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2013年9月11日 (水)

ミナミセミクジラのモニタリング

アルゼンチン(パタゴニア地方)でクジラがこうも沢山死んでゆくのはなぜ?

翻訳協力:蔦村 的子、校正協力:小山 園子

2013年5月3日 WCS Press Releases

アルゼンチンのバルデス半島を生育場にしているミナミセミクジラは、世界中でこの種についてかつて記録された中でも最悪の大量死発生を経験している。
2003年以来、アルゼンチンの海岸沿いでは少なくとも605頭のセミクジラが死んでしまっており、その中には生まれたばかりの赤ちゃんクジラ538頭も含まれる。
2012年だけで113頭のクジラが命を失った。
クジラの死因を確定するため、世界中の科学者たちによるミナミセミクジラのモニタリングが行われている。
しかし、今までのところ共通の死因はまだ見つかっていない。

毎年冬から春にかけて、アルゼンチン・パタゴニア地方の大西洋岸にある世界遺産地域、バルデス半島の静かな入江は子クジラを生み育てるためにやって来るミナミセミクジラで溢れる。
だが近年は、こうした人里離れた浜辺は死亡した子クジラでもいっぱいになっているのである。
2008年だけで、ほぼ100頭のクジラがバルデス半島およびその周辺地域で死んでおり、そのうちの89頭は子クジラである。
2012年には子クジラ113頭を含むクジラ116頭が死亡し、その数は過去最多である。

バルデス半島でクジラの研究活動をしている調査員たちにとって、こうした個体数激減の原因究明は、ずっと難しい課題であった。
モニタリングの共同指導者であり、以前はWildlife Conservation Society(WCS、野生生物保護協会)で働く獣医であったMarcela Uhart氏と、モニタリングに携わる病理学者の指導者であり、また同時にWCSの病理学長でもあるDenise McAloose氏は、調査範囲を広げたにもかかわらず、その原因を確定することができずにいる。
二人は、「私たちは組織サンプルを何百と集めてさまざまな感染症や中毒疾患、そのほかの病気の検査をしましたが、こうした死亡の原因を特定できませんでした。毎年毎年、死亡するクジラの数、死亡数の最も多い時期、クジラが岸に打ち上げられる場所が前例パターンとはまったく違うのです。頑として変わらない唯一の事実は、死んでしまうクジラの大半が生まれたばかりの赤ちゃんクジラであるということです」という。

「2012年、私たちはこの半島で生まれた子クジラ全体の3分の1近くを失いました。ミナミセミクジラは、ふつう9歳の時に最初の子どもを生みます」と説明するのは、アルゼンチンにあるクジラ保全研究所の科学局長であり、モニタリングの顧問であるMariano Sironi博士。
「これは、今から10年経ってようやく、生まれた子クジラのかなりの数の頭数減少が目に見えるようになるということを意味します。というのは、死んだメスの子クジラはすべて、個体群の新たな子孫の誕生に貢献することが一切ないからです」。

モニタリングの共同指導者であり、Ocean Alliance(オーシャン・アライアンス)での43年にわたるバルデス半島のミナミセミクジラに関する研究における局長を務め、ユタ大学の研究教授でもあるVicky Rowntree氏は、個体数の増加率減少を懸念している。
「現在のミナミセミクジラの個体数は、もとの規模のまだほんの一部に過ぎません。現在、その回復については心配するに値する十分な理由があります。私たちの持っている長期モニタリングデータは、バルデス半島のクジラがつい最近までは着実にほぼ年7%の割合で増加していたことを示しています。増大する子クジラの死亡率は、この増加率をかなり(ある推定によると3分の1近くの割合で)減少させています。この状態が続けば、今後がどうなるかわかりません」。

