ニシネズミザメの附属書改正提案
CITES-CoP16にニシネズミザメの附属書改正提案(ブラジル、コモロ、クロアチア、デンマーク、エジプト)
翻訳協力:五嶋和美 校正協力:木田直子
A.提案
第2条2(a)項に基づくニシネズミザメ Lamna nasus(Bonnaterre, 1788)の附属書Ⅱへの掲載。
適格基準(決議9.24(CoP15で改正))
付記2a基準A:近い将来、附属書Ⅰへの掲載が適格となる事態を回避するため、当該種の取引の規制が必要であることが判明しているか、推測可能または予測可能である。
北、南西大西洋および地中海のニシネズミザメ資源は、個体数の著しい衰退により、商業利用される水生生物種の「衰退」の適用に関するCITESのガイドラインに適合するため、本基準に基づく掲載の対象となる。生産性の低いニシネズミザメの世界最大の資源は歴史的な減少を示しており、基準値の30パーセントを大きく下回っている(附属書Ⅱの掲載要因)この衰退は、高価な魚肉に対する国際貿易の需要を主因または一因とする過剰な漁獲や混獲に起因している。ニシネズミザメ資源は一部の排他的経済水域において管理対象となっているが、この種に対する最大の継続的脅威は、魚肉とヒレの国際取引に供給するために、その他の場所で乱獲されていることである。
付記2a基準B:野生からの標本の捕獲採取によって、継続的な捕獲または他の影響により種の存続が脅かされる水準まで野生個体群が減少しないことを保証するため、当該種の取引の規制が必要であることが判明しているか、推測可能または予測可能である。
北東大西洋から北西大西洋への操業域の移動や、南大西洋の一部の資源に関する単位努力量当たり漁獲量データに示される最近の急激な減少率など、国際取引の需要を満たすための過去の漁業の進展に基づくと、南半球の個体群も同様に衰退するか、そうなる可能性が高い。国際取引の規制によってインセンティブを提供し、持続可能な管理の導入・強化と監視体制の導入を促し、実害をもたらさない適法な捕獲のための知見の基盤を提供しない限り、附属書Ⅰ掲載の検討要因となることが予測される。
注釈:ニシネズミザメのCITES附属書Ⅱへの掲載は、関連する技術上および管理上の問題を締約国が解決できるよう、その発効が18カ月延期される。
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