オニイトマキエイ属の附属書改正提案(前半)
CITES-CoP16にオニイトマキエイ属の附属書改正提案(ブラジル、コロンビア、エクアドル)
翻訳協力:松崎由美子
A.提案
ワシントン条約第2条第2(a)項に従い、決議9.24 (Cop14で改正)の付記2aに示す基準A及びBを満たすことから、オニイトマキエイ属(マンタ)を附属書Ⅱへ掲載すること。
適格基準(決議9.24、Cop15で改正)
付記2a基準A : 近い将来、附属書Ⅰへの掲載に適格となる事態を回避するため、当該種の取引の規制が必要であることが判明しているか、推測可能または予測可能である。
マンタのすべての種は、生産性が低く商業利用される水生生物種の「衰退(decline)」が適用されるCITESのガイドラインを満足しており、付記2a基準Aに従って附属書Ⅱへの掲載に適格である。
マンタの鰓板の国際的な取引に煽られて漁獲圧が増加した結果、近年、個体群の規模の衰退率が著しく高まり、IUCNは2011年に、記述されているマンタの2種を個体群が衰退傾向にある絶滅危惧Ⅱ類に掲げるに至った。さらに、マンタ漁の2大漁場であることが確認されているインドネシアとスリランカにおいては、既に激減している個体群に対する漁が活発に行われている証拠が確認されている。1)小さく、著しく分断化された小個体群や孤立した地域個体群(subpopulation)は、衰退後に生殖による個体数の追加(recruitment)も回復も妨げられていること、2)生産性が極めて低く、よく知られた密集する習性があるために、商業利用に対して著しく脆弱であること、3)「最近の衰退率(recent rates of decline)」が顕著であることなどから考え、いくつかのマンタの個体群は既に附属書Ⅰへの掲載について適格である(付記1基準Aⅰ、ⅱ、ⅴ;基準Bⅰ、ⅲ、ⅳ;基準Cⅰによる)。複数の研究によれば、過去6~8年間で(25年と推定されているマンタの種の1世代よりはるかに短い期間で)、最近の衰退率が56~86%であったことが明らかになっており、商業利用される水生生物種の最近の衰退率が顕著であるというCITES附属書Ⅰのガイドラインを満足している。これらの種は2、3の生息国で保護されているに過ぎず、最大の漁場を持つ生息国においては管理対策が皆無である。国際取引を速やかに規制しなければ、マンタのすべての種は近い将来、全世界で附属書Ⅰへの掲載に適格となる可能性が高い。
付記2a基準B : 野生からの標本の捕獲採取によって、継続的な捕獲または他の影響により種の存続が脅かされる水準まで野生個体群を縮小させることがないよう保証するために、当該種の取引の規制が必要であることが判明しているか、推測可能または予測可能である。
マンタの種は、その個体群が小さく著しく分断化されており生産性が極めて低く(約10年で成熟した後、2~5年毎に平均1匹の子を産む)、密集する習性はよく知られているため、商業利用に対して極めて脆弱であるという理由から、基準Bに従って附属書Ⅱへの掲載について適格である。入手可能な証拠から、現在の漁獲圧の水準ではマンタの個体群は今後も縮小傾向を示し続け、それらの種の存続を危険にさらすことになると推論し予測することができる。
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