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2013年10月 9日 (水)

ハチ個体群の減少が世界の農業を脅かす

翻訳協力:平田 明香、校正協力:鈴木 洋子
 
2013年4月30日 YALE 360 Report by Elizabeth Grossman
 
今週、European Commission(欧州委員会)がいわゆる“蜂群崩壊症候群”の一因であると疑われている農薬の禁止を決定したが、ハチやその他の受粉媒介動物の減少が世界の食料供給に対して示した危険性が浮き彫りにされた。
 
世界中で食されている食物の1/3は、その収穫の成功が受粉媒介動物、特にハチに頼っている。
ここ数ヶ月間のカリフォルニアのアーモンド園の苦闘は、もしこの広範囲にわたる謎めいたハチの大量死が続いた場合、食糧の生産状況によって店頭がどのような状態に陥るかを世界に知らしめた。
 
過去10年毎年のように、主にアメリカとヨーロッパの養蜂家達により30%以上の巣の損失が報告されている。
この値は、通常値もしくは持続可能値を大幅に上回るものである。
しかしこの冬、米国の養蜂家の多くが40%から50%以上の巣房を失っていた。
それは、カリフォルニアのアーモンドの木を受精させる、国内最大の受粉媒介動物の行事のために、輸送が準備されていたハチの巣と同じほどの量だった。
 
80万エーカーにわたるカリフォルニアアーモンド園は、開花したアーモンド木の受粉に通常160万匹の飼育されたハチを必要とし、カリフォルニア州最大の海外輸出農作物を生産している。
しかしいわゆる「蜂群崩壊症候群」によるこの冬の広範囲にわたるハチの減少という打撃を受け、カリフォルニアのアーモンド栽培家は、必要数の健康なハチ群を用意するように全国的に強く奨励して作物の受粉を行うことができた。
 
「カリフォルニアのアーモンド園ほど、多くのハチを必要とする農作物は他にないんです。ハチ不足は今はそれほど表立ってはいないものの、その傾向が続けば、ハチ不足となるでしょう」と 、American Beekeeping Federation(アメリカ養蜂家連盟)副会長のTim Tucker氏は語った。
Tim Tucker氏はカンザス州のTuckerbees Honey農場のオーナーでもあり、この冬に同養蜂農場は50%の巣房を失った。
「現在のハチの減少は持続しません。減少の傾向は下降線をたどり、同様にハチの質も落ちていきます。この先もし解決法を見出せず、ハチの生命力が衰退しつづけるなら、大量のハチを失うかもしれません」。
 
月曜日にこの状況の深刻性が浮き彫りにされた。
欧州委員会(EC)が、現在ネオニコチノイドの名で知られ、世界で最も広く使われている殺虫農薬の2年間の禁止を課す予定であると述べたのだ。
ネオニコチノイドは群集崩壊障害の原因の一つとしてもっとも疑われている。
欧州食品安全機関が、ミツバチと他の受粉媒介動物にとってこの農薬が“高い緊急のリスク”を示していると結論付けてから3ヶ月後、欧州委員会(EC)はその物議を醸すような決定を発表した。
 
このECの措置では、12月1日から穀物に加えてハチを惹き付ける種や苗木に対しても主なネオニコチノイド3種類の使用を制限することになる。
「ハチはヨーロッパの生態系に不可欠であり、毎年274億5千万円(約290億ドル)以上ヨーロッパの農業に確実に貢献することを最大限保証します」と、欧州連合の保険・消費者保護総局の委員であるTonio Borg氏は語った。
 
このEC措置は、地球上の100種の最も重要な食用作物の大多数が昆虫の受粉に頼っており、科学者と規制機関が、蜂群崩壊障害が世界の食糧供給に及ぼす影響への懸念がますます増大しているのと捉えていることから、とられた対策だ。
6大陸での41の作付け体系に関するの最近の国際研究から、野生のハチの健康的な個体群が、カボチャからグレープフルーツにいたる作物の収穫高を引き上げる鍵であることが示された。
飼育されたミツバチにだけに頼ると、結局はこれらの作物を危険にさらす可能性があると科学者は言う。
多くの土地で野生のハチも減少している。
 
