侵略的外来植物と害虫:コミュニケーションへの挑戦
翻訳協力:山田 二三夫、校正協力:石野 精吾
2013年5月10日 IUCN News story
生物学的な侵入の影響について、理解を深めようとする研究が欧州全域で進められてきている。
各国政府と各種組織は、その予防と侵入種の制御のための活動を行うことを約束した。
更に近い将来には、専用の法制度が欧州委員会より提案されるという期待もある。
だがこうした取組にもかかわらず、害虫及び侵略的外来植物がどういうものか、またそれらがどんな被害を引き起こすかについて、一般的にはほとんど知られていない。
そのためこの課題に全面的に立ち向かうためには、この課題に対する社会全体の認知度を引き上げる措置を講じることが必要不可欠となっている。
害虫と侵略的外来植物の話題について話すことは、困難で骨の折れることである。
というのは、これらの種がどのような種なのか、どんな影響があるのかを説明することが必要となってくるためである。
そのほかに、侵入種の研究に携わる科学者や侵入種問題を担当する公務員の中には、コミュニケーションツールの使い方や、戦略的にコミュニケーションを進めることに慣れていない者が多いという問題もある。
ヨーロッパ地中海地域植物防疫機関(EPPO)は、欧州評議会、欧州環境庁及びIUCNの侵入種専門家グループ(Specialist Group on Invasive Species)と協力してセミナーを開催し、害虫及び侵略的外来植物について話す際に直面する課題に焦点を当てるセミナーを開催する。
セミナーでは、様々なコミュニケーション手段の用例を示し、効果のあるものとそうでないものを明らかにする。
害虫と侵略的外来植物について伝える方法の事例はあるのだが、広く知られるようになったものは殆どなく、またそのリストもない。
そのような中で、現在残っているコミュニケーションの事例について、EPPO事務局のウェブサイト上でまもなく調査が開始される。
各国の農業および環境省、各国植物防疫組織、環境庁、NGO、大学などに声をかけ、調査に参加するよう求めていく。
この分野での、コミュニケーションガイドラインを作成するのに重要になる、侵略的外来種が一般的にどれくらい認知されているかについて、セミナーでは討議が集中するであろう。
セミナーは、ポルトガルのオエイラスで2013年10月8日から10日に開催される予定で、主催者は、ポルトガル植物防疫機関のthe General Directorate of Food and Veterinary((仮)食品獣疫理事会)、コインブラ大学のthe Centre for Functional Ecology((仮)機能生態学センター)、およびコインブラ農業高校((仮)コインブラ工科大学)である。
セミナーには、公務員、科学者、土地管理者、NGOメンバーおよび報道関係者が参加する。
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