中国への象牙販売禁止はゾウたちを救うに違いない
Jeremy Hance
Mongabay.com
2012年3月24日発信
翻訳協力:石野 精吾 校正協力:加藤哲子
象牙の国際取引は1989年に禁止されたが、昨年の2011年は象の密猟が過去最悪となったが、今年になってもまったく改善されず、カメルーンの公園には殺された象が数百頭に上る公園があると報告された。何がいけなかったのか。Environmental Investigation Agency (EIA:環境調査エージェンシー)の新しい報告によれば、ワシントン条約(CITE: Convention on International Trade in Endangered Species)に沿ったオークションの中で、日本向けやとくに中国向けの合法な象牙オークションが、非合法な取引を約束どおりに抑制するどころかむしろ拍車をかけ、アフリカ全土にわたる象の大量殺戮となったとある。
「ワシントン条約公認の象牙オークションと、限定的な「合法の」取引を許可する決定は、すでに絶滅の危機にある象たちにとって容赦ない災難です」とEIA 理事のMary Riceは水曜日、野生動物の犯罪に関する英国下院環境監査委員会( UK’s House of Commons Environmental Adult Committee’s)の聴聞会で述べた。「押収された密輸象牙の大半は、闇市場が氾濫する中国向けです。」
最近では2008年に合法的な象牙オークションが開催されたが、それ以前に中国は非合法の象牙マーケットを取り締まると誓約していた。しかしEIAのおとり捜査で、まだ取締りをしていないと判明。2010年の最新の調査によると、実際に中国で販売された象牙の最大90%が非合法なルートからの象牙だった。
「EIAのおとり捜査員は象牙の密売人や小売業者の一行と遭遇しました」とEIA方針報告で伝えられた。「彼らとの会話から、密売の中心地が廣州(Guangzhou)における抑制の効かない市場が明らかになりました。密売人の話によると、供給側のネットワークは、北ベトナム経由など密輸ルートを変えながら、船の下に金属製の箱をつるしてその中に象牙を隠すなどの巧妙な方法を取っています。」
中国政府は、違法象牙取締りをほとんど実行しない上に、EIAの主張によると、高騰した価格で合法な象牙を販売し暴利を貪っていた。2008年には中国政府は象牙1キロに対し約157ドル(約12949円 1ドル=82.48円 2012年4月6日現在)支払ったが、その後、方針を変更し、ほぼ10倍の値段で貿易業者に販売した。これは合法な象牙が市場に今までより安い価格で沢山集まることで密猟が減るという期待が現実にならなかったことを意味する。実際、価格をつり上げることで、中国政府は高いリスクがあるにもかかわらず違法象牙を法律より安い価格で販売する許可を出した。
EIAは中国から合法象牙の公認購買国としての立場を剥奪するようEUに求めている。また中国での象牙取引についての独自調査を要求している。報告によると「EUはとくにこの件に弱腰です」とある。
http://news.mongabay.com/2012/0323-hance_china_ivoryban.html
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