新種のサンショウウオが2種発見される
2013年2月13日 IUCN News
翻訳協力:易 あかね、校正協力:柳川 さやか
最近コロンビアの若手の調査チームが定期刊行誌Zootaxaに論文を掲載し、Conservation Leadership Programme(CLP)とSave Our Species(SOS)から資金援助を受けたプロジェクトの最中に、新種のサンショウウオを2種発見したと発表した。
この素晴らしい発見はまさに、SOSが資金供給していたプロジェクトがあげた数ある成果のうちの一つであり、専門のニュース記事で間もなく報告される予定だ。以下はIUCNのパートナーであるCLPが掲載した発表の原文である。
新種のサンショウウオ2種は、ネッタイキノボリサンショウウオ属、またはミズカキサンショウウオ属などの別名を持つ、Bolitoglossa属のサンショウウオである。そのうちの1種(Bolitoglossa leandrae)は、チームが野外調査の間に友人となった11歳の少女の名前をとって命名された。「Leandraは両生類の世界に魅了されてきています」とチームのリーダーであるAldemar Acevedo氏は語る。「彼女は我々の活動を熱心に学び、コミュニティ内で素晴らしい自然保護の代弁者となりました。」
Bolitoglossa leandraeは比較的小型のサンショウウオ(体長は大体50ペンス硬貨または25セント硬貨の直径と同じくらい)であり、頭部は狭く尾は細長い。オスは体色が焦げ茶色で体長に沿って薄い黄色の縞が入っており、メスは体色が赤褐色である。
Bolitoglossa tamaenseはBolitoglossa leandraeより体長が少し長く(最も体長の長い種はクレジットカードの高さとほぼ同じくらいである)、頭部は広く、比較的体部と肢が長い。様々な色合いと模様が報告されているが、体色はおしなべて茶色か暗赤色、尾と肢は焦げ茶色、赤、オレンジまたは黄色の場合がある。
これら新種は、コロンビアとベネズエラの国境をまたぐTama Bi国立公園で行われた、初の両生類のセンサス調査中に発見された。2種の新種に加えて、チームはコロンビアではそれまではっきりした記録のなかったPristimantis属の3種、そしてコロンビア北東部では新記録である別の8種も報告した。チームはその地域で以前報告された5種に加えて、合計で両生類34種を報告した。
彼らの論文では、両生類の多様性への理解を向上させるために、フィールド及び実験室での一層の調査、そして調査地域でのより現実的な保全計画を行う必要性を強調している。「ここ数十年でTama Bi国立公園の自然景観は森林伐採、農業開発、違法な穀物栽培の被害を受けています。そのため我々はこのプロジェクト中に、よりよい土地管理と適切な保全計画の発展を推進するために、地域住民や環境保護団体と一緒に活動し始めました。」とAldemar氏は言う。「地域住民は我々の呼びかけに応えてくれて、特にBolitoglossa leandraeが生息している一部の森林においての森林伐採の減少が見受けられ始めました。」
しかしながら全てが良いニュースというわけではなく、チームはツボカビ (両生類を死滅させる有毒の菌)をまずコロンビア北東部で発見し、結果的に公園にいた34種のうち23種から発見した。もし検査をしないままであったらサンショウウオの個体数が減少し、結果として恐らくその地域では絶滅したかもしれない。菌の急速な広がりを抑制するため、チームは国立公園のレンジャーや地域住民に対して、何度かバイオセーフティ・ワークショップを行った。今後、チームはバイオセーフティ・ワークショップの成功を評価するため、更なる研究を行う計画を立てており、最近は両生類の生息に適していると思われる地域で、森林再生計画を始動するための支援金を求めている。
http://iucn.org/about/work/programmes/species/news/?11891/two-new-salamanders-discovered
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