フランス領ギアナで進むウミガメ保護活動
2012年7月16日 IUCN News story
翻訳協力:岩下 奈緒、校正協力:杉山 朝子
フランス領ギアナの特有なアマゾン生態系の中にあるアワラ・ヤリマポ海岸は絶滅の危機に瀕しているLeatherback turtles(オサガメ)の最も重要な産卵地であり、Green and Olive Ridley turtles(アオウミガメおよびヒメウミガメ)にとって必要不可欠な生息地である。最近、これらウミガメの回復計画を見直し、効果の検証と実施5年間の進捗状況の説明を行った。
完全な評価結果はまだ保留されているものの、警察や地方自治体、水産関係団体、そして中でもNGO団体関係者たちの連携と努力が数十年にわたってこの地域の保護を順調に促してきたのは明らかである。
これまでこの計画はフランス領ギアナのエリアで運用されてきた。評価・見直しにより現在進行中の計画を国境を越えて拡張させることができるかどうか、またより大規模に協力体制を強化できるかどうか、その可能性を明らかにすることが期待される。
持続可能な漁業の土台をつくり、地域住民に生態系を重視する雇用を創出することで、社会的な問題解決とウミガメの生存維持に効果を生み、近隣諸国にこの計画が多くのプラスの影響をもたらしうるだろう。
計画を今後5年間支援するために、300万ユーロ(2億9400万円:1EUR=98円、2012年8月21日現在)以上の資金が集められ、地元の漁師による捕獲、野犬による卵や産卵中のカメへの攻撃、そして卵の違法な収奪などウミガメを脅かす緊急の問題解決を可能にする。
The French Guiana Sea Turtle Recovery Plan 2007 – 2012(フランス領ギアナウミガメ回復計画2007-2012)はthe Regional environmental authority(地方環境局(DIREN))の監視の下、WWF(世界自然保護基金)とIUCN(国際自然保護連合)の会員がthe French National Hunting and Wild Life Agency(フランス国立狩猟・野生動物事務局(ONCFS))と協調し、the French Ministry of Ecology, Sustainable Development, Transport and Housing(フランス国エコロジー・持続可能開発・運輸・住宅省(MEDDTL))が主導して進められてきた。
この計画は、持続可能な開発分野に携わる関係者による重要な資料による研究活動の成果であり、フランス海外領土で海洋生物種に焦点をあてた初めての回復計画である。
アマゾン熱帯雨林地帯のフランス海外領土、フランス領ギアナは、ほかに類例を見ない生物多様性に富む。まず熱帯雨林、マングローブ、サバンナ、そして種々の湿湿地帯を有し、地球上でもっとも豊かでもっとも脆弱な生態系を持つ。
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