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2013年8月20日 (火)

巨大ビジネスが種と人類を危険にさらす

翻訳協力:バートン 久美子、校正協力:天田 綾

2013年4月28日 IUCN News Story

IUCN-SSC(国際自然保護連合・種の保存委員会)のハタおよびベラ専門家グループが本日発表した報告書によると、世界的に重要な食用魚であるハタのうち、サンゴ礁や岩礁に生息する少なくとも12%の種が絶滅の危機に直面しており、それにより世界中の何十万もの人々の生活が危機にさらされている。

IUCNレッドリストによれば、約30%の種に関するデータが不十分であるため、絶滅の危機にあるハタの全体的な割合はさらに大きくなると思われる。

調査報告書は、乱獲および高級魚介類取引の国際的な増加がハタのいくつかの種の存続と、それらを食糧と収入の糧にしている人々にとって、大きな脅威になっていると示唆している。本報告書では、これらの種のさらなる減数を食い止めるための保護対策、および管理作業が緊急に必要であると訴えている。

IUCN-SSCのハタおよびベラ専門家グループの共同委員長で、本報告書の主執筆者であるYvonne Sadovy氏は、「いくつかのハタ漁場が衰退しているのは憂慮すべきことである。漁場のほとんどはまったく管理されておらず、自然の繁殖能力が需要の増加に追いついていない。ハタの取引量は国際的に急激に増加しており、それがハタの個体数減少に拍車をかけている」と述べている。

2009年の世界全体でのハタの水揚げ量は30万トン(およそ9,000万匹)を超え、その大部分は高級料理店でのハタの人気が高いアジアで漁獲されている。
ハタは約7億5千万円(1US$=94円、2013年6月18日現在)の規模を持つサンゴ礁棲息魚の国際市場を支える魚で、市場の中心は香港だが、中国本土での市場も拡大しており、中国の消費者はハタ1キロに18,800円(1US$=94円、2013年6月18日現在)の出費も厭わない。
また本報告書によれば、ハタはインドネシアやフィリピンなど、サンゴ礁に生息する食用魚の輸出需要が高まっている発展途上国にとっても重要な魚である。

ハタは、寿命が長く性成熟期が遅いこと、また交配期には繁殖集団(spawning aggregation)と呼ばれる大きな集団を形成する種類が多いことなどから、もっとも漁業対象になりやすい魚類のひとつである。
ハタの経済的な重要性にもかかわらず、定期的な監視や管理が行なわれている漁場はわずかで、多くの漁場が衰退している。

米国カリブ海のナッソーグルーパー(Epinephelus striatus)は、繁殖集団を形成するわずかな期間に漁が行なわれるのが一般的だが、ほとんど獲りつくされてしまったと言っていい状況である。
確認されている数10ヵ所の繁殖地のうち、現在でもこの種が多数集まって繁殖が行なわれているのはわずかに2ヵ所で、そこでも同様に著しい個体数の衰退が見られている。
東南アジアおよび太平洋では、これも繁殖集団期に漁が行なわれるオオアオノメアラ(Plectropomus areolatus)など、数種が国際取引により絶滅の脅威にさらされていると見られている。

IUCN-SSCのハタおよびベラ専門家グループの共同委員長で、本報告書の執筆者のひとりであるMatthew Craig氏は「魚の乱獲は銀行口座の管理ミスのようなものである」と語る。「現在の魚の個体数は元本の残高で、そこから生まれてくる稚魚という形での利息が出ることを期待している。利息の増加を上回るスピードで元手の資金を引き出し続けていたら、元本つまり現在漁場にいる魚の個体数はすぐに枯渇する。すべての資金、この場合は魚であるが、これを瞬く間に失ってしまうのは目に見えている」。

これらの種に対する脅威を軽減するには、地元地域の食糧確保に重点を置いた輸出国による管理の強化と、国際貿易のさらなる監視および管理の整備が緊急に求められると本報告書の著者は述べている。

http://www.iucn.org/news_homepage/?12869/A-billion-dollar-business-puts-species-and-people-at-risk

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