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2012年4月30日 (月)

漁師自身が漁獲量の管理をするという漁業の新たな取り組み(後編)

2011年1月31日:報告書 YALE environment360

翻訳協力:赤木理恵    校正協力:松崎由美子

この『アクチュエータ』には共通した特徴があるものの、万能といえるモデルがない。時には漁師でないことさえある。例えば、グアテマラ国境近く、中央アメリカのベリーズ南部の町、Punta Gorda(プンタゴルダ)を取り上げよう。およそ100人の地元の漁師たちが数マイル沖合でハタ、フエダイ、サバの漁をして生計を立てている。これが非産業国の零細漁業の典型である。夜明け前、漁師たちは船外機のついたパンガやスキフと呼ばれる小型ボートで出発する。そして篭わなや手釣り糸で漁をする。収穫した魚は地元のストリートマーケットに並び、加工業者に売られ、持ち帰ってその日の食卓にものぼる。

このプンタゴルダの小規模漁業に、世界規模のさまざまな力が影響を与え始めている。WWF(世界自然保護基金)やEnvironmental Defense Fund(環境防衛基金)などの国際環境保護団体が、プンタゴルダの漁業を支えているサンゴ礁Mesoamerican Reef(メソアメリカンリーフ)―メキシコのユカタン半島からホンジュラス北部に至る700マイルの領域―を保護すべく働きかけをおこなっている。近年、自国の海域で激しく乱獲を繰り返してきたジャマイカの漁師がプンタゴルダ沖の海域に侵入するようになった。ベリーズ政府は外国人を締め出すための資金も法的権限も持ち合わせていない。

警備隊が地元海域を監視することで、すべての人々に、法で定められた網を使い、定められた場所で漁を行わせることを徹底させた。

だが、ここにリーダーが一人いる。いやもっと厳密に言えば、複数のリーダーたちだ。プンタゴルダ出身のWil Maheiaは、 University of Idaho(アイダホ州立大学)で学んだ後、1997年、Toledo Institute for Development and Environment:TIDE(開発と環境のためのトレド研究所)を創設した。TIDEとベリーズ政府がパートナーとして、新しく保護地区に指定された Port Honduras Marine Reserve(ポートホンジュラス海洋保護区)を共同で管理している。Maheiaは地元の漁師たちと活動を共にし、事業をあきらめるのではなく、保護区を通して更に事業を強固なものにするのだと訴えた。さらにTIDEの資金のもと、警備隊が地元海域を監視することで、すべての人々に、法に定められた網を使い、定められた場所で、定められた時期に漁を行わせることを徹底させた。

環境保護団体としてだけでなく、TIDEはこの地域の有益な勢力となった。ユースキャンプの出資者であり、奨学金の提供者であり、サッカーリーグも設立した。こうしてMaheiaはプンタゴルダの海を維持する共同管理者として皆が知る人物となり、その町との深い結びつきや、地域―そして漁師たち―のためのこのグループでの活動によって信頼を得た。

Maheiaは数年前TIDEを引退したが、その役割は現在の組織の事務局長であるCelia Mahungによって引き継がれている。漁師同士のコミュニケーションの重要性を知り、彼女は地域のスチュワード(管理者)プログラムを創設し、そこで経験の長い漁師たちに漁業管理について対策レベルのトレーニングを受けてもらった。「資源利用者の中には、すでに自分たちで管理のための実践を行っている方もいると分かりました。『私たちがこのことについて行動しなければならないのです』と漁師である彼らは口々に言っていました」と、Mahungは話した。

この管理者たちは、地域リーダーの経験があり、公の場で学校の子供たちや他の漁師たちに、共同管理や漁業を維持していくための実践方法について話をしてきた。今彼らは、ベリーズ政府が制定に向け取り組んでいる漁獲割当制の主導的な擁護者となっている。(漁獲割当制では、漁師には、その季節の総漁獲可能量(total allowable catch)のうちの保証された割合が、通常彼らの季節平均に基づいて割当てられる。)

