ライオン、チーター、グレービーシマウマ、ハイエナが北部ケニアの新しい道路で相次いで交通事故死
2013年4月2日 Wildlife Extra
翻訳協力:島田 真理子 校正協力:柳川 さやか
シマハイエナが、2012年10月12日に交通事故死した。残念ながら、ナイロビからサンブル(Samburu)へ車で移動中にこのような光景を目にすることは珍しいことではない。
新しい舗装道路は野生動物にとって危険
2013年4月、地元の自然保護団体Ewaso Lionsは、サンブルとイシオロ(Ishiolo)地区の他の自然保護関係者と会合を持ち、新しく舗装された高速道路A-2を猛スピードで走る車にはねられて死亡する野生動物の深刻な被害について意見を交換した。
昨年2012年には1匹の子ライオンが母親や兄弟といっしょに道路を横切ろうとして車にはねられ、同年9月にはチーターが1頭同じ場所ではねられて死亡した。もっと最近では絶滅のおそれのあるグレービーシマウマの母子が車にはねられた。ケニア全土でもライオンは2,000頭を下回る数しか残っておらず、グレービーシマウマは地球上にたった2,500頭ほどしか残っていないのだから、スピード違反のドライバーによる事故でこれ以上の犠牲を出す余裕はない。
その他の被害
過去1年間で、私たちは憂慮すべき数のその他の動物の死体を道路沿いで目撃している。それにはシマハイエナやブチハイエナ、多くの小型肉食動物も含まれ、ゾウまでも1頭はねられていた。この事態を受けて、Ewaso Lionsと他の自然保護団体は、すべての自然保護関係者が団結して問題を討議し、生物多様性のこの不必要な損失を食い止める活動方針を定めるよう会合を呼びかけた。
人命の損失
多くの人間がこの沿道で死亡したり負傷したりしていて、人命の損失もまた大きな懸念である。
高速道路A-2はイシオロの町から北へ延び、バッファロー・スプリングス国立保護区(Buffalo Springs National Reserve)とシャバ国立保護区(Shaba National Reserve)の間を横切り、カラマ野生動物保護区(Kalama Consevancy)とサンブル国立保護区(Samburu National Reserve)に隣接して走っている。最近舗装されたため自動車が以前よりもずっと速いスピードで走ることが可能になった。野生動物の通り道と数か所で交差しており、道路を通り抜ける野生動物は、主として水場に行くため道路を横切る際、特に夜間は車にはねられる危険を冒している。
交通死亡事故データ
Ewaso Lionsは、交通死亡事故のデータを収集し、スピード防止帯と標識の設置によってドライバーがスピードを落とし、横断する野生動物に気づく可能性のある沿道の要所を特定しようとしている。今後Ewaso Lionsはケニア野生生物庁(Kenya Wildlife Service)との緊密な連携のもとに活動を展開し、高速道路公社に対してこれ以上の交通事故を防止する措置を履行するよう働きかけていく意向である。
http://www.wildlifeextra.com/go/news/samburu-road.html
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