この問題を調査した人は、ネオニコチノイドが現在のハチの減退の唯一の原因であるとは、誰一人示唆していない。
群集崩壊障害の原因は、おそらく農薬や殺菌剤の広範囲の使用、そして巣房内のウイルス性病原微生物と寄生ダニの蔓延など、複数の要因の組み合わせであると、Tucker氏とその他の養蜂家や昆虫学者たちは言う。
ダニや病気は、飼育されたハチ個体群の減少の大きな原因として古くから知られていたが、一種類の病原微生物や寄生生物では、現在のハチの巣房崩壊速度を十分に説明できていないように思われると昆虫学者たちは言う。
 
ミツバチ群に前例にないレベルの農薬(一部は有毒レベル)を発見した最近の研究結果の報告を受け、昆虫学者達は現在のハチの減少におけるネオニコチノイドの役割をさらに注意深く調査し始めた。
ネオニコチノイドがハチ集団内の女王蜂の激減を招く可能性があり、またハチの帰巣能力をも妨げる可能性があるという研究結果もある。
ペンシルベニア州立大学昆虫学教室のJames Frazier教授は、ネオニコチノイドが特に他の殺虫剤と組み合わせて使用された際に、亜致死レベルでハチの免疫システムを弱め、病気を定着させてしまう可能性があるかどうかを、さらに詳細に調査する必要性があると述べた。
 
「未知の領域です。このような害虫管理は過去に実例がありません」と、パデュー大学昆虫学教室のChristina Krupke准教授は述べた。
 
カリフォルニア大学デービス校の養蜂家Eric Mussens氏は、ネオニコチノイドを疑わしい原因として軽視しない一方で、これらの殺虫剤の事例が明確ではないと言及した。
例えば、ネオニコチノイドが幅広く使われミツバチヘギイタダニの被害が出ていないオーストラリアのミツバチに問題はないようだ。
ネオニコチノイドの使用はカナダでは普通であるが、群集崩壊障害はカナダの巣房に重大な影響を及ぼしていない。
 
米国では3月に、いくつかの環境擁護団体と養蜂家が、U.S. Environmental Protection Agency(EPA、米国環境保護庁)が、特に受粉動物に関して環境衛生を適切に確保しなかったと主張して、特定のネオニコチノイドの条件付き登録について、環境保護庁を相手に提訴した。
 
「ネオニコチノイドとそれらがハチに及ぼすと見込まれる影響が確かでない」という理由から、米国環境保護庁は目下ネオニコチノイドの登録を再調査しており、再調査のスケジュールを繰り上げている。
米国環境保護庁は、養蜂家、飼育業者、農薬製造業者、その他の関係者と協力しながら、農薬の使用、ラベル表示、そして管理方法の改善につとめ、ミツバチとその他の受粉動物に対する殺虫剤の影響を綿密に評価するとEメールで発表した。
この取り組みの一環として、米国環境保護庁は、農薬製造業者や農業機器製造業者と協力して、植え付け時(ハチが殺虫剤に接触する可能性がある時期)の、ネオニコチノイドに汚染された塵埃の放出を低減する取り組みを行っている。
 
現在米国では、トウモロコシとセイヨウアブラナの約95%、綿とモロコシと甜菜の大多数、すべての大豆類のほぼ半数にネオニコチノイドが使われている。
またリンゴ、サクランボ、桃、オレンジ、ベリー類、葉物野菜、トマト、ジャガイモなど、大多数の果実や野菜の収穫物にも使われている。
穀物、米、ナッツ類、ワイン用のブドウにもだ。
 
ワシントン州立大学、Center for Sustaining Agriculture and Natural Resources ((仮)持続可能な農業と天然資源センター)のCharles Benbrook研究教授は、米国におけるこれらの作物に割り当てられた農作地の約75%に、ネオニコチノイドは使われていると想定した。
ネオニコチノイドは緑地植物や街路樹、さらに非常に多くの家庭菜園用の害虫駆除製品にも使用されている。
これらはすべて、飼育されたハチと野生のハチが頻繁に集まる場所である。
 
「避けようがないのです」と、ニューヨーク州の養蜂家でありアメリカ養蜂連盟取締役のJim Doan氏は言う。
「見通しはよくありません」。
 
1990年代に世界各国の政府がネオニコチノイド系殺虫剤を登録し承認したが、ネオニコチノイドの環境への影響に対する多くの疑問は未解決のままだった。
特に環境にも人体にも悪影響があると知られている有機塩素化合物(DDTなど)や有機リン剤のような前世代の殺虫剤に代わる、安全な代用品としてネオニコチノイドは歓迎された。
ネオニコチノイドは、昆虫の神経系を傷つけて攻撃するが、哺乳類には毒性は低いと考えられている。
ネオニコチノイドは一般に浸透性殺虫剤として使われている。
これは、植物が生長するにつれてネオニコチノイドは植物内に残り、スプレーによる散布よりもむしろ種子処理として用いられ、あるいは根や木の幹に塗布されることを意味している。
この用法は他の殺虫剤と比べ人体への暴露の可能性を大幅に減らすことができる。
 