コミュニティ全体が関わり始めてしばらくしたら、みんな資源は自分たちのものだと気付いたのです。

GutiérrezがNature誌の中で特定したリーダー的役割には、企業家精神の要素としばしば相通じるものがある。

例えば、6年前Peter Halmayはウニを取る漁師に漁獲量のデータを収集させる考えを思いついた。ウニのサイズや漁の日付、そして場所の記録を取った。「数年で、10万個ものウニを記録した漁師もいます」とHalmayは話す。そのデータは、計り知れない程貴重なもとなった。「州(The State of California Department of Fish and Game(カリフォルニア州漁業狩猟局))は、漁業管理についての改善を余儀なくされていますが、資金がありません」とHalmayは語った。ウニの取れる入江の数を見れば、捕獲高は良好で安定していると分かった。「もしそのデータがなければ、州政府は従来通り予防原則に従って、ただ私たちを締め出すだけでまったく漁をさせなかったかもしれません」とHalmayは語った。(もちろんこの政府との取り決めにおいては、州の漁業管理部側による「信用するが検証もする」という手順をいまだに必要としている。)

Wil Maheia については、プンタゴルダの漁師たちのために新しいマーケットを開拓して貢献した人物である。数年前、彼は地元の漁師たちに外国からやってくるスポーツフィッシングをする人々のガイドで利益を得るという好機を与えた。それは、Port Honduras Marine Reserve(ポートホンジュラス海洋保護区)からの恵みを受けた小さいが確実に利益になる産業であった。興味を持った人々のためにMaheiaはガイドトレーニングを準備し、地元の釣りガイドと近隣の高級フィッシングロッジを連携させてビジネスにした。

サンディエゴでは、Halmayと彼が設立を手助けした漁業共同管理組合San Diego Watermen’s Association(サンディエゴ漁師組合)が同じくそのマーケットを拡大した。「古いビジネスモデルはあまり良くないと分かりました」と彼は言う。昔、ウニを取っていた漁師たちは捕獲したウニを全てウニ加工業者に売却していた。その質によって価格を分けることはなかった。どんなウニでも、同じウニとして扱われた。「しかし最高級のウニのマーケットがあると知ったのです。最高級のウニには高値がつくということをです。」そこで彼らは波止場で市場を始めた。

「するとたちまち人々が集まり始めたのです」とHalmayは思い起こした。「地元のイタリア人がウニを好物としていましたが、加工したものは好みませんでした。取れたてそのままのものが好きでした。ウニを切って開き、パンにのせて食べるのです。」レストランからもまた、問い合わせがきた。地元のイタリアビストロ店、Baci Ristoranteでは、この高品質のウニを使った料理を出す。シアトルマリナーズ外野手の鈴木イチロー選手がチーム滞在中に、ここのウニ料理を求めてやってくることでも知られている。

「Peter Halmayはこういうタイプのリーダーとして成功した人物です。収集したデータを使って、漁業にかかわる他の人々にも力を与えたのです。コミュニティ全体が関わり始めてしばらくしたら、みんな資源は自分たちのものだと気付いたのです。恵みをいただき、保護し、そして共同管理していかなければなりません。」とNicolás Gutiérrezは言う。

しかし、Gutiérrezの研究では触れられていない重要な要素が一つある。それはHalmayの言う大きな違いをもたらすもの、すなわち、情報の伝達である。漁師たちはよく、ごく親しい仲間の間だけで情報をやり取りしている。自分たちが活動をしている海の中のことについては、どんな状況になっているかとてもよく分かっている。しかしもっと広い目で見た海岸や世界という規模で何がおこっているかについてはほとんど知らない。「日本で漁業組合を支援した仲間がやってきました。その際、漁師たちが主導権を持ち自ら管理を行っているチリやその他の場所での活動の様子を知ることとなりました。そして『よし、我々もやってみよう!』ということになったのです」とHalmayは言う。

そして、Halmayの数々のアイデアや力強い取り組み、信頼のおける目標と巧みな語り口によって道は開かれ、実現までたどり着いたのである。

2011年1月31日付投稿
「BIODIVERSITY BIODIVERSITY OCEANS POLICY & POLITICS CENTRAL & SOUTH AMERICA NORTH AMERICA」

http://e360.yale.edu/feature/in_novel_approach_to_fisheries_fishermen_manage_the_catch/2365/

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