自然保護と農業 ハンガリー
自然の擁護
2012年3月1日 IUCN News story
翻訳協力:兼綱 寿美子 校正協力:杉山朝子
The National Society of Conservationists(NSC)およびその118のメンバーグループは10年以上にわたり、自然保護と農業における活動を継続している。IUCN(国際自然保護連合)のメンバーであるこの団体は、自然を害する恐れのある農法について、メディアの注意を喚起して公共意識を高めることをめざし、ロビー活動と保護活動を通して意思決定者に影響を与えようと試みている。
最近の成功例では、NSCは、欧州委員会が撤廃するとしたハンガリーの遺伝子組換えトウモロコシMON810栽培認可停止令を守るとともに、委員会の承認に対抗して遺伝子組換えAmfloraジャガイモ栽培停止令を訴えるキャンペーンを実施し、ハンガリー政府を説得して、委員会が認可の過程で加盟各国の見解を考慮に入れなかったことをThe European Court of Justice(欧州司法裁判所)に告訴させた事例がある。2011年のGM種子汚染の後、NSCは許容度ゼロキャンペーンを施行し、国産種子プログラムを開始した。団体はまた国内のさまざまな場所でGMOフリーゾーン(遺伝子組み換え作物拒否地域)運動を展開した。NSCは環境NGO地球の友(Friends of the Earth、FoE)と協力して南米で増大するGM大豆の影響を描いた"The Killing Fields - The Battle to feed factory farms"(「死の畑―飼料工場農業との戦い」)のDVDを製作した。
NSCはまた農産物燃料やバイオマスについても、討論会やフォーラムやワークショップの団体らとともに、Biomass-dilemma(バイオ燃料のジレンマ)についての出版物4誌の改訂版を製作し意見を主張してきた。そしてまた、FoEヨーロッパが製作したバイオ燃料についての短いビデオをハンガリー語に吹き替えした。NSCの活動家たちはハンガリーで停止したバイオエタノール工場へのEU(欧州連合)の補助金を得ることに成功し、Tokaj(トカイ)ワイン地帯での有害なバイオマスプロジェクトに反対するキャンペーンを行った。再生可能エネルギー指令では燃料の10%をバイオ燃料由来とするという目標、国家再生可能エネルギーに関する行動計画および国家エネルギー戦略ではバイオマスおよびバイオ燃料の目標をかかげ、他のロビー活動の対象となっており、いくつかの良い結果につながっている。
ハンガリーにおけるNSCの活動に加えて、NSCメンバーグループのいくつかの構想は次のとおり:
The Southern Great Plains region(南部平原地域)における生物多様性のモニタリング
The Beretzk Peter Nature Protection Club(Beretzk Peter自然保護クラブ)のプロジェクトは学生や教師も参加して南部大平原地域(Roszke地域)の代表的な動植物を監視し保護することをめざしている。データベースシートが作成され、the Nature Protection Information System自然保護情報システム(TIR)に送られる。主要な目的は国と地方の自然保護活動を向上させることができる長期的なデータベースを確立することである。
プログラム主導: Beretzk Peter自然保護クラブ
詳細情報: Zsuzsanna Sara Endrene
The Szabolcs(サボルチ)-Szatmar-Bereg地域における自然保護
a. Sostoi森林(保安林)
2011年以降、地元の人々が森林エリアの選定、鳥やコウモリの巣穴を作ったり監視をしたりすることができる。 プロジェクトのウェブサイト(ハンガリー)
b. Nyirseg地域内の湿地管理
309ヘクタールの湿地エリア内で、10ヘクタールの耕作地を放牧場に変え、生息地の復興に成功した。また耕作地を草原や森林に変える。当局は4カ所の地域は国の保護する法的な湿地帯であると言明した。
c. The Nyiregyhaza(ニーレジハーザ)エリアの農場遺産
地域に特有の「低木地」構造は数々の自然の価値(塩水湖、沼地、低湿地や放牧場、砂地草原など)を維持し、小区画地の伝統的な土地利用を存続させている。
詳細プログラム主導: E-misszio自然と環境保護協会
詳細情報: Attila Lukacs
http://www.iucn.org/news_homepage/news_by_date/2012/?9307/Advocating-for-nature
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