当てた、ガボンおよびコンゴの沿岸海域も含める広範囲の保護プロジェクト‘Congo Basin Coast(コンゴ流域沿岸、CBC)’計画に乗り出した。
WCSは、コンゴの関連政府機関や地域のNGO COGERENと協力し、保護活動において地元の漁村と積極的に関わり、そして支援することに努めている。
地域のNGOと活動することは実は重要なことである。
地域のNGOは、概して年配の漁師やその地域の野生生物の相対的な量の変化を深く知る‘賢人’で構成され、昔ながらの知識や隠喩だけでなく、複雑な保護情報をその地域特有の言い回しで、関系地域に伝えることができるのだ。
 
プロジェクトの主要目的は、コンゴで漁網にかかるアフリカウスイロイルカを減らし、またイルカの保護に対して一般の人々の認識を高め、地域の協力を増やすことである。
CMSは2013年の諸活動に資金提供しており、沿岸漁業禁止区域の設置、イルカを生きたまま解放した漁師のための補償制度の構想、そして漁師による情報提供の確立、またイルカ救出活動中の漁師たちの安全も確保する対応組織の設立が含まれている。
並行して、出張ワークショップ、指導者や野生生物管理者の養成、そして地域当局やNGOの協力によって準備された、地域の学校での授業単位による海洋保護の実施を支援している。
 
計画された諸活動は、他のイルカ種やそこに居ついているウミガメといった、その地域に生息する他の種にも、大きな恩恵をもたらすだろう。
立入禁止区域での違法漁業に対するパトロール(IUCN SOSより資金提供)もまた、いろいろな種類の魚の群れが生息可能なレベルまで回復する助けになっているであろうし、それによって熟練の漁師たちの漁獲やそれに関連する収入も戻ることになる。
これは、イルカなどの野生生物の肉の売買に対する需要の減少を可能にする。
 

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