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2013年5月14日 (火)

新報告書―アフリカゾウの不確かな将来を警告

2013年3月6日 IUCN News

翻訳協力:日原 直子・石塚 信子 校正協力:中嶌 歩・石塚 信子

アフリカのゾウ個体群が重大な脅威にさらされ続けている。象牙の違法取引が激増して、ここ10年間に殺されたゾウの数は2倍になり、押収された象牙の量は3倍となっている。

「埋葬地のゾウたち―アフリカゾウの危機-」と題された新しい報告書によると、生息地の減少とともに増加傾向にある密猟のレベルが、以前は安全であった西部、南部、東部アフリカ同様、中央アフリカのアフリカゾウの生存を脅かしているということである。

UNEP(国連環境計画)、CITES(ワシントン条約事務局)、IUCN(国際自然保護連合)、トラフィック(TRAFFIC)などによる報告書によれば、アジアに大量に流失する象牙が定期的に見つかり押収されていることから、犯罪組織の関与が考えられるという。このネットワークはアフリカとアジアの間の密売の背後でますます勢いを増して活動している。

ワシントン条約事務局率いるMIKE(ゾウ密猟監視システム)のプログラムによって監視されている地域(全アフリカゾウの個体数の約40%が生息)だけでも、2011年に約17,000頭のゾウが違法に殺されている。2012年の初期データによると、その状況は改善されておらず、恐らく実際の密猟数はもっと増えている可能性がある。

これらの脅威がゾウの生存にもっとも致命的な長期的脅威となっている。人口が急速に増え、国際市場に供給する農業用にと土地が大規模に変換されるにつれ、生息地の喪失が増えているのである。

「ワシントン条約事務局は、ゾウが生息する国および象牙などの製品を消費する国への経由国とともに、改められた目的、責任、創造性、協力、行動力をもって、違法な野生生物犯罪阻止に再び取り組むべきです。」と国連の副事務総長でありUNEPの事務局長でもあるAchim Steiner氏は述べている。

「アフリカゾウやその他の絶滅危惧種の殺戮と違法な捕獲の急激な増加は、野生生物の個体群だけでなく、観光で生計を立てている何百万人もの人々、違法な行為を阻止しようとする(野生生物の)監視員や野生生物保護に関わる人々の生活をも脅かしているのです。」

「この報告書は、われわれが密猟や違法取引の増加という不穏な状況を食い止めたければ、十分な人員や財政的資金、ノウハウの共有、消費国における一般国民の意識の向上、そして強硬な法律の施行などの全てが必要であることを示しています。」と、ワシントン条約事務局(CITES)のJohn Scanlon事務総長は述べている。

本報告書は、違法に象牙を供給するネットワーク全域に及ぶ法の施行の改善や、強化された国の法的枠組を含む重要な行動を推奨している。追跡し情報を収集するネットワークや、法廷での分析などの革新的技術を駆使する警察官の育成が急務である。

IUCNの種の保存委員会(SSC)のアフリカゾウ専門家集団専門家グループの議長であるHolly Dublin博士は、「ゾウが直面する増大する危機に取り組むには早急の行動が必要です。しかし、それは適切な政治の意思があってこそ可能なのです。」と述べている。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)、CITES、INTERPOL(国際刑事警察機構)、世界税関機構(WCO)、世界銀行、その他の国際機関などを通じて、生息地国、経由国、消費国がさらに国際協力を行うことが、現地から司法組織へと法の施行を強化し、犯罪行為を抑制し、違法取引と闘うためには必要である。

これらの取り組みには、共謀した堕落と闘い、組織を暴き、需要を減らすというニーズも含まれている。

「組織的な犯罪ネットワークは、ゾウの密猟で利益を上げ、先例のないほどの量の不正な象牙売買をしています。比較的無難に違法売買を成し遂げてしまい、告発も恐れていません。」とTRAFFICの象牙取引の専門家であるTom Milliken氏は述べている。

急速に人口が増え、農業が拡大したために、ゾウたちは約29%もの生息地の喪失という危機に脅かされている。

最近あるモデルが示したところによると、生息地の喪失は63%にも達し、長期的に見てゾウの生存において、さらに大きな脅威となるとしている。

その他、本報告書より明らかになった重大な事項は以下のとおりである。

・アジアに向けて運ばれた大規模な象牙の押収量(その積送量は800kgを超える)は、2009年以降2倍以上になり、2011年には史上最高の量に達した。

・1隻の船でゾウの何百頭分にもあたる象牙が大規模に輸送されていることは、アフリカの象牙の違法取引に関わる高度に組織された増大する犯罪ネットワークが存在することを示唆している。

・こうした犯罪ネットワークの逮捕、告発、有罪判決が成功した実例はほとんどなく、彼らは処罰を受けることなく違法売買を行っている。

・違法な象牙取引は、世界的に2007年以降倍増しており、現在は1998年の3倍を超える量が取引されている。

・アフリカの諸都市における規制されていない象牙市場の拡大が、アフリカに居住しているアジア国民数の増加とが相まって、アフリカ国外への違法な象牙取引が促進されている。

・密猟が増加している理由は主に、世界最大の消費地となっているアジアの高度経済成長国、とりわけ中国における管理体制の脆弱さと、違法な象牙に対する需要が増加していることである。

・法の取り締まりがなく、携帯兵器が豊富に手に入ることで闘争が増発し、ゾウの違法な殺戮に最適な条件を提供し、頻発する密猟を煽っているケースも見られる。

http://www.iucn.org/news_homepage/?12573/New-report-warns-of-uncertain-future-for-african-elephants

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