「世界ライオンの日」2013年8月10日:人類のためにも、百獣の王を守りたい
翻訳協力:山本 真麻、校正協力:加藤 哲子
2013年5月28日 African Conservation Foundation Wildlife News
神殿の守り神となり、国旗や硬貨を装飾して、私たちの心を捕えて離さないライオン。
ライオンは間違いなく、世界を象徴する生き物である。
各大陸の幾千もの文化を見ても、威厳を持ったその姿に人間が魅了されてきたことは明らかだ。
時代を超えて重要なシンボルとされてきた一方で、ライオンは今、アフリカとインドで静かな絶滅の危機にさらされている。
百獣の王がこのような状態にあることはあまり知られていない。
来たる2013年8月10日の「世界ライオンの日」は、ライオンの重要性を讃える初めての世界規模の活動となる。
人類の誕生以来、象徴的、宗教的、文化的、経済的、そして生物学的な面で、ライオンは人間にとって必要不可欠な役割を担ってきた。
ライオンを失うということは、世界的な遺産の一部を失うことでもあるのだ。
World Lion Day(「世界ライオンの日」)は独立した活動であり、ライオンを絶滅から守るための早急な取り組みの必要性を訴えることを目的としている。
ライオン保護の特定の取り組みを宣伝したり排除したりするための活動ではなく、多くの個人や企業からの共感や支持を求め、ビジョンを共有して協力し合ってゆく、いわば種の未来を確保するための活動である。
アフリカライオン
アフリカライオンは、まさに“暗黒大陸アフリカ”の野生の姿そのものだ。
その魅力は数百年に渡り太古の地アフリカに旅人を導いてきた。
また、数千年前からアフリカライオンはアフリカ神話の中心であり、大陸全土に渡る民間伝承の対象であり、そして今もなお多大なる影響をアフリカに与え続けている。
“ビッグ5(訳注:ゾウ、ライオン、サイ、ヒョウ、バッファローの5種類の野生生物)”のトップに君臨し、観光客に最も人気のある動物でもある。
大きな黒いたてがみに覆われ、吠え声を草原一帯に轟かすその堂々たる姿を一目見ようと、毎年何千万人もの観光客がアフリカを訪れる。
かつては大陸全体にまたがっていたアフリカライオンだが、ここ50年間だけで生息可能な地域の80%以上から姿を消した。
1975年にはアフリカに約25万頭生息していたと言われるが、現在は大陸全土でわずか2万5千~3万頭しかいない。
80~90%減という信じがたい値に加え、残った群れの分裂や孤立化も進んでおり、今後の生存能力は疑わしい状況だ。
アフリカライオンは大陸内67カ所に生息していることが最近の研究で明らかになった。
しかし1,000頭以上が生存するのはわずか9カ国で、別の5カ国では2002年に完全に絶滅したとされている。
2006年の86のライオン保護団体による評価と、IUCN(国際自然保護連合)のRegional Lion Conservation Workshops((仮)地域ライオン保護ワークショップ)により、マリ、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、マラウイを含む18カ国に絶滅の宣告がなされた。
西アフリカと中央アフリカでは、アフリカライオンは「地域絶滅危惧IA類」とされ、個体数は約2,800頭と、驚くべき割合で減少を続けている。
ケニアは、この威厳あるライオンと深いなじみがあり、今もライオンが野生生物の頂点に君臨するとしている国である。
しかしケニアでは、野生動物であるライオンが人間と厳しく対立する関係にあり、毎年およそ100頭ずつのペースで減っている。
ケニア国内のアフリカライオンは数年以内に絶滅する可能性がある、とライオン保護の関係者は恐れている。
インドライオン
インドの密林は、ベンガルトラ、ピグミーゾウ、インドサイを始めとした一風変わった素晴らしい野生生物が生息することで有名だ。しかしグジャラート州ギル保護区の小さな森に隠れるようにに生息するインドライオンについて知る人は数少ない。
インドライオンは、肘と尾の先の毛が長く飛び出しているなど、非常に独特な身体的特徴を持っている。
最も顕著なのはアフリカライオンに比べて小柄な点だ。
インドライオンの体長はアフリカライオンより目に見えて小さく、雄のたてがみも小さく短い。
数千年間の進化によってこのようになったと考えられていたが、近年の研究では最近の数世代にも渡る近親交配が上記の身体的特徴の原因ではないかと言われている。
かつてはインドから中東にかけて放浪するところが見られたが、トロフィーハンターによる狩猟により、1907年前後には個体数はわずか13頭にまで激減した。
狩猟は禁止され、保護のもと1975年には185頭まで増えた。
ここ30年間で絶滅寸前の状態を脱し、現在では411頭が生息している。
隣接するギルナルの森での個体数増加に伴い、生息地域は1,883平方kmからおよそ10,000平方kmにまで広がった。
個体数がゆっくりだが確実に増加している一方、毎年50頭のインドライオンが様々な脅威によって命を落としている。
個体数が非常に少なくまた互いに隔離されているため、伝染病や厳しい干ばつ、大規模な山火事などの自然災害によっての亜種の絶滅も懸念されている。
「世界ライオンの日」
「世界ライオンの日」に向けての活動のお陰で、ライオン保護のために精力的に活動する個人や企業は、アフリカ・インド両方で増え続けている。
2013年8月10日当日、世界中で関連するイベントが開催され、人々の意識が向上し、活動継続の資金援助が増加することを期待している。
そして来年の「世界ライオンの日」まで、世界中の人々がライオン保護の取り組みに協力し続けることを願っている。
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