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2013年9月 3日 (火)

欧州の生物多様性を守る-EUのさらなる戦略

翻訳協力:木南 誠、校正協力:神田 美恵

2013年5月2日 IUCN News story

EU加盟国は、IUCN(International Union for conservation of Nature、国際自然保護連合)がまとめた欧州のレッドリストに関する最近の調査に基づいて、絶滅危惧種の保全活動を強化し、それらの絶滅を阻止するためにThe EU Biodiversity Strategy to 2020(2020年までのEUにおける生物多様性戦略)をしっかりと実施するべきだ。

このIUCNの調査では、全EU加盟国(27カ国:2013年5月2日現在)において、欧州の基準で絶滅が危惧される生物種についての詳細な概要が示されている。
これによると、EUで絶滅危惧種が最も多く分布しているのは、欧州の生物多様性の大部分を擁する地中海地域である。

「恵まれた生物気候学的条件のおかげで、地中海地域は、数多くのバラエティに富んだ生物が生息する世界的な生物多様性ホットスポットとして知られています」と、Director of IUCN Centre for Mediterranean Cooperation(IUCNの(仮)地中海地域協力センター長)Antonio Troya氏は語る。
「生息地が人間の活動の悪影響を受けつつあるために、こうしたホットスポットの生物の多くが生存を危ぶまれています。これは欧州の政治家たちが取り組むべき大きな問題です。IUCNが提供する絶滅危惧種に関するレッドリストは、それぞれ異なる基準での効果的な政策や、行動の指針となる生物の個体群の動向を知るための重要なツールになり得るものです」。

スペインやポルトガル、ギリシャは、欧州の基準において絶滅の危機にさらされている種が最も多く生息する地域であり、そこでは迅速な対応がとられるべきである。
評価対象となったスペインに生息する2,233種のうち21%が欧州の基準では危機的状況と考えられている。
ポルトガルでは1,215種のヨーロッパの固有種のうち15%が危険な状況にあり、ギリシャの固有種では1,684種のうち14%がこれと同様の状態にある。

これまでに評価された種のなかでも、淡水に生息する生物(魚類、軟体動物、両生類など)が最も危険な状態だが、なかでもヨーロッパウナギやFreshwater Pearl Mussel(Magaritifera magaritifera、カワシンジュガイの仲間) といった種が特に脅かされつつある。
また陸生の軟体動物、トンボ類、ヨーロッパミンクなどの哺乳類の生息状況にも重大な懸念がある。
これらの種にとって大きな脅威となるのは、生息域の消失や分断、減少であり、その原因は主に農業用地や都市の拡大、ダムの建設や水質汚染である。
地中海地域における効果的な保全活動が急がれると同時に、当該調査は全てのEU加盟国に対し、種の絶滅を回避するために、現在の個体群の減少を食い止めるに充分な対策を取ることを提言している。

IUCNのRegional Biodiversity Conservation Officer((仮)地域生物多様性保全担当責任者)であるAna Nieto氏は、「生物を絶滅から救うことは可能ですが、それには十分な研究とより協調的な保全活動との組み合わせが必要です」と語る。
「全EU加盟国の首脳と政府は、2020年までに生物多様性の喪失と生態系の悪化を食い止めると表明していました。EUがこの目標を達成し、欧州の生物の生息状況の長期的な改善を確かなものとするためには、保全活動に加盟国からかなりの額の資金を調達しなければなりません」。

EUの自然保護政策は、世界的に見て最も先進的なものだ。
The Birds and Habitats Directivesは、多くの種を絶滅の危機から救ってきた。

「保全活動は成功しています」と、IUCN-SSC(種の保存委員会)議長のSimon Stuart氏は語る。
「南スペインでは、スペインオオヤマネコの個体群が2002年の94頭から2011年には312頭に増えたのが良い例です。EUと加盟国は、これからもヨーロッパの自然という貴重な財産を守る活動を続けなければなりません。IUCNには、こうした保全活動を成功させるのに必要な科学的知識とサポートを提供する用意があります」。

調査結果について
当該調査は、European Commission(EC、欧州委員会)の裏づけを得た欧州のレッドリストに基づくものであり、欧州の基準での各EU加盟各国における絶滅危惧種の割合を示している。
この調査は、国別(つまり、加盟国別)の生物の状況に関する情報ではなく、欧州レベル(つまり、欧州大陸全域。ただし、EUの海外領土を除く)で種群の脅威となっているものについての情報を提供している。
国や地域別のレッドリストを照合して、加盟国別の生物の状況を確認することができる。より詳細な情報と全27カ国のfact sheet(概況報告書)はこちらを参照のこと。

欧州基準で絶滅が危惧される生物が最も高い割合で生息しているEU加盟国はどこか
上記は、これまでに提供された10の欧州のレッドリストに基づき、EU加盟各国の絶滅危惧種の割合を示したグラフである(グラフはニューソースのページの末尾をご参照下さい)。
2011年までに行われた調査の結果についてはこちらを参照のこと。
これにより全般的に言えることは、これまで欧州で調査された種群の中で最も絶滅の危機にさらされていたのは、淡水魚、淡水軟体動物および両生動物だということである。

ニュースソース
http://www.iucn.org/news_homepage/?12904/EU-countries-must-do-more-to-protect-biodiversity

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