母の日ギフトにサルはフツーじゃない?
翻訳協力:伊東 里子、校正協力:島田 貴子
2013年5月10日 IPPL Blog
一時の流行りであることを祈ろう。しかしながら、最近よく目にするサルを使った広告には不安を覚える。
シアーズ、バーガーキング、Kマートといった大手ブランドはコマーシャルにサルを起用して、サルを可愛いペットにするアイデアを売り込むつもりなのだろうか。たぶん、視聴者は新しいバーガースペシャルや宝飾品のキャンペーン、ポイントプログラムよりはるかに強く、サルを飼うことに心惹かれるだろう。
(コマーシャル中、Kマートで実際にサルを販売してはいないと明言していることについては感謝してもよいが。)
正確には分かっていないが、一般的な推定では、全米で15,000匹程の霊長類がペットとして飼われている。
その多くは子供の代わりとして飼われ、フリルの付いたドレスやオムツをつけられたり、人のジャンクフードを与えられたりして、不自然な形で「可愛がられて」いる。
しかし飼い主に噛みついたり暴れ回ったりし始めれば状況は変わってしまう。
そうした場合にサル達を待っているのは、丁寧な言い方をすれば “治療”と呼ばれるものである。
時には犬歯だけでなく全ての歯が抜き取られ、オスザルは去勢される。
最近の広告に登場するオマキザル類は知能が高いことや手先が器用なことで知られているが、いたずらをしないように飼い主が指を切断してしまうこともあるだろう。
あるいは、飼い主の手に負えなくなった時点でポイと捨てられるか、道ばたの動物園に送られてしまうかもしれない。
どうやらジャスティン・ビーバーは、以前彼が飼っていたサルのマリーをアメリカのJungle Friends sanctuaryに連れてこないで、ドイツの“某所”に置き去りにするようである。Jungle Friends sanctuaryであれば、マリーは少なくとも他のオマキザル達と暮らすことができるし、そこに運び込まれた霊長類のうちの70%はマリーと同様ペットとして人に飼われた経験がある。
ペットにされる霊長類は、早くも生後3日で母親から引き離されることもあるが、本来、野生のオマキザル類の子は生まれてから2、3年は母親と一緒に暮らすのが普通だ。
それだからこそ、母の日ギフトの販売広告にサルを使うなどというのは非常に心ないことなのである。
悪い意味で、本当に、サルのペットブームというのは尋常でない。
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