しかしながら、植物が生長するにつれて殺虫剤が植物内に残るため、花蜜や花粉、葉表面の水分を通してハチがネオニコチノイドに暴露する可能性の問題が提起される。
そしてますます多くの研究が実施されてネオニコチノイドの証拠を見つけつつある。
ネオニコチノイド登録時に米国環境保護庁に提出された書類によると、ネオニコチノイドはハチ、ミミズ、その他の陸生および水生無脊椎動物に対し毒性があると報告されている。
 
「ネオニコチノイドを生産した動機は人体への毒性を減らすことでしたが、ネオニコチノイドの環境と生態系への影響を、何が起きているかを予測するのに十分なほど詳細に考慮しませんでした」と、ペンシルベニア州立大学のFrazier氏は語る。
 
「これらの化合物は受粉動物にとって悪夢のシナリオです」と、ミネソタの養蜂家、Steve Ellis氏は言う。
彼が飼育しているハチは、主にカリフォルニアのアーモンド園で受粉している。
「これらの化学物質への暴露を防ぐ方法がないのです。それが問題になるかどうかは暴露レベルです。殺虫剤業界は問題ではないと主張しています。一方養蜂業界は、問題であるとしているのです」。
 
Doan氏とEllis氏は近年共に、完全な巣房崩壊を含む、ハチの劇的な損失を経験している。
どちらも共に、自分たちのハチと巣房からネオニコチノイドが検出されたと述べている。
しかし両者の場合、損傷した巣房のテストに参加した農業関係当局および農薬製造業者は、殺虫剤の存在がはっきりとハチの死に結びつかないと述べた。
Doan氏とEllis氏は現在、米国環境保護庁に対して提訴している訴訟の一員である。
 
農薬製造業者達の中でもBayer CropScienceとSyngenta、そしてその取引団体であるCropScienceは、ネオニコチノイドは指示通りに使えば安全であると主張している。
ネオニコチノイド化合物は、それの標的となる昆虫が活動している限定された期間中に生物学的に活性があると、ハチや「標的外」の昆虫に対する悪影響のリスクが最小であることを示す独自のテストを提示すると、製造業者は言う。
 
「ネオニコチノイドを安全に使って、ハチの健康を危険にさらさないことは可能です」と、Bayer CropScienceの環境毒物学者であるDavid Fischer氏は言う。
「ネオニコチノイド製品の使用とハチ群集の減少との相互関係はありません。公表されることは証拠の重要性を正確に反映していません」。
 
CropLife Americaの規制政策のsenior directorを務めるRay McAllister氏は、ほんの少量の殺虫剤を、種子の的確に必要な部分にだけ使用している、と述べている。
Ray McAllister氏によると、ネオニコチノイドは主に植物の初期成長時期に影響を与え、植物が成長するにつれて殺虫剤の活性成分は希釈され分解される。
「これによってその植物が開花するときにその植物内に存在する量が数桁低くなります。その投薬量が極めて低ければ、有毒ではないはずです」と、McAllister氏は説明した。
 
しかしながら、Connecticut Agricultural Experiment Station(コネチカット農業実験ステーション)の昆虫学者Kimberly Stoner氏とその他の研究者達の最近の研究では、指示通りにそれらの農薬が使用されたカボチャの花蜜と花粉から、イミダクロプリドとチアメトキサムという2種類のネオニコチノイドが発見されたことが示された。
U.S. Geological Survey(アメリカ地質調査所)の環境化学者により発表された研究論文に、河川や水路中のネオニコチノイドの存在が記載されている。
ワシントン州のBenbrook氏とその研究者達の集めたデータによると数多くの食物にもネオニコチノイド残留物がみられるという。
 
「今期(作物)の成長期にはハチ不足になるでしょう」と、米国の農業状況についてFrazier氏は語った。
「失ったハチを元に戻す能力は使い果たされているので、来年度への大きな問題が残っています。もはや引き返すことができない段階に来ているのかどうかは、わかりません」。
 
*レート換算日 2013年6月16日
 

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