International Whaling Commission(国際捕鯨委員会)は、クジラの保護や捕鯨の管理を受け持つ世界的な政府間機関である。
同委員会は、2010年にアルゼンチンのプエルトマドリンでワークショップを開催し、バルデス半島でのミナミセミクジラの大量死について分析調査を行った。
既存の証拠についての討議に基づき、世界中から集まった専門家たちは、大量死の原因として最も可能性の高い3点に、栄養失調、感染症、および生体毒素が挙げられると結論づけた。

先週、専門家である科学者たちは、カリフォルニア州ソーサリートにおいてThe International Association for Aquatic Animal Medicine (IAAAM、国際水産動物医学会)の第44回年次総会期間中に開催されたワークショップで、このわけのわからないクジラの大量死について新たにわかった事柄を分析した。
The US Marine Mammal Commission(米国海洋哺乳類委員会)に属し、同ワークショップの主催者の一人であるPeter Thomas博士は、以下のように語る。
「つい最近まで、バルデス半島のセミクジラの個体群は健康で、過去の数世紀にわたる捕鯨によりその数が激減した後は、一定の割合で増加しているとみなされていました。しかし、長年にわたる高い死亡率を考えると、バルデス半島や南大西洋西部のクジラの生態系は、これまでに考えられてきたほどは環境に適応しておらず、その回復力も低いように思われます」。

ワークショップの討議では、非常に稀な生物学的現象にも焦点が当てられた。
バルデス半島では、ミナミオオセグロカモメがミナミセミクジラの背に乗ってクジラの表皮やその下の脂肪を食べる。
Rowntree氏とSironi氏は1995年以来ずっと、毎年のカモメの攻撃の頻度を研究してきた。「攻撃は非常な痛みを引き起こし、とりわけ生後2~6週間の子クジラの背中には広範囲にわたる深い傷がついてしまいます。クジラたちは、痛さに激しく縮み上がり、泳ぎ去ってカモメの攻撃から逃げるのです」と、研究者たちは説明する。
「こうした嫌がらせは一度に何時間も続くことがあります。その結果、ミナミセミクジラの母親たちとその子どもたちは、母親クジラがその食事を絶つ時節に、脂肪分の蓄えを補充するための食物がほとんど手に入らない場所で、多くの貴重なエネルギーを使い果たしているのです。カモメの嫌がらせや負わせる広範囲の傷が、クジラの健康や体調に非常によくない影響を及ぼすことは間違いなく、確実に大きなストレスとなっています」。

バルデス半島の子クジラ大量死の原因を確定することは、この個体群にとって急務であり、その全体頭数が、2003年以来バルデス半島で死んでしまったクジラの頭数とほぼ同じである北半球の他のセミクジラ個体群の危機的状況に照らしても、その原因究明が急がれる。
「バルデス半島に生息するミナミセミクジラの現在の大量死は、地球規模で見ても前代未聞です。シーズンごとにこんなにも多くの子クジラの命が失われる現象は、ほかのミナミセミクジラの個体群では、まったく見られません」と、ソーサリートにあるThe Marine Mammal Center(海棲哺乳類センター)の上席研究員で、国際水産動物医学会の学会議長を務めたFrances Gulland博士は述べる。
「北太平洋および北大西洋に生息する北方の姉妹種である個体群は、その両方とも『絶滅の危機にさらされています』が、それに比べて近縁であるチリ沖およびペルー沖のミナミセミクジラの個体群は、『絶滅危惧はIA類で、より絶滅の危機に瀕している』のです。もし万が一、こうした個体群がバルデス半島のクジラと同じ危機に遭遇したら、ミナミセミジクラは絶滅してしまうかもしれません」。

バルデス半島のミナミセミクジラの、過去7年間にわたる一貫して非常に高い死亡率は無視できない。
現在行っている研究や監視活動を継続し、なぜこうも多くのミナミセミクジラの子どもが死んでゆくのか、こうした事態に対処するため私たちに何ができるのか、解明することが極めて重要である。

http://www.wcs.org/press/press-releases/whales-dying-in-argentine-patagonia.aspx

 

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