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2012年9月27日 (木)

衝撃的な新発見から20年 今もなお神秘のヴェールに包まれるサオラ

2012年5月21日  IUCN News story

翻訳協力:秋元 紗月   校正協力:神田 美恵

新種の偶蹄類サオラ(Pseudoryx nghetinhensis)の発見は世界中を驚かせたが、それから20年後の今もなお、この希少動物は神秘的で「幻の動物」とされている。IUCN Species Survival Commission(国際自然保護連合・種の保存委員会)が設立したThe Saola Working Group (SWG)やWWF(世界自然保護基金)、The Wildlife conservation Society(WCS :野生生物保護協会)らは、サオラが激しい乱獲を強いられ、保護管理も不十分であるために絶滅の危機に追い込まれつつあると警告している。

野生牛と近い関係にあるがアンテロープに似ているサオラは、1992年にVietnam’s Ministry of Forestry(ベトナム林業省)とWWF Surveyingからなる合同チームによって、ラオスとベトナムの国境付近にあるVu Quang(ブークアン)の森林地帯で発見された。合同チームはある猟師の家で、とても珍しい長くて直線的な角のついた頭蓋骨を発見し、それが非常に特別なものであることを確信した。これは科学分野において50年以上ぶりの新種の大型哺乳類動物の発見であり、動物に関しては20世紀でもっとも偉大な発見の一つである。

サオラに遭遇するのは困難であるため、科学者たちはその正確な生息数を予測できなかった。「仮に生息地環境が良ければ、そこにはまだ数百頭のサオラが生息している可能性があります」Coordinator of IUCN (国際自然保護連合) Saora Working Group、William Robichaud氏はこう語る。「逆に望ましくなければ、数十頭に落ち込んでいる可能性もあります」

最初の発見から20年が過ぎたが、サオラの生態や習性については未だほとんど分かっていない。2010年、ラオス中部Bolikhamxay(ボリカムサイ県)の村人たちがサオラを捕獲したが、数日後には死んでしまった。それ以前、同県の無人カメラの写真で最後に野生のサオラの生存が確認されたのは、1999年であった。

開発によってサオラの森林生息地が脅かされているのは事実だが、サオラにとって最も脅威になるのは密猟である。サオラは、Samber Deer(サンバー Rusa unicolor)や、Muntjac Deer(キョン Muntiacus reevesi)、civerts(ジャコウネコ)など別の動物を捕まえるために密猟者が仕掛けた「足くくり罠」に捕まり、中国の伝統医学やベトナムやラオスのレストランや食品市場からの需要があるため、その大半が大きな利益を生む野生動物取引の対象となるのである。サオラの発見以降、ベトナムとラオスはサオラの主要な生息地に保護区のネットワークを設置しており、中には密猟の横行に取り組むために革新的なアプローチを進めているところもある。ベトナムのThua Thien Hue(トゥア・ティエン・フエ省)にあるSaora Nature Reserve(サオラ自然保護区)では、新たな森林保護の共同管理アプローチが非常に良い結果を生んでいる。2011年2月以降、保護区をパトロールする森林保護チームが、12,500個以上の足くくり罠と、200件近い密猟や違法伐採の拠点を撤去した。

「サオラは非常に謎めいていて、滅多に姿を見せない動物です」そう話すのは、Manager of WWF-Greater Mekong's Species Programme(メコン川保全プログラム)のNick Cox氏である。「生息地はとても狭い範囲に限られているのに、未だに野生のサオラについて科学者の目撃情報もなく、捕獲されたほんの数頭も死んでしまいました」

ベトナムとラオスの国境にかけて走るアンナン山脈において、サオラは生物多様性の象徴である。なお、この生物多様性のホットスポットは驚くべき希少種の多様性を誇り、その多くはここにしか生息していない。このアンナン山脈の険しい常緑樹林では、サオラの発見に加え、1994年にthe Large-antlered Muntjac(オオホエジカ (Muntiacus vuquangensis)、1997年にはTruong Son Muntjac ( Muntiacus truongsonensis)といったシカの新種2種が見つかっている。もう一つのベトナムを象徴する種であったVietnamese Javan Rhino(ベトナムジャワサイ Rhinoceros sondaicus annamiticus)の最後の個体を密猟者から守ろうとする戦いに敗れ、2011年に絶滅が確認されて以来、サオラを救う取り組みはより緊急性の高い水準に達したのだった。

「密猟発生率を大幅に減少させることができれば、サオラの存続に対する見通しを楽観視することができます」WCS-Laos’ Conservation Planning Advisor、Chris Hallam氏はそう語る。「そのためには、サオラの生息地にパトロール隊を増やすのに出資を募る必要がありますし、積極的なサオラの保全意欲を育てて、最終的には野生動物の肉や製品の消費需要を低下させるのです。サオラは発見から20周年を迎えましたが、急いで生息地保全の行動をとらなければ、この先何度も記念日を迎えることはないと思います」

2012年9月6日から15日に韓国のJeju(済州島)で開かれる the IUCN World Conservation Congress(第五回世界自然保護会議)では、種の存続や保全といった課題が議論される予定である。

http://www.iucn.org/news_homepage/?9945/Saola-still-a-mystery-20-years-after-its-spectacular-debut

 

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