ウェブ記事の監視とカインホア当局の協力で絶滅危惧種のアンナンガメを救う
翻訳協力:野本 良子、校正協力:鈴木 洋子
2013年5月16日 Asian Turtle Program News
Asian Turtle Program(ATP:アジアン・タートル・プログラム)は毎週インターネットや様々なオンライン新聞に目を通し、ベトナムやアジア全域におけるカメの違法取引に関する情報がないか調査している。
4月下旬、彼らはベトナムの地方ウェブサイト(camranh.khanhhoa.gov.vn)で興味深い記事を見つけた。
カインホアにあるカムラン森林保護課(Forest Protection Department:FPD)がカムラン市の商店で100匹以上にものぼる違法捕獲動物を押収したというのである。
記事によると、コブラやトカゲ、ジャコウネコに混じってヒジリガメ(Yellow-headed temple turtles、学名:Heosemys annandalii)が59匹、アンナンガメ(Vietnamese pond turtles、学名:Mauremys annamensis)が6匹見つかった。
その6匹のうち2匹は残念ながら死んでいた。
アンナンガメはベトナム中部地域の数州だけに特有の種で、特に保護が必要とされているものである。
この種はInternational Union for the Conservation of Nature(IUCN・国際自然保護連合)により絶滅危惧IA類に指定されており、ATPとCuc Phuong(クックフォン)国立公園のTurtle Conservation Centre(TCC:カメ保護センター)により優先的に保護活動を行うべき対象とされている。
アンナンガメはベトナムの野生動物保護法(制令32/2006/ND-CP)により保護されているのだが、違法な野生動物取引で売買するための捕獲は後を絶たない。
ATPのスタッフはネット上の記事を発見した後、クックフォン国立公園のカメ保護センターとともに、より詳しい状況をカムラン森林保護課に問い合わせた。
そしてこれら2種の絶滅を回避するために、保障コロニーとしてカメを飼育しているカメ保護センターに、押収したカメを移送できることを伝えた。
カインホアのPeople's Committee(人民委員会)はすぐさま4匹のアンナンガメをカメ保護センターに移送し、保護のための繁殖プログラムに加えるべきであると判断した。
そして5月7日、カメ保護センターのHoang Van Thai氏はカインホアの森林保護課の課長Pham Van Ho氏よりカメを受け取るためにカインホアへ向かった。
詳細に調べた結果、保護された4匹のうちアンナンガメは2匹だけであることが判明した。
Hoang Van Thai氏は残りの2匹がインドシナニシクイガメ(Malayan snail-eating turtles、学名:Malayemys subtrijuga)であると同定した。
この種は見た目が酷似しているため、アンナンガメに間違われやすいのである。
翌日、カメは4匹とも無事カメ保護センターに到着し、専任の獣医と経験豊富なスタッフの保護下に置かれた。
http://www.asianturtleprogram.org/pages/TCC/Khanh_Hoa_turtle_transfer_16May13/Khanh_Hoa_turtles.htm
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